揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>
上空に雲ひとつない
青空が広がっていました。
黒部五郎岳も頂から朝を迎えています。
5時の朝食もそこそこに
ザックを山小屋に預けて
薬師岳の山頂に向かいました。
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水1リットルとウィンドブレーカー
財布と携帯電話
それと花用の小さいカメラを
ウェストバッグに入れて出発です。
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平坦な道をほんの少し進めば
どの方向から見てもすぐ分かる
槍の穂先が現れると
道は下りとなり
鞍部のテント場に
カラフルなテントがたくさん見えます。
体が軽いので
下って上る道が見えても
それほど苦になりません。
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テント場からは急な登りです。
水を好む植物が増えて
大雨が降ると沢になると思われる
小さな水の流れをさかのぼります。
途中から水が枯れて
ほぼ下り始めた高さに戻り
約50分で薬師平に到着しました。
咲いている花は
進むほどに変わり
ミヤマキンポウゲ・アオノツガザクラ
ハクサンイチゲ・シラネニンジン
コバイケイソウ・イワツメクサ等。
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正面の薬師岳の稜線から
太陽が顔を出して
登山道を照らし始めたら
薬師平から40分で
薬師山荘に着きました。
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太郎平小屋を振り返ると
加賀の白山が右奥に見えます。
随分小さくなりました。
もっと手前から見えていたのですが
花用カメラのピントが合わず
大きな写真は残っていません。
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遠くからは白く見えた
壁のように広い尾根のガレ場を
ジグザグに登ると
裏銀座の展望台に着きました。
その先は
右手にカールを見下ろし
<写真2枚から無理やり合成しました>
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30分ほどで薬師岳山頂です。
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ガラス戸のはまった大きな祠の
すぐ右脇に三角点があり
標柱は太くて飾り気のない木製で
山の雰囲気に合っていました。
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太郎平から2時間20分は
標準タイムを30分ほど短縮し
荷物を山小屋に置いてきた
効果がありました。
まだ朝早いため
人も少なく静かです。
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つづく
山小屋泊の楽しみである写真は
夕べ or あけぼの。
という
憧れを形にしてみました。
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太郎平小屋の花園を照らす夕日
黄色い点はニッコウキスゲの花
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黒部五郎岳
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薬師岳
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雲ノ平
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日本海に沈む夕日
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水晶岳から昇る満月
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昇る満月と沈む夕日が
同時に見れました。
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太郎平小屋は
定員150名のところ
400名以上の満員御礼状態でした。
畳2畳に3人という
限界状態の睡眠環境でしたが
夏休みの
晴天のつづく1週間では
苦しみも分かち合うしかありません。
せめて
一人に1枚の毛布があれば
恨み節も小さくなるのですが。
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夕食の時
荷物をデポして薬師岳に登ったら
とても楽だったと
隣のご夫婦から聞き
翌日の薬師岳登山が
とても気楽になりました。
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つづく
五光岩ベンチを通過して
太郎平小屋までは
標準時間で1時間です。
暑さでへばっていますが
傾斜がゆるやかになったので
歩くペースが上がりました。
花をひとつ追加します。
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イワショウブ
もっときれいに咲いている花を
撮り直す力は残っていません。
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それでも
元気を出して前を向くと
今日の目的地までの道のりが
ほぼすべて見えています。
まだ遠いでしょうか?
上空は青い色が濃くなってきました。
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薬師岳の山頂はまだ小さく
時々雲に隠れて
奥深い山であることを
自然に教えてくれています。
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五光岩ベンチから50分で
登山口から4時間で
今日の目的地
太郎平小屋に到着しました。
本日の歩数
8262歩
歩いた時間も歩数も
たいしたことはないのですが
久しぶりで荷物も重く
とても疲れました。
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休みたいところですが
風景が一変したので
とりあえず
写真を撮りました。
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薬師岳
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水晶岳から鷲羽岳の稜線
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雲ノ平
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黒部五郎岳につづく道
そして黒部五郎岳
山頂は雲の中です。
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三俣蓮華岳から双六岳は
雲に隠れて見えませんでした。
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つづく
三角点から樹木が低くなり
日光をさえぎるものがないので
暑さが増します。
弥彦山の蛇崩れのように
広い岩盤が現れると
その先は傾斜が納まり
爽やかな高原のような風景が広がりました。
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それも一瞬のこと
さえぎるものがないため
傾斜は少なく見えますが
また
上り続ける登山道が始まりました。
暑さで疲労が増し
スピードは上がりません。
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五光岩ベンチまで
登山口から3時間10分かかり
ほぼ参考タイムどおりでした。
薬師岳の山頂は
まだはるか彼方です。
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ただ
高度を上げたことと
深い森が途切れたことで
咲いている花が一変しました。
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キンコウカ
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シラネニンジン
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エゾシオガマ
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ミヤマアキノキリンソウ
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シロバナタテヤマリンドウ
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ミヤマリンドウ
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イワイチョウ
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ニッコウキスゲ
アカモノ
ゴゼンタチバナ
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八方尾根にはかないませんが
厳しい環境にもかかわらず
たくさんの花が咲いていました。
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つづく
立山インターから
有峰林道経由で
有峰の登山口へ。
通常の駐車場は満車で
片側の路肩にも車が連なっていましたが
少し下にある臨時駐車場は
半分ほどが空いていました。
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久しぶりの登山で
単純高低差は2日間で1570m。
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地図は、登山当時に
参考にさせていただいたもので
再構成時に追加しました。
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少しでも楽になるようにと
ザックを新調し
重量を減らすため
荷物を1つずつ吟味しましたが
腰に感じる重さは
やはり日帰り登山とは
比べ物になりません。
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登山口の標柱を見送り
気を引き締めて
一歩ずつ進みます。
広葉樹の樹林帯の中を進む登山道は
いきなりの急登で
風がないのでよけいに暑く
荷物が重く感じます。
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現在地を示す案内板は
目的地がたくさんあるため
山頂までの到達度合いを示す
何合目という表示ではなく
次の分岐点までの距離や時間を表しており
一定間隔ではないので
疲労感が強まりました。
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濃い緑の葉と赤い実の登山道の始まりは
既にここが真夏であることを示し
高山の涼しげな花はありません。
ツルアリドオシやトンボソウなどの
地味な花が咲いてます。
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1時間以上歩いてから
たくさんのミヤマママコナが
元気付けてくれました。
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最初は
下る人と多くすれ違いましたが
次第に
同じペースで登る人がまとまって
裏銀座の入り口にふさわしい賑わいです。
ガイドブックでは整備された登山道のはずが
大きてゴロゴロした石が目立つようになり
足を置く場所を考えながら進むのですが
余計に体力を消耗します。
ゆっくり休める広場のような場所は
ほとんどありませんので
道が少し広くなったところで
皆さん思い思いに
小休止していました。
こんな広めの道で少し休みました。
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道の先が急に明るくなり
青空が大きくなると
1時間30分で
三角点に到着しました。
いつも参考にしているコースタイムは
五光岩ベンチまで3:20で
このペースが速いのか遅いのか
よくわかりませんでした。
山頂の方角は相変わらず霞んで
くっきりと見えるわけではありませんが
初めて広がる視界に
少し元気が戻ります。
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つづく