風月庵だより

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不知最親切 地蔵に学ぶ

2025-02-10 11:27:45 | Weblog

2月10日(月)晴れ【不知最親切 地蔵に学ぶ】

『宏智頌古』百則(『従容録』)の第20則に「地蔵親切」という則があります。

地蔵といってもお地蔵様ではなく、地蔵院という寺の住職であった桂琛(けいちん)(867~928玄沙師備の法嗣‐はっす)という禅僧のことです。

先日「不知」という言葉について書きましたので、地蔵桂琛さんの「不知最親切」について一筆。

挙。地蔵問法眼、上座何往。眼云、迤邐行脚。蔵云、行脚事作麼生。眼云、不知。蔵云、不知最親切。眼云、豁然大悟。

挙す。地蔵、法眼に問う。上座何くに往くや。眼云く、迤邐(いり)として行脚す。蔵云く、行脚の事、作麼生(そもさん)。眼云く、知らず。蔵云く、不知最も親切。眼、豁然(かつねん)として大悟す。

地蔵が法眼(ほうげん)に聞きました、おまえさんはどこに往くのかね、と。
法眼は答えました、「ぶらぶらと行脚します」と。
地蔵は云いました、「行脚とはいったい何なのかね」と。
法眼は云いました、「知りません」と。
地蔵は云いました、「不知というのは、最も親切じゃのう」と。
法眼は、この言葉に行き詰っていたのがパッと開き、悟ったのです。

ざっと訳しますと、こんなところです。法眼は地蔵の弟子です。
法眼は「不知ーわかりません」と云ったに過ぎないのですが、師匠の地蔵は「不知とは最も親切」と答えたのです。

このブログで数日前に「不知」について書きました。知らない、ということは、地蔵は不知ということは一番よく知っていることだ、と教えてくれたわけです。

ここで「親切」の意味を『禅学大辞典』を開きますと、「ぴったり適合する。非常に親切なこと」とあり、『禅語辞典』には「自分にとってグサリとくること」とあります。現代の意味に波及していますが、禅語の意味は多少違いますので、辞書で確認が必要ですね。

不知ということは一番よく知っていること、ここが大事なところでしょう。

本師余語翠巖老師は「天地本源のいのちの姿が、このようになっていることなのだから、いちいちそれを考えているわけにはいきません。そのままになって、ちょっともそういうことが意識にのぼらない、そういうことを「知らん」というわけです。」

と説かれています。

いかがでしょうか。「不知」について参究してみました。愚痴言わず、不平不満のない、人生、何があっても。

*眠っていると知らないで寝ているタロー君です。その上の紙は「布団の中でルナな寝ているか確認!!」と書いてあります。