Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

「先生と迷い猫」という映画は哀しく切ない。

2015年10月14日 | 映画・コンサート

 10月14日(水)

 今は居ないけれど、我家では3年前までズーッと猫を飼っていた。特に妻は超がつくほどの動物好きだ。その妻から、今「先生と迷い猫」という映画をやってるから観に行こうと誘われた。

 この映画は、ありふれた田舎町のありふれた人々と野良猫の交流を描いたありふれた物語です。主人公の男性(イッセー尾形)は昔校長まで務め今は退職した元教師、愛する妻(もたいまさこ)に先立たれ古い家で独り淋しく暮らしている。地元の人には「校長先生」と呼ばれているが、実際のところは偏屈な老人と敬遠されている。

  男性の妻は大の猫好きだったので、彼女の亡き後も可愛がってた野良猫が遊びに来ていたが、ある日男性は「お前を見てると亡き妻を思い出す。」と猫を家から追い出してしまう。

 その猫は人懐こく、クリーニング屋のお姉さん(北乃きい)や美容院のおばさん(岸本加世子)、優しい女子高生(久保田紗友)等に可愛がられていたけれど、その日を境に行方不明になってしまった。

 居なくなって初めて、男性は猫の存在の大切さを知った。彼はその猫を可愛がっていた人々と一緒に、必死になって行方を捜すがようとして見つける事はできない。

 探し疲れた深夜、誰も居ない真っ暗な我家に戻った男性は、玄関でグッタリ肩を落としてへたり込む。まるで尻切れトンボのように、映画はそこで結末を迎える。

 この映画には感動や涙も無ければドラマチックな展開も無い。淋しい老人の愚直で滑稽な日々が描かれているだけだ。だからつまらぬ映画という人も多いだろう。

 でも愛しい人を喪った愚直で不器用な男性の哀しさ切なさが、私の心の琴線にはヒシヒシと触れた。人は誰も、いつかは愛する人と別れねばならぬ運命にある。その哀しい人間の宿命が、この映画には描かれている。そんなさりげなく哀しい物語に心を揺さぶられた。

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