山笠を おっしょいと打ち 力雨
馬糞 Bafun
夕方7時半過ぎまで、あかるい曇り空だった。
夏至の太陽にはまだご挨拶かなわないが、確かに日は長くなった。
今日も一日、降るのか降っていないのか、小雨な一日だった。
花も十八という娘が、手のひらをおあ向けて、雨を見ていた。
小雨は、かわいいお手てで見るものだった。
博多の石畳に水溜りができていた。
力水だと思うと、この雨も、山笠を指折り数えているように思える。
いい週末だった。
そう思いながら、日曜日の仕事から力雨の中を帰宅した。
もう一仕事、今日は、天然コダイの煮付けと、「由布院の森」と号し
た日本酒である。
梅雨空に 十八の手を そっと出し
馬糞 Bafun
【増水の三途川】
人は、一人でその一生を終えるものだが、そんな人たちがたくさん
いて、三途の川の渡しも、向こう岸の霊界説明会にも、長い行列が
できている。
なんともにぎやかなことである。
家族と死別するなんて、ああ、いやなことだ。
ましてや、苦労をかけた親との愛別離苦は、できれば避けたい四
苦八苦である。
しかし、そのようにして、この世の人間も覚悟ができるのであろう。
死ぬ人も、寂しい気がするが、じつは、結構忙しく、にぎやかなこと
である。
そんな認識を、みんなが共有してくれるとありがたいのだが、見え
ないものに囲まれながら、そういうものを信じないという人間の多い
ことが悲しくもある。
そんな事情もまた、三途の川が増水している原因なのかもしれない。
三途の川あたりも、どうやら、梅雨入りらしい。
そんな三途川の岸辺の人よ、とらわれのない心で、激流の川を歩
いて見なさい。
人はそのように、己の心と生き方で裁かれるものである。
後生おそるべし。
そういう意味もある。
梅士 Baishi