風月庵だより

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伊藤和也さんを悼む

2008-08-27 23:13:13 | Weblog
8月27日(水)雨【伊藤和也さんを悼む】

勤めからの帰り、駅の売店で、「邦人遺体で発見」の文字が目に飛び込んできた。すぐに新聞を買った。アフガニスタンで反政府武装勢力に拉致された伊藤和也さん(31)が遺体で発見されたという記事であった。

アフガニスタンの人々のために農業指導をしていた人が、どうして殺されなくてはならないのだろうか。

伊藤さんが属していた「ペシャワール会」は、中村哲さんというお医者さんが代表をしている非政府組織であり、パキスタンやアフガンの復興や人々の生活のために、献身的に働いていてくださる人々の組織である。医療活動だけではなく、「緑の大地計画」として、水源確保事業や農業支援を行っている。

パキスタンにおける中村哲さんの長い間の地道な医療活動はよく知られている。アフガニスタンでも、この会のメンバーには、特別な恩恵を蒙っているはずであり、たとえタリバンでも、手を出すようなことはしないのではないかと思っていた。

それは全くの思い違いであり、幻想であった。それともタリバンの組織がそれほどに追いつめられているということであろうか。犯行グループの一人は、伊藤さんが活動している村の一員であるようなのだから、伊藤さんの働きを知っているはずなのである。

日本人的感覚でよいように判断すると、判断を誤るようである。
同じ人間だと思いたいが、テロ活動をする人々の判断基準は全く違うことを改めて知らされた事件である。

何年か前、アフガンから日本に留学していた女子高校生がいた。この少女がいつか自分の国が平和になって、どの家にも電気がともるようになると嬉しい、そんな仕事につきたい、と言っていたが、あの少女の願いが叶うのは一体いつなのだろうか。

伊藤さん、本当に大変でした。残念でした。お疲れさまでした。きっと「まだアフガニスタンのためにやりたいことは一杯あるのに」と、アフガニスタン人に殺されながらも思ったかもしれない。
 
伊藤さんの言葉「私が目指していること、アフガニスタンを本来あるべき緑豊かな国に、戻すことをお手伝いしたいということです。これは2年や3年で出来ることではありません。
 子どもたちが将来、食料のことで困ることのない環境に少しでも近づけることができるよう、力になれればと考えています。」