Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

北ア、西穂高岳登山

2013年05月05日 | 山歩き

 

 5月1日(水)   天気=曇り後雪

 

09:05新穂高ロープウェー山頂駅→ 10:01~14:40西穂山荘→ 14:50丸山→ 15:15独標下→ 15:36西穂山荘

 

 笈ケ岳登山を終え、前夜は道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」で車中泊、広々とした駐車場と綺麗なトイレがあり快適な一夜を過ごせた。朝目覚めるとフロントガラスが凍り付いており相当冷え込んだようだ。朝食を済ますと新穂高温泉へ向かって車を走らせる。

 登山者用無料駐車場に車を停めると、日帰り装備を収めたザックを背に10分程歩いて新穂高ロープウェー駅へ向かった。AM8時30分発の始発に間に合うよう30分前には到着したが、既に30人ほどの列が出来ていた。殆どが観光の人で、笈ケ岳登山時の汗が染みこんだ服装の私は、汗臭さで周囲に迷惑を掛けてないかと気兼ねして列に並ぶ。

 第1・第ロープウェーとも始発に乗車する事が出来、AM9時には山頂駅に到着した。寒気が南下し冬型の気圧配置になっているせいか、山麓では晴れ間も見えたのに、穂高の稜線は既に厚い雲に覆われている。

 天気が良ければ日帰りで西穂高を往復しようと考えていたが、この天気では諦めざるを得ない。取りあえず西穂山荘まで行ってみる事にし、駅の出口でアイゼンを装着し出発する。

 西穂山荘への雪道はまるでレールのようにガッチリ固められ間違いようもない。昨夜の冷え込みで固く凍結している雪道は、アイゼンを装着してないと山荘直前の急坂では登り辛い。山頂駅から1時間足らずで山荘に着いた。

 天気予報は回復傾向なので、今日は山荘に泊り明日西穂を目指す事にする。宿泊の受付を済まし室内でゴロゴロ本等読んでいたが、あまりにも退屈なので、午後腹ごなしの散歩を兼ねて上へ登ってみる事にした。

 西穂へ向かう尾根道は風こそ大して強くは無いが、雲に覆われ視界は50m程しか効かない。殆ど空身で地図やコンパスさへ持たずに出発したので方向感覚を失うのが怖く、30分程登って引き返した。

 独標直下付近

 PM5時30分の夕食に居合わせた宿泊者は約十数名、連休の狭間とは言え以外と少ない人数だ。屋外のテント場は5張程設営されていた。9千円払って小屋泊りする自分の軟弱さに気が引けるが、足腰に障害がある64歳のジジイなんだからショウガアンメエと自己弁護する。春山とはいえ雪上のテントで寝るのはまだまだ寒い。それを思えば寒さ知らずの室内で暖かい布団にくるまって寝れるのは極楽々々である。

 

 

5月2日(木)    天気=晴れ(強風)後曇り

06:33西穂山荘→ 07:36~43西穂独標→ 08:07ピラミッドピーク→ 08:55~09:15西穂高岳→ 09:50ピラミッドピーク→ 10:10~20西穂独標→ 10:49~52西穂山荘→ 11:32新穂高ロープウェー山頂駅

 

 朝目覚めて窓外を覗く。雲海の上に山々は晴れ渡っており嬉しくなる。朝食を済ましAM6時半過ぎ山荘を出発する。昨夜降雪で汚れた雪が隠され純白の峰々となっている。西穂へ向かう尾根道には点々と先行する登山者が見える。

 冬型気圧配置のせいか寒気を伴う風が強く地吹雪を捲き上げている。寒さで手が痺れたのか一生懸命手を擦っている登山者もいる。しかし冬風の強烈さに比べたらこの程度の寒さは大した事ではない。

 丸山から笠ケ岳方面

 丸山から霞沢岳方面

丸山上から西穂独標

 独標直下までは緩やかな尾根で危険個所も無く気楽に登って行ける。簡単な岩場を伝って山荘から約1時間で西穂独標(2701m)に着いた。2年前の正月も此処まで来たのだが強風の為追い返されてしまった。あの時の穂高連峰は遭難続きで救難ヘリのエンジン音が絶えなかったのを記憶している。

