「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

告知は1時間前 -- 死刑執行の現実 (5)

2008年11月06日 22時17分41秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/56517461.html からの続き)

 「近づいてくる刑務官の足音が、 どの房の前で止まるか。

 奥歯をかみしめ、 耳を澄ませる。

 自分ではないと分かるまで、 体が固まって 動かなかった」

 死刑囚として再審無罪になった 免田栄さんは、 獄中生活をそう振り返ります。

 30年以上も 死の恐怖と隣り合わせでした。

 死刑の執行は 当日の朝、 死刑囚に告げられます。

 独房から呼び出され、 執行されるまでの時間は 約1時間。

 遺書を書いたり、 たばこを1本 吸ったりすることはできますが、

 スケジュールは 分単位で決められています。

 1970年代までは、 執行の数日前に 告げるケースもあったそうです。

 ある死刑囚は 執行の前3日間に、

 親族や弁護士と懇談して 別れを惜しみ、 好物の寿司を食べたり、

 他の死刑囚が 送別のお茶会を 開いてくれたりしたといいます。

 しかし 70年代中頃、 数日前に告知された死刑囚が 自殺する事件が起き、

 それ以来 告知は当日の朝になりました。

 「死刑囚が 常に精神的緊張を 強いられていることは遺憾だ」

 国連拷問禁止委員会は 日本政府にそう勧告しました。

 政府は 「当日より前に 告知すると、 死刑囚が不安定になり、

 深刻な精神的苦痛を 被る恐れがある」 と 反論しています。

 心情が安定している 死刑囚には、

 事前告知があってもいい という指摘があります。

 個々の事情を見極めて、

 事前告知と当日告知を 使い分けるべきではないでしょうか。

〔読売新聞より〕

(次の日記に続く)
 
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