「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の 弁証法的行動療法 (4) (集団療法 2)

2008年07月24日 22時26分31秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55249062.html からの続き)

1.マインドフルネス・スキル

 マインドフルネス・スキルは 東洋の禅の瞑想を 基礎にしていますが、

 西洋の黙想とも 通底しています。

 内面に起こる 感情や思考、また それによって起こる 行動に対して

 自覚をするスキルです。

 ストレスに対して、観察,言語化,参加の 段階を通して、

 リラックスしていけるようにします。

 マインドフルネスは、集団精神療法の中核的なものです。

 BPDの機能不全行動 〔*注〕 に 有効なスキルです。

〔*注:

・自己の調節不全 (不充分な自己感覚,空虚感)

・行動の調節不全 (衝動性,自己破壊的行動,自殺行動)

・対人関係の調節不全 (混乱した人間関係,見捨てられ不安)

・認知の調節不全 (離人症,解離) 〕
 

 弁証法的行動療法では こころの状態を、

 「理性的なこころ」 「感情的なこころ」 「賢明なこころ」 の 3つに分けます。

 「理性的なこころ」 は、葛藤に直面したとき

 理性的・論理的に考え、柔軟性に欠けた状態です。

 「感情的なこころ」 は、思考や行動が 感情に支配され、

 事実を拡大・歪曲し、論理的思考が できなくなっている状態です。

 「賢明なこころ」 は、「理性的なこころ」 と 「感情的なこころ」 が

 偏りなく 統合された状態を言います。

 習熟した禅僧の、「直感的に獲得される知」 の 豊かなこころの状態です。

 マインドフルネス・スキルは、「賢明なこころ」 を 得るための技法です。

 呼吸などを通して、まず 身体感覚に気付き、次に 自分の感情に気付くようにし、

 ありのままの自分を 受け入れる訓練をしていきます。

〔*: 僕は以前、「感情モニタリング」 というワークショップを受け、

 これと同じことを やった経験があります。〕

 マインドフルネスでは、患者側の 「是認」 が不可欠といいます。

 また、宗教を基礎にした訓練は 患者にとって 不安な場合があるので、

 治療者は思いやりを持って 傾聴し、観察していきます。

 患者の感情や思考を フィードバックし、

 言語化されていないことを 明確に表現していくことが有用です。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55275093.html

〔 「パーソナリティ障害」 福島章 (日本評論社) より 〕
 
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