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「空飛ぶ円盤」と言われれば、「宇宙人」を連想するかもしれない。しかし、地球上でも円盤型の宇宙船を検討している場所がある。
NASAのジェット推進研究所は現在、LDSD (Low-Density Supersonic Decelerator)という大型の火星探査船をつくっている。この宇宙船は、火星に人を送り込むために設計されている。
一見、円盤型のUFOのような姿をしているが、なぜNASAはこのような形の宇宙船をつくろうとしているのだろうか。
まず、宇宙船は速いほど良い。火星の有人探査のためには、人体に対する放射能の影響を減らすために、一定の期間で地球に戻ってこれるようにしなければならない。また、長期滞在を可能にするために、大量の物資を送る必要がある。
しかし、次に問題となるのが、「速く」「重い」宇宙船を「どのように着陸させるか」だ。
音速の何倍・何十倍の速度で航行している重い宇宙船を、着陸に適切な速度まで減速させなければならない。失敗すれば、宇宙船は火星の表面に叩きつけられて木っ端微塵となる。
そこで、NASAが試作しているのが円盤型の宇宙船だ。火星の大気圏に入った時点で、円盤の淵についている「風船」を広げることで表面積を大きくし、空気抵抗で減速する。ある程度減速したら、円盤の後ろからパラシュートが出て、さらに速度を落とすこととなる。
昨年の6月に、太平洋上でテストが行われた際、テスト機がマッハ4から時速48キロほどまで減速し、太平洋に無事着水した。ただ、パラシュートがちぎれるなどの問題があったため、今年の6月に、改良された宇宙船のテストが行われる予定だ。
火星の有人探査や宇宙航行には多くの技術的な障壁が存在する。しかし、一見「ありえない」と思えるような技術も、多くの研究と試行錯誤を重ねる中で、少しずつ形になっていく。
日本も2018年に月に無人機を送り込む計画を持っている。しかし、月や火星よりさらに遠い惑星や、太陽系外に行くには、さらに速い宇宙船が必要となる。いずれは、光速を超える原理が必要となるだろう。
広大な宇宙を探索するのは、人類の一つの大きな夢といえる。日本もいまは「ありえない」と思えるような技術開発にも早くから取り組み、この夢の実現に向かって努めるべきではないだろうか。(中)
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