(前の記事からの続き)
見捨てられることに脅える 境界性人格障害の人々。
都内の大学に通う ルカさん。 (仮名・22才)
寂しさに苛まれるたび、
自分を必要としてくれる 人を探すため、 歓楽街に足を運ぶ。
この日も、 わずかな時間で 何人もの男性から 声をかけられた。
男 「地方から出てきた? 」
ルカ 「もともと東京 」
男 「体を売ってるの? 」
ルカ 「そういうのじゃないです 」
自分に自信が持てず、 小学3年のとき リストカットを始めた。
ルカ 「自分は 罪深い人間だと思ってる。
さっさと死ななければと、 常に思って 生きてきた。
価値がない。
何もできない 」
今 ルカさんには、 心を許せる パートナーがいる。
2年前に知り合った マサトさん。(仮名)
ルカさんはマサトさんに 執拗にメールを送り、
自殺をほのめかすなど、 振り回してきた。
マサト 「薬を大量に飲んで 病院に運ばれたと、 留守電に入っていて、
病院へ行くと ベッドで寝ていた。
それを見たとき、 パニックになりましたね 」
ルカ 「見捨てられて、 自分は一人になって、 そのまま全てが終わる 」
スタッフ 「全てというのは? 」
ルカ 「全てのこと。 例えば命とか 」
マサトさんは、 独学で学んだ 病気の対処方法を 携帯電話に書き込み、
ルカさんとの接し方の 参考にしている。
マサトさん自身も 性同一性障害を抱え、
理解されないことの 苦しみを知っているからだ。
マサト 「病気でつらいのは 本人だから、
苦しみながらも 頑張っている本人を 否定する言い方はいけない 」
しかしそれでも、不特定多数の男性と 性的関係を持つ ルカさんの行動は、
なかなか理解できない。
だがそれは ルカさんにとって、
見捨てられる不安を 打ち消すための行動だった。
マサト 「本当は 性的なことに対する 嫌悪が強いのに、
自分を傷つけたくなると してしまうのには驚いた」
〔 TBS 「報道特集 NEXT」 より 〕
(次の記事に続く)