山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

仙丈小屋~馬の背ヒュッテ~北沢峠☆仙丈岳@日本百名山№66

2024-07-29 | 66仙丈岳(初夏)
前日午後の大雨からは
予想しがたい晴天の空に
朝日が昇ろうとしています。
山小屋の管理人さんお勧めの
小仙丈尾根上のご来光スポットから
午前4時に日の出を待ちます。
この日は、残念ながら
下から雲が連続して立ち上り
それが丁度日の出の方角でした。

富士山と北岳も
見えたり雲に隠れたりで

2座が同時に見えたのは
4:30のことで、その後
雲がオレンジ色になり

あわてて仙丈岳山頂に向かうと
薄いモルゲンロートになりました。

せっかくなので
昨日と同じ道を、もう一度
仙丈岳の山頂に進み

藪沢カールと仙丈小屋
イワベンケイ

朝早いためか、黄色い花が
今までより鮮やかに見えました。
写真もよく撮れている気がします。
仙丈小屋の朝食は5時~6時で
あまり時間が残っていなかったので
山頂はほぼ素通りです。
仙丈小屋に下りる道で山頂を振り返ると
赤土が昨日より赤く見えました。

仙丈小屋の朝食は、席に着いてから
魚に火を入れてくれるのが
こだわりのようです。
大きな山小屋ではできない
サービスですね。

藪沢カールにはまだ
日差しが届きませんが
6時に下山を開始します。
小屋のすぐ下にある水場です。

昨日減った分を補充しましたが
全量を交換するべきだったと
後悔しました。冷たくて
癖のないおいしい水です。
水は見えませんが沢なので
岩がゴロゴロの道を下っていきます。

イワカガミや初めて見る謎の白い花など
所々で花が群生していて

それを楽しみながら歩いていると
一面にキバナシャクナゲが
咲いていました。

シナノキンバイ


ナナカマドの花と
鹿の食害を防ぐためのフェンスが
長く続き、山頂を見上げれば
草で覆われた藪沢の上部が広がり
カールの底にある仙丈小屋が
いいアクセントになっています。

少しの間ハイマツが続くと
背の高いダケカンバの足元に
淡いピンクのシャクナゲが咲いていました。

こんなに南の山でも見ることができ
やっぱり高い山なのだと再認識。

藪沢の正面に回り込むと
下る道の先に甲斐駒ヶ岳があり

甲斐駒ヶ岳からは
藪沢の正面が見えるのだ。
次に登る山は甲斐駒ヶ岳と
決めています。
仙丈小屋から30分で
馬の背を歩く丹渓新道を左に見て

馬の背ヒュッテに下ります。
馬の背ヒュッテに泊まった人と
数組すれ違いました。

ダケカンバの林が見事で
その奥に仙丈岳の山頂が見えると

すぐ馬の背ヒュッテ着きました。

仙丈小屋から40分。
小屋のすぐ脇に水場があったので
味見をすると、この日は
仙丈小屋の水の方がおいしかった。
ここからは斜面の巻き道を
いくつもの小さな沢を渡って

5合目の大滝ノ頭に向かいます。
馬の背ヒュッテから20分ほどで
今は使われていない藪沢小屋です。

新しい携帯トイレブースが2つ並んで
かわいい赤いバケツの水場もあります。

雪が残る沢もありました。

小仙丈尾根のルートには
トイレも水場もないので
贅沢です。
馬の背ヒュッテから
ほぼ水平の道を40分で
5合目の大滝ノ頭に到着です。
この間誰にも会いませんでした。

小休止にすると
小仙丈尾根に向かう人が
続々と登っていきます。
この後、2合目まで
登ってくる人とたくさん
すれ違いました。
始発のバスに乗ってきた人で
バス6台くらいはあったとのことで
木曽駒ケ岳の道路が通行止めになり
ロープウェイも止まって
大勢がこちらに廻ってきたそうです。
現在は、通行止めも解除され
通常運行になっています。

