( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55249062.html からの続き)
1.マインドフルネス・スキル
マインドフルネス・スキルは 東洋の禅の瞑想を 基礎にしていますが、
西洋の黙想とも 通底しています。
内面に起こる 感情や思考、また それによって起こる 行動に対して
自覚をするスキルです。
ストレスに対して、観察,言語化,参加の 段階を通して、
リラックスしていけるようにします。
マインドフルネスは、集団精神療法の中核的なものです。
BPDの機能不全行動 〔*注〕 に 有効なスキルです。
〔*注:
・自己の調節不全 (不充分な自己感覚,空虚感)
・行動の調節不全 (衝動性,自己破壊的行動,自殺行動)
・対人関係の調節不全 (混乱した人間関係,見捨てられ不安)
・認知の調節不全 (離人症,解離) 〕
弁証法的行動療法では こころの状態を、
「理性的なこころ」 「感情的なこころ」 「賢明なこころ」 の 3つに分けます。
「理性的なこころ」 は、葛藤に直面したとき
理性的・論理的に考え、柔軟性に欠けた状態です。
「感情的なこころ」 は、思考や行動が 感情に支配され、
事実を拡大・歪曲し、論理的思考が できなくなっている状態です。
「賢明なこころ」 は、「理性的なこころ」 と 「感情的なこころ」 が
偏りなく 統合された状態を言います。
習熟した禅僧の、「直感的に獲得される知」 の 豊かなこころの状態です。
マインドフルネス・スキルは、「賢明なこころ」 を 得るための技法です。
呼吸などを通して、まず 身体感覚に気付き、次に 自分の感情に気付くようにし、
ありのままの自分を 受け入れる訓練をしていきます。
〔*: 僕は以前、「感情モニタリング」 というワークショップを受け、
これと同じことを やった経験があります。〕
マインドフルネスでは、患者側の 「是認」 が不可欠といいます。
また、宗教を基礎にした訓練は 患者にとって 不安な場合があるので、
治療者は思いやりを持って 傾聴し、観察していきます。
患者の感情や思考を フィードバックし、
言語化されていないことを 明確に表現していくことが有用です。
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55275093.html
〔 「パーソナリティ障害」 福島章 (日本評論社) より 〕