「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

膵臓 再摘出手術 …… 「生死命(いのち)の処方箋」 (42)

2010年10月13日 21時59分59秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(前の記事からの続き)

○東央大病院・ 廊下

  誰もいない空間
 

○同・ オペルーム

  無影灯。

  手術台の上で 眠っている多佳子。

  執刀する緒方。

  助手を務める美和子。
  

○同・ 洗面台

  水道の蛇口から したたり落ちる雫。
  

○同・ 多佳子の病室

  手術が終わり、 多佳子がベッドに寝てい

  る。

  ベッドサイドの淳一、 多佳子の手を握る。

  すすり泣く多佳子。

  美和子と世良が入ってくる。

美和子 「…… 多佳子ちゃん、 具合は …… ?」

多佳子 「……… (ベッドに顔をうずめる)」

世良 「………」

淳一 「…… だから、 オレ、 いやだったんだ …

 … 移植したって、 結局こんなことになるん

 だったら …… 最初から夢なんて 見ないほう

 がいいんだ ……」

美和子 「…… ジュン……」

淳一 「姉キ、 卑怯だよ …… !  拒絶反応の危

 険性を もっと話しといてくれたら、 タカち

 ゃんだって 手術受けなかったかも知れない

 のに …… !」

美和子・世良 「………」
 
(次の記事に続く)
 
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