そんな訳で、2合目から
長衛小屋方向の脇道のような
細い道に入ります。
予想通り、空いていて
2組とすれ違っただけでした。
5合目から1:10で
バスの待機場所になっている
林道に到着です。

あとは5分の
北沢峠まで林道歩きでした。
仙流荘行きのバスを待っていると
9時の臨時便が出るそうで
待ち時間が1時間も少なくなりました。
うれしい誤算です。
北沢峠→2:30→小仙丈岳→1:00→仙丈岳 (上り3:30)
仙丈岳→0:10→仙丈小屋→0:40→馬の背ヒュッテ→
0:40→5合目→1:15→北沢峠 (下り2:45)
(大休止の休憩時間は含みません)
2日間の歩数
1日目:13837歩
2日目:17088歩
南アルプスの女王と呼ぶにふさわしい
どこから見ても美しい山でした。
帰りに仙流荘の近くの道の駅に寄って
いつものソフトクリームではなく
キャラメルアイスをいただきました。
予想に反してさっぱりした味です。

車での帰り道に三峰川沿いの
ナイスロードを走っていると
なんとなく見逃してしまった
中央アルプスの山々が正面に見えました。

2年前の秋に歩いた千畳敷カールから
空木岳への縦走路がほぼ見えています。
こんなところに住んでみたい。
end

小仙丈岳~仙丈小屋☆仙丈岳@日本百名山№66

2024-07-23 | 66仙丈岳(初夏)
小仙丈岳からの仙丈岳は
小仙丈カールを抱いた優美な姿です。

深田久弥さんの
日本百名山より
その厖大な山容が少しも鈍重に見えないのは、
みごとなアクセントがついているからだろう。
アクセントとはその山頂部にある三つのカールである。
その顕著な刻みが山容を引緊めている。
三つのカールは、藪沢、小仙丈沢、大仙丈沢、
それぞれの源頭に大きく口を開いている。
甲斐駒から望むと、藪沢と小仙丈沢のカールが、
北岳からは小仙丈沢と大仙丈沢のカールが、はっきり見える。
この三つの窪みには一番おそくまで雪が残るので、
特に鮮明な印象を与えられる。

素晴らしい風景を30分ほど堪能して
仙丈岳に続く小さなアップダウンを

先に進みます。足元には
ミネズオウやコケモモなどの
小さな花が見え始めました。


小仙丈カールが
視界いっぱいに広がった後

鎖のついた岩場を少し下ると
八合目の標柱がありました。

振り返ると小仙丈岳が
きれいな山の形に見えます。

お昼を過ぎて
ガスで霞んできましたが
左手には、北岳と富士山が
並んで立っています。

小仙丈岳から40分で
仙丈岳山頂と仙丈小屋の分岐に
着きました。

山頂まであと20分・小屋まで10分。
振り返ると5合目から登ってきた道が
全部見渡せます。

ここから、お花畑になります。
ミヤマキンバイ

イワウメ

イワツメクサ

ミヤマシオガマ

オヤマノエンドウ

ツガザクラ

山頂まであと少しというところで
雨がポツリと降ってきました。

天気予報は当たりです。
小仙丈岳から1:10は
ちょっとだけタイムオーバーでした。

お花畑で写真を撮るのに
時間がかかったので
しかたがありません。
西側は雲に覆われて
何も見えません。
本降りにならないうちに
仙丈小屋に下りることにしました。
西側の近道を
急いで下りて15分です。


仙丈小屋は
藪沢カールの底にあり
標高2886mです。
この高さの山小屋で寝るのは
富士山以来で、今回もやはり
軽い高山病の気配がありました。
もっとゆっくり登ればよかったのですが
午後の天気予報が悪かったので
しかたがありません。
後から小屋に入った方たちは
しっかり雨に降られていました。
夕方まで雨は降りやまず
食事の後に雨が止んで、外に出ても
ガスで何も見えませんでした。
食事の時、管理人さんが
味噌汁に使っている味噌は
いくつかの山小屋でまとまって作った
自家製ですと紹介があり
お代わり自由だったので
2杯いただきました。
昔の懐かしい味がしたのは
山小屋という場所のせいでしょうか?
翌日につづく

