漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 658

2025-02-02 06:38:36 | 貫之集

ひこぼしも まつひはあるを いまさらに われをいつとも ひとのたのめぬ

彦星も 待つ日はあるを いまさらに われをいつとも 人のたのめぬ

 

彦星も織姫を待つ日があるのに、あの人は私にいつ逢おうという約束すらしてくれない。

 

 第五句「たのむ」は、ここでは他動詞で「あてにさせる」意ですね。


貫之集 657

2025-02-01 06:24:44 | 貫之集

ひとしれず われしなきつつ としふれば うぐひすのねも ものとやはきく

人しれず われし泣きつつ 年ふれば 鶯の音も ものとやは聞く

 

人知れず恋に泣きながら年月を過ごしてくると、鶯の鳴き声ものの数ではなく寂しさが募ることよ。

 

 古今集 498 によみ人知らずの類歌がありますね。

 

わがそのの うめのほつえに うぐひすの ねになきぬべき こひもするかな

わが園の 梅のほつえに 鶯の 音になきぬべき 恋もするかな

 

よみ人知らず