竹山聖+アモルフ
JUN 2001
RC+5F / 968m2
http://www.amorphe.jp/
街外れのホテルを選んだのは、おそらくこの建築の前を通るだろうと思ったからです。建築というのは、昼と夜で表情を変える場合がほとんどで、特に商業ビルはライトアップがとても重要になります。打合せが終わって、すっかり日が暮れた松本市街の大きな通りを歩いていると、明らかに異彩を放つその姿が見えてきました。おおっ、かっこいい!やっぱりテンションが上がります。
アモルフの一連のコンクリート打放し建築の流れにあるデザインだと思います。このオープンスペースの取り方はどうなのか?という疑問を持つところも一緒です。容積率低そうだよなあみたいな感じ(笑)。空室も目立っていて、テナント募集の貼紙がちょっと寂しげです。理想と現実のギャップが見え隠れしています。やはりどこか無理があるような気もしますが、そんなことを差し置いて、その強烈なデザインの存在は圧倒的です。
音楽ホールや美術館とは明らかに趣が異なる商業ビルですが、今回の出張で多分この建築がいちばん時間をかけて見ていました。夜、朝、昼と光線の向きを変えたところだとか、近くから見上げたり、川を渡って眺めたり、ものすごく多彩な表情を持っているので、飽きることがなかったです。今どきこういうデザインは流行らないのかもしれないし、使い勝手だって決して良さそうではないけれど、何なんでしょうね、この魅力は。
自分はどちらかというときちんとした古めかしいデザインが好みです。一方で、こういう造形的なかっこよさにも惹かれたりします。遥か昔、卒業設計で提示したのは、こういう造形的なデザインでした。隙間がいっぱい、無駄な空間にこそ価値がある、みたいな。もしかしたら、そういう趣味の変化も理想と現実のギャップの表れなのかね?だとしたら、ちょっと問題あるよねえ。そんな気がしました。