切合小屋の先は主稜線となり
目を凝らすと山を覆う緑の中に
時々、人の姿があります。
にぎやか過ぎたり、寂し過ぎたりでず
ちょうど心地よい空間です。
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深田久弥さんの
日本百名山より
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玄さんの言によると、日本のどの山も皆つまらない。
飯豊のような山は他にないというのである。
夏の1週間、その玄さんの案内で私は飯豊の全主稜線を歩いて、
その言に偽わりのないことを知った。
<中略>
殊に感服したのは、その主脈の峰々がいずれも堂々と独立して、
まるで一城のあるじのように大きく見えたことである。
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切合小屋から見える大日岳までの主稜線

右側の一番近いピークは草履塚
その右が飯豊本山です。
飯豊最高峰の大日岳はどのルートからも
少し奥にあって、
堂々とした姿にあこがれるけど
登るには1泊分多めの準備が必要で
今回の山旅では見送りです。
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先ずは、草履塚から登り始めます。

相変わらず、青空を半分に切る雲。

視界が広いし
始まりは草原の道のようで

咲き残っていたヨツバシオガマと
せり科の白い花。

少し傾斜が増すと、石が混じる道となり

トンネルのようにえぐれた道を抜けると

一気に視界が広がり

草履塚の山頂です。
大日岳も少しだけ身近になりました。

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草履塚のピークから少し進むと
急な下りが待っています。
これから歩く道が見下ろせます。

右下に、乳母権現
中央やや上に、御秘所という岩場。
その先が、最後の急登である御前坂。
稜線歩きでも上ったり下ったりがあると
しんどいのですが
こういう風景があると
疲れが吹っ飛びます。
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一番下まで下りて、見上げると
この変化にとんだ道が
今回の登山のハイライトでしょう。

乳母権現を拝み、

ほっこりした後、すぐに御秘所に到着。
切合小屋から1時間かかりました。
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御秘所は右が切れ落ちて
ひやひやします。
振り返ると、もっと緊張します。

岩場を超えると、御前坂の手前に
呼吸を整えるように平坦な道が少し

迷いようがありませんけど
りっぱな木柱が示す御前坂の文字が
そこだけきれいに
白ペンキに黒文字になっていて
管理人さんが塗り直したのか
丁寧な仕事をされていました。
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御前坂は15分程度の上りですが
今までたまった疲労から
脚が思うように上がらず
亀の歩みになりました。
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急登を登り切って見下ろすと

今まで歩いた主稜線は
三国岳につながる全貌が
手に取るようにわかります。
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見とれて、10分くらい立ち止まり
写真を何枚か記録してから
先に進むと、テント場に

一人用のテントが一張あり、
テント場を独り占めですねと声をかけると
このテント場は荒天時には風が強いので
その時は避難小屋に入るようにと
切合小屋の管理人さんに言われたそうで
小屋に泊まると言った私に
その時はよろしくと頼まれましたが
この日の夜に強風は吹かず、
テントでゆっくり眠れたでしょう。
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水場はここから100mほどで
少し下りたところにあるようです。
私は切合小屋で補給した水が
まだ十分残っていたので
立ち寄りません。
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テント場から程なく
飯豊本山避難小屋に到着です。

切合小屋から2時間
大日杉登山口から7時間20分
かかりました。
小屋の中をのぞくと誰もいません。
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小屋のすぐ横にある

飯豊山神社
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つづく