6月15日(日) 天気=晴れ
07:51道の駅「みとみ」→ 08:40~49沓切沢橋→ 09:38~44井戸沢出合→ 10:21~29雁坂峠→ 10:49~53水晶山→ 11:10~15古礼山→ 11:45燕山→ 12:00~35雁峠→ 13:50~54林道ゲート→(自転車)→ 14:03道の駅「みとみ」
W杯サッカーの喧騒を逃れて奥秩父の山へ出掛けた。今回歩いたのは雁坂峠から水晶山~古礼山を経て雁峠までの稜線、人気のある甲武信岳と笠取山に挟まれたこの山域は、取り立てて個性の無い地味な山域なので週末でも歩く人はそれ程多く無い。私も35年前に甲武信から雲取山まで縦走した際通過しただけで、その時の記憶も殆ど消え去っている。
秩父から雁坂トンネルへ向かう国道140号は日曜日だというのに、往来する車が殆ど無い。多くの人がサッカー日本対コートジボアール戦の為遠出を控えているせいなのだろうか。だとしたらありがたい。
トンネルを抜けると国道から1キロ程遡った亀田林業林道のゲート(この先一般車通行止め)に向かい、ここに折畳み自転車を残置する。その後道の駅「みとみ」まで戻り駐車場の片隅に車を停める。
出発したのはAM8時前、本当はもう1時間早く歩きたかったが朝寝坊してしまった。釣り場の横を通り「雁坂峠登山道入口」と書かれた立派な木製看板から歩道を数分登ると、舗装された林道に出て以後この道を進む。
登山道入り口看板
出発して10分程で雁坂トンネル料金所の脇を通過する。雁坂峠への往復だけならば料金所横の駐車場に車を置いて登るのが一番楽である。今朝は梅雨の中休みで陽射しがキツく車道歩きが辛い。でも気温が真夏程では無いから救われる。
雁坂トンネル料金所脇を通る
林道は沓切沢橋まで続いていた。ゲートが閉じられてるから一般車は通行できないけれど簡易舗装されてるので、四駆だったら楽に橋まで来れるだろう。橋を渡った先の広場から本格的な登山道が始まる。
橋から10分程で左にナメラ沢への分岐がある。ナメラ沢へは二昔前、山の先輩Tさんと二人きりで遡った。いつもは陽気で饒舌なTさんが何故か浮かぬ風に見えたのは、あの頃からTさんの事業が思わしくなかった為であったのか。Tさんは、その後しばらくして早世してしまった。
清冽な久渡沢支流
登山道は久渡沢に沿って続く。渡渉して沢の左側を進むと傾斜がだんだん強まってくる。トラバース気味の道は何箇所か浸食されているが通過に殆ど問題は無い。やがて井戸沢出合に着き、ここでオニギリを食べ栄養補給する。
井戸沢手前の急な登山道
此処からは峠へ向けて500m近い標高差をジグザグに登って行く。この登山道は昔から旅人に利用された峠道で、地形を利用し実に歩き易くコース取りされており、先人の知恵が感じられる。やがて展望が開き峠近しを思わせる。小屋泊りの人達が次々とすれ違って行く。
雁坂峠
出発してちょうど2時間半、10時21分雁坂峠(2080m)に到着した。近隣の山々や富士山、南アルプス等素晴らしい展望が拡がる。峠のベンチでは数組の登山者がそれぞれに憩っている。雁坂峠は日本三大峠の一つと言う。何をもって三大と評するのか知らないが確かに美しい峠である。
峠から水晶山方面
この峠にも忘れえぬ思い出がある。青年期ハードな山行を共にした岳友Fさんの奥さんN子さん(彼女も岳友)のお父さんが山好きで、「死んだら遺骨は峠に散骨して欲しい。」と遺言に残したという。それで亡くなられた後、Fさん夫妻を中心に何組かの仲間と一緒に此処まで来て、峠に広がる草原の片隅に僅かな遺骨を埋めたのだった。あの時赤ん坊で背負って登ったFさんの子供達も今では大学生、時の移ろいを感じさせる。
