さて、松本です。どういうわけか、松本出張の予定が入ると台風が来ます。なぜだろう?もう「あずさ」に閉じ込められるのはこりごりなので、新幹線を使って長野回りで行くことにしました。
言うまでもなく、今回のプロジェクトのテーマは「耐震」と「音響」です。ところがこの2つの要素は全く反対方向へそのベクトルを伸ばしています。相反する要素を両立させるためのバランス感覚が求められるわけです。難しい。本当に難しい。でも、絶対解決します。
プロジェクトを引き受けてから、この建物についていろいろと調べてみました。当時の新建築の記事なんかもチェックしました。そしてわかったことは、事務所の大先輩である設計者の偉大さと、奥深いデザインの素晴らしさです。そして思ったわけです。もしこのプロジェクトがコケたら、自分の首は飛ぶだろうなあと。そのくらいの覚悟を持って取組む必要があります。
残念ながら、自分はその設計者と直接面識がありません。近年お亡くなりになられたと聞きました。ご本人から直接お聞きしたかったことが沢山あります。でも今となっては、自分で想像するしかないのです。25年前の設計思想を探求する。そして烏滸がましくも自分の設計思想を重ね合わせる。改修設計というのは、とてつもなく意義深いものなのです。
事務所に残されていた資料の中から、当時の基本設計書を見つけました。表紙の事務所名のクレジットの横に、設計者ご自身のサインが書き込まれていました。すげえ!かっこいい!自分にはちょっと真似できませんわ。