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肝性脳症の恐怖

わたしをスキーに連れてって!!


・・・
今日は家族4人、インフルエンザの予防接種を受けた。

自分にとっては初めての予防注射だ。
免疫抑制剤を服用しているので、ウィルスに対する防御は弱い。

移植の医師に確認すると、皆さんに受けてもらっているといことだが、抑制剤
を飲んでいることによって、予防注射が効きにくいということもあり、なんと
も皮肉なことだ。

とにかく、いつも子ども達がお世話になっている少児科で注射してもらった。

そこのせんせいのお父さんがやはり劇症肝炎を患い、42歳で亡くなっている
という話しをお聞きし、複雑な思いを抱きつつ帰宅した。

当時の医療では、どうすることもできなかったそうで、これも自分の運命か、
医療の進化に感謝するしかない。



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<・・・一年前>

・・・2005.10月4日~10日

<肝性脳症の恐怖 その1>

手術室からICUに移ってどれ位で意識が戻ったかは覚えていない。

覚えているのは恐ろしい幻覚だけだった。
肝性脳症という言葉さえ当時は知るよしもなく、それはまさに超リアルな世界。



・・・ICUのベッドの周りに医師・看護士らしき人が4~5人立って、こちら
を覗き込みながら何か話しをしているのがわかる。
話しの内容は、その時は理解できた。ただ、その表情や誰が居るかなどは、目の
前に、もやがかかっているようでわからない。

しかしとても息苦しく、それを必死に訴えようとするのだが届かない。
今にも息が止まりそうなのだ。

そうこうしているうちに周りには誰一人いなくなり、疲れて寝てしまうのだが、
本当の恐怖はここから始まった。

それから何度も目覚め、息苦しい状態はずっと続くのだが、なんと目の前の状況
がさっきと同じなのだ。
何度眠りにつき目覚めても、周りの人間、会話、時間までもが同じなのだ。

それが実際、どの位の時間の中での出来事なのかはわからないが、自分の中では
一週間近くに感じられた。
そう、自分の中では一週間、時間が進まなかったのだ。

何度も日にちを聞いたのを覚えているが、時には時間が逆戻りしていることも
あった。

あまりの息苦しさの為か、これは幻覚というよりもおそらく夢だったのだろうが
三途の川まで見てしまった。

きっとこの時、気を強く持っていなかったら、そのまま引き込まれていたような
気がする。


目覚めると、リアルな状態で、時間が進まない恐怖、どうですか?


なんとかこの状況を乗り越え、10月10日、ICUから個室へ戻ることができた。
しかし、肝性脳症による恐怖は、まだまだ始まったばかりだった。

色々な医療器具による肉体的痛みを忘れるような、精神的な恐怖に次々と襲われる
ことになる。
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