(前の日記からの続き)
「 裁判記録は熟読したが、 目を通す前から、
死刑執行命令書に 判を押さないと決めていた」
91年、 佐藤恵元法相は、 真宗大谷派の住職でした。
「 仏教の教えからも、
生まれてきた人の命を 勝手に絶つことは許されない 」
一方、 同じ浄土真宗の 陣内孝雄元法相は、
99年、 3人の死刑囚の 執行命令書にサインしました。
3人とも 殺人を犯して服役し、 仮出所中に再び 人の命を奪ったのです。
「 被害者は どんなに怖かっただろう。 法秩序を守るためだ 」
執行の数日後、 陣内法相は妻と共に 築地本願寺を訪ね、
被害者と死刑囚の 供養をしたといいます。
戦後、 死刑の執行は、76年まで 年間10人を超えていました。
しかしその後 92年までは、 年平均1.4人という 時期が続きました。
70年代末、 死刑囚の再審開始が相次ぎ、
死刑制度を疑問視する 声が強まったのです。
特に 佐藤元法相を含む 89~92年は、
死刑執行のない 空白期間となりました。
93年、 後藤田元法相は、
「 法相が責任を回避したら 国の秩序が揺らぐ 」として、 執行を再開しました。
ただし、 反対論もあるため、 法相が国会で 説明に追われずに済むよう、
国会開催中の執行は 避けられました。
前任の鳩山元法相は、 国会の状況を問わず、
ほぼ2ヶ月に1度のペースで 計13人の執行を命令しました。
その都度、 執行対象者の氏名を公表し、 記者会見を開くようになりました。
7ヶ月後には 裁判員制度の施行が迫っています。
「 死刑について 裁判員に 的確に判断してもらうには、
刑の執行を 透明化しなければならない 」
保岡前法相は そう指摘しています。
〔読売新聞より〕
(以上)