龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCのファンです。
いわきFCの応援とキャンプ、それに読書の日々をメモしています。

河村厚『スピノザとフロイト』関西大学出版部刊

2022年04月05日 01時06分57秒 | メディア日記
待っていた一冊が届いた。
前作というかこの前の論文集

『存在・感情・政治-スピノザへの政治心理学的接近-』2013年

の続編にあたる。

簡単にざっくり言ってしまうと、スピノザのコナトゥス(自己を維持しようとする努力)という考え方についての自己発展性と倫理の関わりを論じた前の本の応用編として、フロイト、ダビンチ、ハイネ、ゲーテ、ネグリ=ハート、ドゥルーズ、レオ・シュトラウスなどとの関係において論じている本ということになる。

自分の文脈に引きつけて「自由に」スピノザ的イメージを利用するのではなく、スピノザの、テキストと上記思想家たちのテキストを丁寧に突き合わせて進んでくれるので、専門的な論文ではあっても、素人を誘ってくれる道筋が見える。

まだ読み始めたところだが、極めて興味深い。
読み終えたら改めて感想を。


足踏みしていたレヴィナス本に取り組み始めた。

2022年04月05日 00時40分52秒 | メディア日記

『甦るレヴィナス』小手川正二郎

こちらはどちらかと言えば理論編。改めてがっちりレヴィナスを精度高く読み込もうとする著作。
私も早わかりで、レヴィナスといえば「他者論」だろう、とかユダヤ教的思想家なんだろう、とか、ざっくりした早わかりの印象しか持っていなかった。
なにせ私はレヴィナスが真っ向から否定するスピノザを、読むのが趣味ですし。

でも、後述する応用編的など本にもててくるけれど、「当事者」性を重んじる研究ではむしろ(スピノザなんかよりもずっと)重要な思想家としてしばしば言及されているのは間違いない。
このあたりで勉強しなきゃなあ、と思いつつ途方にくれていたら、持つべきモノは先達です、この二冊を紹介してくださったばかりか、著者のかたから複数冊受け取ったから、ということで、頂戴してしまいました!
大事なのはそこじゃないんですが、でも、勉強って1人だけじゃなくて、こうして示唆や支援があって成り立つのだ、と改めて感謝です。
本の内容は改めて。


こちらは現代におけるレヴィナスの受容と応用の論集。
国際シンポジウムの記録という形です。

この二冊を見ると、今のところレヴィナスがどう読まれているのか、またどう読み得るのか、が、素人にも分かってくる仕掛けかな、と。
これから読む本二冊、です!




読むべし『当事者は嘘をつく』

2022年04月05日 00時18分24秒 | メディア日記

筑摩書房から出た『当事者は嘘をつく』小松原織香

多くの人に読んでほしい。
私は大きく揺さぶられました。
体験それ自体もなんですが、むしろその「語られ方」というかその困難さというか、加害者と被害者のあまりの非対称性というか、果たして語りうる当事者性とは何か、ということと向き合うこと自体が難しく、それを言葉にするための足場というか基盤というか、そういうものがいったん崩されてしまうと、「自分の言葉で自分について語る」ことがいかに難しいのか、ということが切実に感じられます。それこそが「当事者性の当事者性たる所以」だとするなら、私たちはどうやって言葉をつぐめばいいというのか?

語り得ることなどあるのだろうか、という疑問が、幾層にもなって形を得ないまま雪崩壊れ落ちていく感覚、とでもいえばいいでしょうか。
 
読んでいる内に自分は幾分かこの「当事者」でもあり、かつ(ここがきついところですが)幾分かは当事者にとっての「加害者」でもある、ということに気づかされていきます。
さてそこでなおも言葉を求めるとはどういうことなのだろう。
本を閉じてからの方が、その本を間近に感じる、という感覚を味わっています。
ぜひ一読をお勧めします。

とにかく読んでいただければ。
今年四半期ベストの中の一冊。

 

https://www.amazon.co.jp/%E5%BD%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E3%81%AF%E5%98%98%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F-%E5%8D%98%E8%A1%8C%E6%9C%AC-%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E5%8E%9F-%E7%B9%94%E9%A6%99/dp/448084323X