「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDは遺伝するか? 

2010年05月12日 22時00分21秒 | ボーダーに関して
 
(関連記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/59959409.html )

 DNAの存在が 知れ渡るようになって、

 「遺伝」 という言葉の印象が 少し変わってきたように思います。

 以前は、 親の持っている (表に現れている) 特性が、

 子供にも現れることを、  「遺伝する」 と言っていました。

 (隔世遺伝も含めて。)

 しかし現在は、 遺伝子に組み込まれている 先天的な要素を、

 「遺伝的」 なものと言うでしょう。

 DNAは 両親から受け継いだものですが、

 親はその性質が 必ずしも表に現れているとは 限りません。

 それゆえ、 「遺伝」 という言葉から 受けるニュアンスが、

 人によっては 違ってきてはいないでしょうか? 

 BPDのでは、 脳の脆弱性など (遺伝的) が 第一の要因と言われていて、

 親も そういう遺伝子を持っていても、

 BPDを 発症している場合と、 していない場合があります。

 そのために、 BPDは遺伝とは言えない という人もいるでしょうか? 

 ランディ・クリーガーさんの著書によれば、

 BPDの発症に 関係する遺伝子が 4~5個あるそうです。

 ただし、 遺伝しうるのは BPDではありません。

 衝動性, 感情の規制, 攻撃性, うつ, 脆弱性など、

 組み合わさると BPDを発症するかもしれない特性が、

 遺伝する可能性があるのです。

 その意味では、 BPDは遺伝ではないとも 言えるでしょう。

 BPDの発症には 数個の遺伝子が関係しており、

 親や兄弟でも、 それらの遺伝子の 組み合わせが異なります。

 両親とも BPDを抱えていなくても、 子供のうちの一人に、

 BPDが発生するような形で 遺伝子が結合するかもしれません。

 遺伝子の組み合わせによって、

 BPDを発症する可能性が 異なってくるということです。

 それは親のせいでも 子供のせいでもないのです。
 
〔 参考文献:

 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー / E・ガン (星和書店) 〕
 
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