(前の記事からの続き)
○ 東央大病院・ オペ室
ナースたちが安達に脳波計、 心電図、
血圧計などを着けている。
犬飼 「私も見学させてもらうよ」
力なく頷く美和子。
犬飼、 奥へ行く。
美和子、 安達をじっと見ている。
平坦だった脳波計が、 一瞬小さく波形を
刻む。
美和子 「 !? …… 」
他には誰も気付かない。
脳波は平坦に戻る。
美和子 『(愕然として) 死後の残存脳波 …
… !? それとも目の錯覚 …… !? 』
世良 「(美和子の後ろから)いよいよ始まる
な」
美和子 「 !! …… (ハッと息を呑む)」
世良 「どうしたんだ?」
美和子 「 …… いえ、 何でもない …… (動揺を
隠す)」
世良のポケットベルが鳴る。
世良 「こんな時に …… 」
世良、 歯がゆそうに出ていく。
狼狽する美和子。
脳波計も安達も ピクリともしない。
周囲は何事もなかったように 作業が進行
している。
○ 同・ ロビー
電話をかけている世良。
○ 警視庁
電話をしている刑事。
刑事 「安達三郎さんの件なんですが、 取り調
べ中の容疑者が 変なことを言ってまして。
ええ、 この男は 薬物の知識があるようなん
ですが、 (メモを見ながら) 睡眠導入剤の
ハルシオンというのを、 安達さんに大量に
飲ませたということなんです」
○ 東央大病院・ ロビー
世良 「(電話で) ハルシオン? 睡眠導入剤
…… 」
刑事の声 「一応 お伝えしておこうと思いまし
て」
世良 「(ハッとして受話器を離す) 急性薬物
中毒 …… !? 」
蒼白になって電話を切り 走っていく世
良。
受付に駆けつける。
世良 「第2オペルームの緒方先生に 連絡を取
りたいんです …… !! 」
受付係 「はい、 どちら様でしょう ?」
世良 「緊急事態なんです !! 早くしてくださ
い !!」
受付係「どういうご用件で ?」
世良 「(焦燥) 今オペルームにいる人が、
薬物の影響で 疑似的な脳死になってるのかも
知れないんです !! すぐオペの中止を…
… !!」
受付係「はあ …… 少々お待ちください (怪
訝)」
受付係、 奥へ行って 年配の事務員に話を
する。
世良 「(台をバシッと叩き) もういい ……
!!」
世良、 全力で走っていく。
(次の記事に続く)