4月18日(土)大雨【ヒトはこうして増えてきた』を読んで】
今日はこちらは大雨です。大雨が予想されましたので、法事は明日の午後に変更させてもらいました。まだ法事を受けているのか、と言われそうですが、家族だけ、本堂の窓は開け放し、間を開けて坐る、という条件で、すでに申し込まれている家の法事は勤めています。来月からはそれもとりやめにするかもしれません。施主家の方でも、そのような申し入れをしてくれている家もあります。
当寺のある市ではかなりの感染者数です。一人の人が施設にもたらせた感染でそこからかなり増えています。
(少々青葉を楽しんでください。気に入って植えた紅葉です。)
さて、一か月くらいかけて大塚柳太郎著『ヒトはこうして増えてきた』(新潮選書)を読み終えました。(あちこちに置いておいて、何冊も同時進行で読んでいます。)私の興味は46億年前に地球が出来てから、恐竜がいた時代や、何回も氷河期を経て、人間が出現したことです。人間が出現したのは、わずか20万年前にすぎないのですね。しかし、どうしてニンゲンーヒトという生物がこの世に出現したのか、不思議です。現実的な考えの私も、命が終わるころになって、ヒトは、「神」と言い、「仏」と言い、「大宇宙」と言う、なにか不思議なるエネルギーが人を作ったのではないかと、思うようになりました。
さて、本書の内容ですが、260頁に及ぶこの書の中に、アフリカで誕生したヒトがだんだんに増えていった過程が多くの資料をもとに、裏付けをもって書かれています。
アフリカからどのように世界中にヒトが移住していったか、ということも書かれています。このことに興味のある方は、この書を紐解いてください。
人口の推移についてですが、約一万年前は、地球の人口はわずか500万人だったそうです。農耕や文明によって、5500年前には1000万人、産業革命後の265年前にはなんと7億2000万人になったのだそうです。(そのころ日本は江戸時代9代将軍の頃になりますが、産業革命の影響は受けていませんから、日本の人口はそれほど爆発的には増えていないでしょう。)
やはり生存を維持する農耕の技術革新などで、人口支持率が高くなることは人口増加の一番の要因となるようです。
この書が発行された2015年には、世界の人口は72億人だそうです。しかし、日本は人口が減少していますし、世界中で人口増加率は減少しています。
この書の中で、興味を引かれたのは、11世紀から13世紀にかけて、人口が増加していたヨーロッパにおいて、14世紀急に減少したのは「黒死病(ペスト)」のパンデミックです。
ペストの流行は、1347年のシチリア島で始まり、翌年アルプスを越えヨーロッパに広がり、14世紀中に少なくとも3回の大流行があり、ヨーロッパ人口の約3分の1が死亡したのだそうです。
そのころから比べますと、医療は進歩しているでしょう。しかし、そのころよりも世界はグローバル化していますから、狭い地域だけにとどまらず、今、「Covid-19」は世界中に流行してしまっています。この終息は、1,2年かと希望的に見ていますが、ペストにしても3回も流行があった、ということは、このウイルスも一度終息しても、ウイルスが完全になくならない限り、また思いがけない感染爆発をみるかもしれません。人類の滅亡、とまではいかないでしょうが、かなり多くの犠牲者が出てしまうのではないでしょうか。(しかし、いろいろな原因により、世界では毎日15万人が死亡しているそうですね。)
さて、ペスト菌の起源ですが、これも中国南部である、ということを研究した論文があるそうです。アイルランドの細菌学者の論文に詳細が書かれているそうです。当時はシルクロード経由でヨーロッパ・中東にもたらされたであろう、ということです。(本書175頁)
とにかくこの書も大変面白い書でした。
この度の「Covid-19」も中国武漢が起源のウイルスです。中国には、このような人体に害を及ぼす菌やウイルスを持つ生物が生息している傾向がある、ということになりましょう。それはどのようなことに拠るのかは分かりませんが、政治よりも経済よりも人命を重んじる世界の連帯が必要です。これこそ一帯一路でなくてはならないでしょう。
長い記事になってしまい失礼いたしました。
*大塚柳太郎(1945年~)東京大学理学部生物学科卒。理学博士。