(前の記事からの続き)
〈スタジオ〉
司会 「取材にあたった、 科学文化部の山室記者です。
この境界性パーソナリティ障害ですが、
まだまだ分からないことが 多いようですね。」
山室 「気分の波が激しかったり、 様々な症状があるということです。
うつ病などを併発することもあるので、 診断自体も難しいとされています。
発症の原因も はっきりしないということもあり、
今のところ 治療に効果のある 薬もないというのが現状です。
患者数は、 アメリカでは人口の2%と 推定されていますが、
国内ではまだ 調査すら行なわれていないということです。」
司会 「薬以外に 有効な治療法はあるんでしょうか。」
山室 「専門の医師やカウンセラーとの 会話を繰り返して、
不安定な気分を コントロールする訓練をするという 心理療法です。
欧米では 広く行なわれていますが、 時間をかけて行なう必要があるので、
日本では 診察にかかる時間が、 医療機関の収入に ほとんど反映されない仕組みが
壁となって、 普及していないというのが現状です。
国は 中高年の自殺対策にも 力を入れていますが、
若者の病の 治療体勢を強化べきだと 専門家は指摘しています。」
国立精神・ 神経医療研究センター
山本俊彦医師 「若年層の自殺を考えるうえで、
境界性パーソナリティ障害を頭に入れて、
対応対策を考えていく 必要があると思います。」
いろんな治療に チャレンジしていくというか、
国にも後押しをもらいながら、 進めていくことが 必要だと思っています。」
司会 「身近に こういう症状がある人が いた場合、
どう接したらいいんでしょうか。」
山室 「VTRの 家族会のなかにもありましたけれども、
まずは 本人の考えを否定しないで、
時間をかけてじっくりと 話を聞くことが大切なんです。
そのうえで 理解のある医療機関や、 家族会のようなネットワークに
アドバイスを求めるのが、 現実的な方法だと思います。」