曇り時々晴れ。最低気温−3.7℃、最高気温0.1℃。
当地は17日ぶりに最高気温がプラスに転じました。また、最低気温が氷点下3.7℃となり、北海道のこの時期としては暖かな日と言えます。
とはいえ、一日中、ストーブはつけたまま過ごしました。
このような寒さの中、隣町と言っても過言ではない白石在住のAさんの声明が北海道新聞に掲載されていて、目が釘付けになりました。(北海道新聞「言葉の現在地2023」)
Aさんは札幌白石区に住んでいる56歳の男性。心臓に持病があるので働けず、10年前から生活保護を受けて一人で暮らしているそうです。自宅のストーブが壊れ、2017年12月、購入費用1万3590円の臨時支給を札幌市に請求し、却下されました。
19年に生活困窮者向けの弁護士費用立て替え制度を使って提訴。3年かかった裁判で裁判長は不支給を決めた札幌市や国の考え方も「不合理ではない」としてAさんの訴えを退けました。
裁判長は「生活保護を受けていない家庭も、家具の買い替えのために家計をやりくりしている」と指摘。
この記事を書いた記者さんは、これまで生活保護関連の取材を手掛けたことはほとんどなかったそうです。先輩記者さんが言うには、生活保護利用者の窮状を訴える記事を書くと、「わたしの生活のほうが苦しい」「もっと生活費を削っている」「甘えているのではないか」等の批判の声が多く寄せられるのだと。
それでも書きたかった理由は「ヒグマに生まれて・・・」の言葉が刺さったこと、昨年12月、政府が防衛費を増やし、23年度から5年間で約43兆円とすると決めたこと。ミサイル1発分のお金でストーブは何台買えるのかと。
記事にはさらに日本の国内総生産に占める生活保護費(社会扶助費)が先進国の中で極端に低いこと、生活保護受給率が低く、保護すべき生活水準の人を把握している割合(捕捉率)も欧州が6~9割とされるのに対し、日本は2割程度なことなどが記されています。
私がこの記事に注目したのはやはり、Aさんの声明に心を動かされたことです。
私はヒグマに生まれたかった。
ヒグマになって冬眠したかった。
ヒトとして生きることは苦しく、悲しく、痛い。
人は本来、お互いに助け合って生きる、社
会的な生き物だと私は思います。
助け合いが不足したこの社会は、互いの
命を奪い合い、強いものが強くなり、弱いも
のはより弱くなって死んでいく、獣の集団と変わ
りありません。
(2022年11月30日、札幌地裁判決後のAさんの声明より)
Aさんの言葉はまるで一編の詩のようでもあり、心に突き刺さってくるものがあります。それを、このような記事に取り上げて発信された記者さんの気概にも感じるものがありました。
そして、本日の新北のうた暦の掲句です。
キタキツネは実際しわがれた声で、「コン」という鳴き声ではないのです。
数年前には我家のベランダで寛ぐキツネを見ましたが、あのキツネは今、どうしているのやら・・。