漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 651

2025-01-26 06:21:39 | 貫之集

ぬきみだる なみだもしばし とまるやと たまのをばかり あふよしもかな

ぬき乱る 涙もしばし とまるやと 玉の緒ばかり あふよしもがな

 

貫いている緒から乱れ落ちる玉のような涙も、あの人に逢えばしばし止むかと思うと、わずかの時間でも良いから逢えないものかと思うことよ。

 

 「玉の緒」には「美しい宝玉を貫き通すひも」に加えて、短い時間のたとえの意もあり、この歌ではその両方の意味を巧みに入れ込んで歌っていますね。
 この歌は、続後撰和歌集(巻第十二「恋二」 第711番)に入集しています。また拾遺和歌集(巻第十一「恋一」 第647番)にはこの歌とほぼ同じよみ人知らずの歌が採録されており、それを貫之が改作したものでしょう。

 

ぬきみだる なみだのたまも とまるやと たまのをばかり あはむといはなむ

ぬき乱る 涙の玉も とまるやと 玉の緒ばかり あはむといはなむ



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