60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

サンドブラスト作品展

2017年11月03日 10時02分29秒 | 美術

会社の近くにある女性店主の喫茶店に、ランチの後、週に1~2回行っている。小さな店でカウンター形式なので、お客さんがいないときはよく話をする。60半ばのその女性店主は趣味が広く、定休日は必ずどこかに出かけている。美術鑑賞、映画鑑賞、都内の喫茶店探訪、毎年お盆の前後にお姉さんと国内の大旅行、そしてガラス工芸(サンドブラスト教室)等々。家事もこなしながら月5日程度の休みで、よく行動できるものだと感心する。(サンドブラスト:表面に砂などの研磨剤を吹き付けて彫刻していく技法)

 先週、年に一度のガラス工芸教室の作品の発表会があるから、とポストカードを渡された。彼女の作品は喫茶店で何度か見たが、いづれも色模様のグラスであった。今回は力をいれ電気スタンド2点の大作を出品したそうだ。会場も近いし、話の種にのなると思い、会社の帰りに行ってみることにした。
 
 入り口近くに、サンドブラスト加工の手順サンプルがあり、生徒さんの一人であろうか、丁寧に説明してくれた。ただ作品を見て回るより、どういう行程で製作していくのかを知って見た方が、製作者の苦労も工夫も分かるようで、作品をより興味深く見ることができる気がする。
 
  
 
                    会場
 
                   加工工程
     
       
 
           色の付いたグラスにデザイン画を貼り着ける。
  
                      線に沿ってカッターナイフで余分な部分を切り取る
 
  
 
          高速で砂を吹きつけグラスの表面を削っていく
        削った部分が白くなり、紙で被った部分は元の色が残る
 
  
 
          デザインでどこを削りどこを残すかで印象が変わる
 
 
                    生徒さんの作品
 
            
  
  
 
                  一人の作品群
 
  
 
  
 
                     ハーバリユム

           瓶に油を入れ、その中にドライフラワーを入れる
 
  
 
               一つ3000円で販売していた
 
  
 
        
 
         
 
        
 
                 菱形の部分に深絞り
 
  
 
       
 
      
 
  
 
                   教室の先生の作品
 
 店主は習い始めて10年だそうである。今回作品展に出品する2作品を完成させるのに、月1~2回教室に通って約8ヶ月かかったと言う。一番苦労するのはデザインを決め、色の付いたガラスに貼った後、カットしていく工程だと言う。線に沿ってブレないようにカッターで切っていく時が、一番神経を使い時間がかかる作業だそうである。その後は何種かのノズルを換えて砂を吹き付けて削っていく行程で、ここでは経験と感覚の世界だそうである。会場を見て回っても、確かに線の滑らかさが作品の良し悪しを決めるポイントのようにも思える。
 
 会場の案内の人に聞いて見ると、生徒さんは全て女性で今回は20名の人が出品したと言う。それぞれの作品を見て思うのだが、こういう細かくて根気のいる作業は女性でなければなかなか難しいようにも思う。私の習っている水彩画教室もそうだが、女性は右脳が発達しているからか、美術系の習い事は圧倒的に多い。しかも総じて女性の方が多様な趣味を持っているようにも見える。このことが老後やる事に困っている男性に比べ、女性の方が活動範囲も広がり生き生きと生活できるのだろう。そしてそれが結果として平均寿命の差になって表れてくるようにも思える。