欧米でBPDの予後は、以前よりずっと 期待が持たれています。
40代までには、治療の有無に関わらず、BPDの人は改善していきます。
もちろん治療は その過程を早くします。
B群のパーソナリティ障害 (BPD,自己愛性,演技性,反社会性) は、
A群 (エキセントリックなグループ) やC群 (不安なグループ) の
パーソナリティ障害より、改善する傾向があります。
・短期治療の成績
最初の1年間で 症状の著しい改善は あまりなく、
この間に ドロップアウトしてしまう人が 少なくありません。
2年間で 目に見える改善があっても、BPD的な言動は残ります。
重度の機能障害と 激しい衝動性は、短期間の治療では 改善が見られにくいものです。
・長期治療の成績
入院治療を受けたBPD患者は、その後の治療がなくても、
10年後には 66%が中程度の回復をしています。
約40%の人が、BPDの診断基準を満たさなくなります。
通常、仕事の上でも 安定することが多い一方、
人間関係や家族に 満足できるのは少ないようです。
・治療の役割
様々な形態を組み合わせた 積極的な治療を行なうと、寛解率は7倍にもなります。
定期的な治療を受けた患者の 50%以上が、
治療開始15ヶ月後には 完全に回復したと言います。
未治療の患者は、50%が回復するのに 10年半以上かかりました。
衝動性は 一番早く消失し、次に 認知のゆがみと対人関係が 改善されました。
気分の不安定さは より慢性的で、完全に改善するまでに 長い期間が必要でした。
・ジェンダー格差
女性は結婚,子育てなど、人生の 様々なできごとに対して、
気分が落ち込んだり 押しつぶされそうになりやすいと言われます。
女性は 恋愛に慰めを求めることが 良くあります。
その関係が悪化すると、症状も悪化してしまいます。
一方 男性は、法に触れる 問題を起こしたり、物質乱用の傾向があります。
女性に比べて、仕事に拠り所を求め、
AA (アルコール依存症の治療プログラム) のような 組織に属することも、
改善に繋がります。
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55030697.html
〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