香りして 金みつけたり 金木犀
中村 梅士 Baishi
甘い香りがした。
美しい女性を想像して振り返ったが、誰もいない。
すると、予想外にも満開の金木犀だった。
宮廷の恋を遠く思いやったことである。
しかし、恋は実らず、刀を置いて出家したのではない
かと過去世に思いを致す。
まあ、源氏物語のような、優雅な通い婚の時代が懐か
しい。
金木犀の甘い幻想というべきか。
渡部昇一先生のベストセラー『知的生活の方法』(19
76年初版)は印象的な一書だった。
特に印象に残っていることの一つに、個人図書室とい
うべき書庫にエアコンを入れることも大切なことだとい
うのがあった。
ぜいたく品とおもっていたものが、知的生活の質のた
めには必需品だと言うのである。
未だに猛暑の二か月ほどは、ゼロ式扇風機とかち氷で
しのぐ戦いである。
確かに、知的生活の集中力を維持することは困難であ
る。
折角の知的生活の方法だったが、生かされたのは、読
書の大切さと、身銭を切って本を買うということだった。
古本に売るという観念がないから、書き込みしながら
読むことができる。
教養というものほど、人間の豊かさを感じさせるもの
はない。
読書の楽しみを思うと、人生はいかにも短い。
読書のためにも、体力を鍛えておきたい。
山と読書、これほどの楽しみはあるまい。
日本国独立宣言・神聖九州やまとの国
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