 西穂独標

 独標から来た道を振り返る。

 独標から西穂方面

 独標から奥穂~前穂方面

 

 独標には十数名の登山者が登り着いていたが、強風を気にしてかこの先の西穂へ向かう者は青服の青年と私の二人だけだった。大昔の11月に独標の降りで学生が転落したのを間近で目撃(我々のパーティが救助したので無事だった。)しているので慎重に脚を運ぶ。

 この先は幾つもの岩峰を越えて行く。30年近く前の4月に仲間3人と奥穂へ縦走すべく重い幕営装備を背負ってこの雪尾根を苦も無く通過した記憶が残っている。しかし今は軽装で歩いてさへ急な登り降りやトラバースに少なからず緊張感を伴うのは体力・技術とも格段に低下したのだと実感させられる。

 青服の青年は私の前を同じような距離を保って慎重に歩んでいる。私は足腰の痛みが消えないので、山頂標識のあるピラミッドピークの所で一瞬引き返そうかなと迷ったが、一段と近づいた西穂のピークがオイデオイデと手招きしてるようで、脚が止まらなかった。

 ピラミッドピーク手前(青年はピーク直下)

 ピラミッドピークを越えた辺り

西穂岳直下

 緊張感を途切れさせぬよう慎重に脚を運びジワジワと登って行く。独標から約1時間10分で西穂高岳(2909m)に到着した。登頂できた喜びが湧きあがる。先着した青年も感激の思いなのか固い握手を求めてきた。青年が下山した後も、私はしばし狭い山頂に留まり周囲の絶景を堪能する。足下に見える上高地では、今頃大勢の観光客が穂高連峰を見上げてその美しさに見惚れている事だろう。その穂高の一角をたった一人で独占出来るのは、登山者の特権を得たようで大いに心弾む。

 西穂高岳山頂

 西穂高岳から来た道を振り返る。

西穂高から奥穂高岳

 西穂高から前穂高岳

 西穂高から上高地方面

 20分程の休憩の後、名残を惜しみつつ山頂を後にする。緊張を切らさず慎重に降って西穂独標に着いた時は安全圏に戻ったと安堵した。もう一度西穂を振り仰ぐと舞台の幕が下りるように雲が峰々を隠し始めた。天気は早くも下り坂の様相だ。

 下山時の岩稜

 西穂独標

 

 アイゼンを効かせて緩やかな尾根を一気に降り西穂山荘に着いたが、脚を止める事無くそのままロープウェー山頂駅に向かう。今日も次々と登山者が登って来る。軽装で山荘までの雪山ハイキングという人も多いようだ。緩やかなアップダウンの後、到着した山頂駅は普段着の観光客の群れで大賑わい、せっかく此処まで来たのに既に北アの稜線は厚い雲に隠されており、彼らには残念な事だろう。

 西穂山荘

 一層汗臭くなった服装を気兼ねしつつロープウェーを乗り継いで昼過ぎ登山者駐車場に戻ってきた。昨夜泊った道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」で蕎麦定食」の昼食を食べ、安房峠有料道路を経由して旧安曇野村の竜島温泉で登山の汗を流す。ここは主に地元の人が利用するリーズナブル(入浴料500円)な温泉で、上高地方面に来た時は必ず立寄る私のお気に入りです。

 この後、上信県境の上ノ倉山を目指す予定であったが、この山を登る為には山中でテント泊しなければならず、今の私の体調だととても重い幕営装備は担げそうに無く、又雪上で一夜を過ごせば足腰痛が悪化するのは目に見えている。残念だが今回は計画を打切り我が家に戻る事にする。自宅で一人身の自由を謳歌する妻にその旨連絡し、深夜に帰宅した。(深夜24時過ぎまで高速道路を利用すると高速料金が半額になるので、わざと遅く帰るのです。)

 

 

 

 

 

 

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