( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53321941.html からの続き)
無期懲役という判決に対しては、人によって 様々な意見があることでしょう。
被害者と同年代の子供を 持つ親にとっては、
とても許せないという 感情もあるかもしれません。
しかし判決では、殺意がとっさのものであり、
計画的でないという理由で、極刑を回避しました。
死刑は究極の刑であり、僅かでも ためらわれる事由があれば 免れるべきだし、
僕は個人的には おおむね妥当な判決ではないか と思っています。
ただ、彩香ちゃんを突き落としたのは スキンシップ障害による事故だと、
畠山被告は主張していましたが、それは退けられ、殺意はあったとされました。
僕も スキンシップ障害というのには 多少 違和感を感じましたが、
いずれにしても 物証も目撃証言もなく、畠山被告の心の中を 探ることは、
非常に難しい 作業だと思います。
判決文の要約を 下に記しましたが、
被告本人にさえ判らない、心の動きを 推認したものです。
それを見極めなければならない、裁判の困難さを 表していると思います。
これで 動機や責任能力などが、完全に解明されたとは 言えないとでしょう。
最高裁まで 行くのかも知れませんが、
どこまで “心の真実” が 解き明かされるのか?
裁判員制度が始まった時、国民は どんな判断ができるでしょう。
犯罪という 心の闇には、
人間の深層心理や 精神症状などが 深く関わる場合もあります。
人格障害などが 誤解されるケースもあるかも知れず、
人間の心に関する 理解の浸透が望まれます。
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判決文要約
「被告は、彩香をかわいいとは思えない などの悩みを持っていた。
父親から文句を言われ続け、激しいストレスを感じていた。
彩香が 川で魚を見たいと 駄々をこね続けたので、
暗いから見えないと 納得させようと思い、橋の上まで車で行った。
それでも彩香が 帰ろうとしなかったので、急激に イライラした感情が高まり、
彩香を欄干の上に乗せて 背中を押せば、彩香が消えてくれるのではないか と考えた。
「それなら 橋の上に乗れば! 乗らないなら帰るよ!」と、
彩香の腰を支えながら 欄干の上に乗せた。
彩香が 「怖い」 と上半身をひねり、被告に抱きつこうとした瞬間、
とっさに殺意を持って 彩香を押し返した。
被告は 後悔と驚愕の念にかられ、
自分のやったことを 信じたくないとの思いに 捕らわれはじめた。
犯行の記憶を抑圧し、周囲に 「彩香が帰って来ない」 と 訴えるうち、
本件が 事故ではなく事件だと 思い込むようになった。
彩香のチラシを配るなどしたが 反応がなく、
誘拐事件を起こせば、警察やマスコミも 耳を傾けるのではないかと考えた。
豪憲に声をかけて 玄関に入れたとき、彩香がいない 切なさや嫉妬心と、
彩香の死が 事件であると認めさせるのは 今しかないとの考えが、
にわかに沸き上がり、とっさに殺害を決意した。
苗村鑑定によれば、彩香殺害後、事件性を主張する中で、
犯行の記憶の抑圧が 強化されていった。
被告の 一見不可解と思われる言動を、精神医学的見地から 合理的に説明している。
一方 西脇鑑定は、彩香殺害直後に 重篤な健忘が生じたとし、
被告の公判供述に沿っている。
しかし 事実認定などは納得できず、西脇鑑定は採用できない。
犯行当時、被告には 完全責任能力が存した。」