10月12日(木)晴れ【めぐりあわせについて】
今日はある修行道場の非常勤講師ということで、渋谷にでかけました。
これは私の著書『中国禅僧祖師伝』をもとにして、中国禅僧の数人について、解説し、ともに学ぶことを目的とした講義です。
たまたま今日の話のために、『曹洞宗禅語録全書ー器之為璠禅師語録外集(きしいはんぜんじごろくげしゅう』を持って行きましたので、車中で久々に開いてみました。
これは河合泰弘先生との共著ですが、解説は私が研究した論文をまとめて書かせていただきました。
556年前にご遷化の器之為璠(きしいはん)禅師の研究をなぜか、私が受け持たされたのです。
この禅師の研究で、随分多くの時間も使うことになりました。あまり私としては本意ではなかったといってよいでしょう。でも研究するからには、真剣にかつ面白がって取り組ませていただきました。禅師が住職をつとめた山口のお寺にも訪問したり、文献のなかだけではなく、足で歩いて、550年以上前の禅師をしつこく追いかけたのです。
器之為璠禅師は1400年代の永平寺が大変な時代、その復興に勤めましたので、永平寺の朝課で入祖堂諷経(にっそどうふぎん)として供養されている禅師で永平寺との縁があります。
電車の中で、ふと思いました。永平寺でも二回講義をもたせていただきましたし、今また非常勤講師として別院で勤めさせて頂いているのは、器之為璠禅師のご縁なのではなかろうか、ということです。
550年余の時空を超えて、器之為璠禅師を私が研究し、現代に紹介したことを喜んでくれているのではなかろうか、ということです。
550年前に生きていた方との、時空を超えてのめぐりあわせについて、一筆書かせていただきました。