峠で一息入れた後、右折して水晶山へ向かう。緩やかな道は口笛を吹きたくなるほど快適で、山歩きの楽しさを堪能させてくれる。振り返ると雁坂嶺の姿が麗しい。樹林の道沿いはコケで覆われ奥秩父の雰囲気を醸し出している。
水晶山への登りから雁坂嶺
奥秩父らしい雰囲気の道
峠から20分程で水晶山(2158m)に着いた。山頂は樹林で覆われ展望は無い。ベンチに単独のオジさんがポツンと居た。「道の駅に車を置いて来た。」と言うから私と同じコースを歩いているようだ。交互に写真を撮り合い、互いにエールを送って私は歩みを止めず先へ進む。
水晶山山頂
この先も、樹林帯に時折展望が開き、快適な道が続く。古礼山手前で道は左右に別れる。左は巻き道、右は山頂への道だ。35年前の私は山頂を踏んだのだろうか?もう全く記憶が無い。右へ進み僅かな登りで古礼山(2112m)に着いた。
誰も居なければ此処でお湯でも沸してコーヒーブレイクにしようかと思ったが、7~8名オバサマ方が山頂を占有していた。霞ヶ浦マラソンのTシャツを着ていた私に「アラ、私も走ったわよ。」とマア賑々しいグループだ。
古礼山山頂
聞けば「あびこ山の会」の人達で雲取山から縦走し今日で三日目と言う。「亭主が煩いので今日下山するの。」と言うので、私も「家庭内別居で居ない方が喜ばれるから」と応える。
写真も撮り合い、「美人に撮ってよ。」と言うから「実力を出せば大丈夫ですよ。」と答えたが、本当は「美人モードが無いから無理ですよ。」と言いたかったのだけど・・・・
山頂先の絶好休憩ポイント
彼女達と別れ山頂を後にする。山頂の少し先の草原にはベンチもあり絶好の休憩ポイントだったが、彼女たちの賑わいが聞こえるのでバツが悪く先へ進む。ここまでめぼしい花々を観る事は無かったけれど、燕山周辺には時期遅れのシャクナゲやツツジがポツポツと咲いていた。
燕山のシャクナゲ
燕山から遠く大菩薩嶺を望む。
燕山から一気に降り雁峠(1780m)に着いた。峠には以前確か古ぼけた山小屋があったけれど、今は完璧に撤去され草原の中にベンチが幾つかあるだけだ。
雁峠を見下ろす。
峠のベンチでお湯を沸しコーヒーブレイクとする。暑いせいか虫が飛び交い小煩い。東の方向には三角形の笠取山が聳え山頂に居る人も確認できる。カップうどんとコーヒーを終えるとコンロをしまい、峠を後に新地平へ降って行く。
峠から笠取山
この下山道、実は昔ジョギングで往復した事がある。F夫妻と散骨に訪れた翌朝、朝食前の朝ランで広瀬湖畔の宿から雁峠まで、往復五時間半あるコースタイムの道を、ランパン姿とはいえ1時間余で駆け抜けたのだ。あの頃はフルマラソン2時間台で走る体力があったから大した事無いと思ったが、今振り返れば「タフだったなあ。」と懐かしい。
峠から沢沿いの下山道
このコースは前半が沢沿いの緩やかな登山道、後半が林道歩きになる。亀田林業の作業所が見えるとゲートも間近で、峠から1時間15分でゲートに着いた。
林道ゲート
さっそく折畳み自転車を組立て颯爽と林道を降って行く。自転車のダウンヒルは実に壮快で楽しい。有頂天になったせいかストックをゲートに立掛けたまま忘れてしまった。
気が付いたのは大滝村の温泉に浸かった後、もう戻る気力等ありゃしない。10年近く使ってるものだし、カインズホームで買った安物だからそんなに惜しくも無い。それに年寄りはジャンジャン消費するのが社会貢献だから又新しいのを買いましょう。
帰宅後サッカーの試合結果を確認すると1-2で逆転負け、アァ観て無くて良かった。もし観てたら頭にキテ興奮し、私の乏しい脳細胞が更に1万個程消滅したであろう。