北沢峠~小仙丈岳☆仙丈岳@日本百名山№66

2024-07-21 | 66仙丈岳(初夏)
7月上旬の梅雨の最中
週間予報は日替わりのように
雨になったり、晴れになったり。
週末の直前になって
天気予報が良いほうに変わった日に
仙丈小屋の空きがあったので
迷わず予約しました。
仙丈岳は南アルプスでも
日帰りのできるフレンドリーな山で
山小屋泊にして更に気楽な行程です。
唯一の心配は
いつも使っている山岳天気予報が
1日目の午後は雨になっている
ことでした。
車で中央道を南下し
早朝のため、車の流れはスムーズで
仙流荘のある戸台のバス停には
6:40に到着しました。

混雑する始発のバスを避けて
8:30のバスに乗る予定なので
早めの到着です。予測通り、
バスは満席になることはなく
幸先のいいスタートです。

深田久弥さんの
日本百名山より
戸台までバスが入るようになった現今では、
その終点から赤河原の小屋まで歩いて、
そこから1日で頂上へ往復することができる。
昔は奥深い山に思われていた仙丈岳も、
今は南アルプスの中で一番取りつき易い山になった。
近い将来に野呂川と戸台川を結ぶ産業道路が開通するという話である。
その暁には北沢峠附近は賑やかな観光地になって、
ますます仙丈登山者がふえることであろう。

北沢峠のこもれび山荘では
なぜか青シャツの人が多く
くつろいでいました。

前日に山を登った人でしょうか?
9:05に仙丈岳への最短コースで出発です。

日帰りの人はもっと早く
山小屋泊の人はもっと遅いのか
前後に、登山者の姿はほとんどありません。
ルートの前半はコメツガやシラビソなどの
森の中の道で花も少なく
静かな山歩きです。


30分ほどで二合目に着く。

左から長衛小屋からの道が合流しています。
帰りは時間があったので
そちらへ寄り道してみました。
道端に「ファイト」の文字を
見つけました。

手書きの文字が元気をくれます。
三合目の看板は
朽ちた木の幹に抱かれていた。

四合目の看板は
ちゃんと支柱がありました。

足元の石がだんだん大きくなって
樹木の高さが低くなると
足元には
キバナノコマノツメ
マイヅルソウ
ゴゼンタチウバナなどが咲いていて

五合目は大滝ノ頭と名前の付く
馬の背ヒュッテへの分岐点です。

登山口から1:30かかりました。
標準タイムより少し速いペースです。
この先は少し傾斜がきつくなるようなので
小休止にしました。
何組かの下りてくる人たちを見送り
馬の背からの巻き道は楽だったとの
情報を得て
小仙丈岳への岩の多い急登に
取り掛かります。

足元の岩が大きくなり
ペースが落ちましたが

足元には
コガネイチゴや

ツマトリソウが咲き
5合目から30分ほどで

鎖の付いた岩に上がると、後ろに
甲斐駒ヶ岳の全貌が見えてきました。


六合目の看板の先は
少し平らな道があって
斜面の下の方に
山の色を変えるほどの白い花が
咲いていました。

面になって広がるたくさんの
ナナカマドです。
みごとな花盛りでした

そのほかにも道の脇に
イワカガミや
グンナイフウロが

咲いていました。

急な斜面をジグザグに

登っていくと分岐があり
左が小仙丈岳・右は仙丈岳とあり
迷わず、小仙丈岳に向かいます。

(右の板は割れて落ちています)
小仙丈岳の先で
右から合流する道がありましたので
右は、小仙丈岳の巻き道だったのでしょう。
右手に馬の背ヒュッテの
地味な屋根が見えました。

五合目から1:20で
小仙丈岳の山頂に到着です。

写真を撮る時間をかけたので
標準タイムより少しゆっくりでした。
目の前にある絶景の
小仙丈カールを眺め
大休止にしました。
つづく