○東央大病院・オペ室
愕然とする室内、 世良が転がり込んでくる。
世良 「オペはやっちゃダメだ !! すぐ中止し
てください …… !!」
犬飼 「どうしたんですか!?」
世良 「安達さんは、 大量のハルシオンを 飲ま
されてるんです !! 警察からの連絡で…
… !?
美和子 「そんな …… !?」
犬飼 「薬物の影響が 今切れてきたのか ……
!?」
美和子 「緒方先生 …… !!」
緒方 「 …… 何てことだ !」
外から 杏子の怒鳴り声が聞こえてくる。
杏子の声 「開けろ! 手術はやめて …… !!」
○ 同・ オペ室の外
杏子がドアを激しく叩き、 スタッフが
杏子を止めている。
杏子 「あの人は まだ生きてる …… ! うちの人
返せえ …… !!」
スタッフ「手術中です! 静かにしてくださ
い!」
杏子 「放せ、 バカ野郎 !! みんなで寄ってた
かって あたしを騙して ! あたしなんか
バカだと思ってるんだろう !? それが医者の
やり方だよ !!」
○ 同・ オペ室の中
愕然とする一同。
美和子、 耳をふさいで 頭を抱え込む。
ドンドンと激しく ドアを叩く音。
杏子の声 「開けろ !! 開けろよォ …… !!
うちの人殺すつもり !? そんなことさせるも
んか !! 人殺しィ …… !! 医者の人殺し~
~ !!」
美和子 「ああ …… !! (肺腑をえぐられる思
い)」
世良 「どうします !?」
犬飼 「 …… ! (進退窮まる)」
緒方 「 …… 私が行こう」
ドアのほうへ 歩んでいく緒方。
美和子 「緒方先生 …… ?」
緒方、 ドアを開ける。
杏子が スタッフに取り押さえられている。
杏子 「うちの人は !? どうしたの …… !?」
緒方 「大丈夫です。 落ち着いてください。
手術は中止になりました」
杏子 「あ、 あ …… ?」
緒方 「冷却灌流装置という器械が 故障して、
手術ができなくなってしまったんです」
杏子、 泣きながら 事情を飲み込もうとす
る。
中から見ている美和子たち。
緒方 「ご主人には 指一本触れていません」
へなへなと座り込む杏子。
美和子、 頭が混乱し、 茫然としている。
世良、 一気に緊張が解ける。
美和子 「 ……… 」
(次の記事に続く)