「弁当屋さんのおもてなし」の最新巻。
先週、あっという間にドラマ「シーズン2」が終わってしまい、まだ余韻に浸っている状態ではあるけれど、ひとまず読み終えたので、ざっと感想を。
この最新巻は、時系列でいうと、ユウと千春が夫婦になってから、続編となる「しあわせ宅配篇」に至るまでの間ということになるのだけど、副題に「北の大地」というフレーズがあるとおり、道内各地を舞台に、そこそこのご当地グルメが題材になっていて、それぞれのグルメについて想像しながら読み進めることができるという構成になっていると思います。
最初のエピソードは、ドラマにも登場し、原作ではすっかりセミレギュラー的存在になっている「華田将平」が民宿に務めている、サロマ湖畔が舞台。
将平が親族間のゴタゴタに巻き込まれて神経をすり減らしているところに、ユウと千春が「新婚旅行第一弾」としてやってくる流れになっています。
いきなりですが、「チカ」という名前の魚は、皆さんご存知でしょうか?
「キュウリウオ科」という科に属する海水魚ですが、北海道では、冬の間、氷に穴を開けて釣ることで知られています。
氷に穴を開けて釣る魚というとワカサギが有名ですが、チカとワカサギはよく似ているため、混同されて流通していることもあるそうです。
エピソードの中では、チカの唐揚げが登場していて、「ワカサギよりも臭みがなく、身は柔らかく香りも上品」と表現されていますが、我が家でも、私が子供の頃、何度か食卓に出ていたことがあったことを思い出しました。
どこかの居酒屋あたりで出してそうな気もするので、ぜひまた食べてみたいです。
次のエピソードは、夕張市が舞台。
将平と同様、原作ではセミレギュラーになっている、「くま弁」の常連客黒川の娘・茜が物語の中心。
「白鳥あまね」という芸名でタレントとして活動している茜が、ストーカーと思われる女性に付きまとわれて怯えていたところを、千春と共に夕張へ逃避行(?)に出るという流れだけど、やがて、その女性はストーカーでも熱狂的なファンでもなく、かつてアイドルとして茜と同じ舞台に立っていたことがあり、茜の活躍を見て声をかけようと思ったもののうまくできず、逆に茜に恐怖心を抱かせてしまっていたことがわかるという展開で、いかにもありそうな話だなと思いながら読み進めました。
夕張のグルメと言えば、言わずと知れた「夕張メロン」が有名で、このエピソードも、美味しそうな夕張メロンの描写が複雑な人間模様を解きほぐすような形になっていて、読み手にも、文章だけで夕張メロンの魅力がしっかりと伝わっているのではないかと思います。
三つめは、「くま弁」常連客大集合のエピソード。
イカとタコを材料にした料理を振舞うパーティーが開催されていて、タコザンギやタコのカルパッチョ、それに※イカそうめんやイカ飯などの魅力的なメニューが勢揃いだけど、このエピソードの前半の方で、ユウと千春が道内を旅するのに使っていたバンが故障してしまったことが書かれていて、だんだん「しあわせ宅配篇」へと繋がっていっていることがわかる流れになっています。
ドラマのシーズン1に登場した、占い師の「カタリナ」こと片倉や、シーズン2に登場した土田若菜、ドラマには出てないけれど、橘というカメラマンの青年など、「くま弁オールスターズ」と言ってもよい常連客大集合の展開は、ぜひドラマでも描いてほしいと思いました。
※ 「イカそうめん」と「イカ飯」は、「4月以降」どこかで紹介できると思います(「」を付けた意味は・・・もう少し経ったら改めて)
最後のエピソードでは、道内各地のグルメをぎっしりと詰め込んだ「北海道巡り弁当」が登場。
ゆっくり旅行に出たいものの、実行に移せない自分の行動力のなさを嘆いているという設定の女性客が、「北海道巡り弁当」を食べて、そんなモヤモヤを吹っ切ることができ、ラストでは「樽前山」という山に登って、弁当を提供してくれたユウと千春に感謝を捧げるという展開なのだけど、主題は、「くま弁」の周辺で沸き起こっている、謎の幽霊の噂になっていて、それを巡る登場人物のゴタゴタというか気持ちの動きがとてもリアルに感じられて、実際にこんなことありそうだなあと思いながら読んでいました。
私は幽霊は基本信じない方だけど、子供の頃から、もし実在するなら見てみたいという気持ちは、正直なところ持っています。
そしてこのエピソードでは、「くま弁」のバンが完全に故障して廃車となってしまったことが書かれていて、バンが廃車になったために宅配のためのバイトの募集を取りやめていたという、「しあわせ宅配篇」の冒頭部分に繋がる形になっています。
このエピソードの最後では、名前は出てこないけれど、「バイトとして働く女性が出勤してきた」というシーンがあり、もしかするとこの女性は、「しあわせ宅配篇」の主人公である久万雪緒かなと思いながら読み終えました。
ということで、これで本編と「しあわせ宅配篇」が完全に繋がる形になったので、もし次なる新作が出るとしたら、時系列的には「しあわせ宅配篇」の後ということになるのかなと思いますが、「しあわせ宅配篇」第4巻の最後では、主人公の雪緒が「数年前までくま弁で働いていた常連客」になっていたり、雪緒の弟が、セミレギュラーの若菜と結婚して子供ができていたりなど、一気に時間が進んでしまっているので、もしかすると、その間のエピソードが「第5巻」として書かれるということもあるかもしれません。
ドラマの「シーズン3」もさることながら、小説の次なる新作も、楽しみにしています。
この本に出て来る将平さんと、厚岸の牡蠣の話でしたね。
いつもの心温まるお話と おいしそうなお弁当に見入って
しまいました。冬の厚岸の牡蠣、食べてみたいです。
香川県も牡蠣養殖が盛んなので今月末、牡蠣まつりに
行きます♪
テレビドラマ、新作も ずっと続けて欲しいですね。
こんにちは。
そうですか、香川県でも牡蠣まつりというのがあるんですね。
厚岸の牡蠣まつりは、道外からも観光客が訪れるほどの人気イベントなのですが、そちらもきっと素敵な催しが沢山の楽しいイベントなのでしょうね。
次回の第2話も、心温まると共に、考えさせられる場面も多い名作に仕上がっていると思います。
ロケ地の写真をこのブログに掲載していますので、そちらも参考にしていただけると嬉しいです。