
鉄道に乗って旅をしていると、停車した駅で、その地にゆかりのメロディーが流れているのを耳にすることがよくあると思います。
東京都内だと、例えば高田馬場駅は「鉄腕アトム」だし(「手塚プロダクション」が高田馬場にあったこと、作品中で、アトムが生まれた『科学省』が高田馬場にあるという設定だったことによる)、恵比寿駅では、ビールのCMでおなじみのメロディーが流れています。
そして、この蒲田駅では、ご存知の方も多いと思いますが、同名の映画の主題歌としても有名な「蒲田行進曲」が流れています。
この曲は、昭和4年(1929年)にレコードが発売されて流行歌となり、当時の「松竹キネマ蒲田撮影所」の所歌としても使われたそうです。
ということは、もしかすると、駅周辺のどこかに、このことに関するゆかりの場所が・・・、と思って調べてみたところ、やっぱりありました。

ここは、蒲田駅東口から徒歩5分ほどの、大田区民ホール「アプリコ」という場所。

その建物の中に、小さなコンクリート柱が置かれています。

これは、昭和61年(1986年)に制作された映画「キネマの天地」で使用された「松竹橋」のセット。
この「アプリコ」は、大正9年(1920年)から昭和11年(1936年)まで存在した「松竹キネマ蒲田撮影所」の跡地で、当時、その撮影所前に架かっていた「松竹橋」が、劇中で再現され、そのセットが、今でもこうして保存されているのです。

「アプリコ」前の広場。
ここがいわば、「松竹映画発祥の地」とでも呼べる場所なのでしょう。

ところで、この解説文によると、「松竹橋」は、「逆川」という川に架かっていたとあります。
その「逆川」という川は、昭和42年(1967年)に埋め立てられて現存はしていませんが、そういえば、「ブラタモリ」では、埋め立てられた川や水路の跡地を歩き、タモリさんが、一目でそれと見抜くということがよくありますね。
ということで、次は、その「逆川」の跡地を。
(大田区民ホール「アプリコ」の場所はこちら。)