「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

独房で待つ日々 -- 死刑執行の現実 (4)

2008年11月02日 19時55分16秒 | 死刑制度と癒し
 
(前の記事からの続き)

 大阪池田小学校事件の 宅間守死刑囚は、

 大阪地裁の死刑判決後、 控訴を自ら取り消して 死刑が確定しました。

 自殺を試みたことがあるため、

 カメラで24時間監視される 自殺防止房があてがわれて、

 そのカメラに苛立っていました。

 拘置所の死刑囚の独房は、

 4畳ほどで 便器と洗面台だけが付いており、 冷暖房はありません。

 宅間は、 「執行を待つ苦しみは 刑に入っていない。 不当だ」

 とも 言っていたそうです。

 刑事訴訟法は、 死刑確定から6ヶ月以内に

 刑を執行しなければならないと 定めています。

 しかし実際は 早くても2~3年かかります。

 宅間は弁護士に、 「6ヶ月以内に執行しないなら、 法務大臣を訴える」

 という手紙も 書いていました。

 死刑囚は 他の服役者と異なって、

 心情を安定させるために ビデオや将棋,碁を 一人で楽しんだり、

 自費で菓子や果物などを 食べることができます。

 宅間は 控訴を取り下げた 理由のひとつに、

 死刑が確定すれば 待遇が良くなるからと 明かしていたそうです。

 かつては、 死刑囚たちが 一緒に野球をしたり、

 短歌や書道を習っていた 時代もありました。

 しかし近年は 死刑囚同士のトラブルを防ぐため、

 集団処遇は途絶え、 他の死刑囚と 顔を合わせないようにされています。

 運動も入浴も すべて単独で、狭い居室に ぽつんと放置されています。

 4分の1の死刑囚は 面会も全くなく、 外部から隔絶されているのが 実態です。

 死刑囚は 「死ぬ」 という 将来しかありません。

 心情を安定させて、 犯した罪と向き合わせることは 非常に難しいといいます。

〔読売新聞より〕

(続く)
 
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