行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

行政書士開業講座(第4回)

2009-02-04 02:43:16 | 資格・転職・就職

 ところで、ご自分が専門にしたいと思う業務に従事しようと思っても、それなりの最低限の知識を習得しなければなりません。当然の事ですが、その知識がなければ、ホームページさえ作ることが出来ない訳ですし、当然に依頼などを受けられる筈もありません。

 よく、”どこかの行政書士事務所で何年か修行して、ある程度覚えたら独立したい!”なんてお考えの方もいるかと思うのですが、その可能性はほとんど無いと思われた方が良いでしょう。それは、この行政書士という資格、資格を持っているだけでは、実務専門家として価値が殆ど無いからなのです。

 つまり、雇う側からすれば、ある程度教えて、やっと一人前として使えるようになった途端に辞められてしまうのであれば、事務所として労働対価を払う価値が著しく低くなってしまうからなのです。つまり、見習い中の事務処理効率は半分以下、いやベテランの二割程度しかないのです。そして、やっと、事務処理効率がベテランの六~七割までになったところで、独立開業されてしまったら、これはもう単なる若手育成の為の慈善事業に終わってしまうからです。

 ですから、自宅開業にせよ、その他の仕事との兼業にせよ、最初からご自分一人で開業することを念頭に置かなくては、いつまで経っても開業は難しいと思われます。

 ところで、ここ数年はインターネットのHPで、可成りの行政庁がその申請手続の詳細や審査基準についての情報を公開をしている上に、所属する各都道府県の単位会や支部が行う実務研修会も多数開催されています。ですから、最低限の実務の習得は、10年前と比してかなり容易にできる状況にあります。

 しかしながら、実際に依頼人を前にして、問い合わせを受け、更には有償にて依頼を受ける事にはやはり不安を感じる方々も多いと思います。しかし、どんなベテランの先輩行政書士であっても、かつては同じように不安で一杯だったと思います。私自身も同じでした。では、どうやって、それを乗り越えて、今現在のようになれたのか、と思われる事でしょう。

 基本的には、幾多の実務経験の積み重ねから、今現在のような自信に結び付いた訳ですから、一つ一つの経験を大切にして、研鑽する事だと、建前では言えるのですが、実際は多くの失敗を繰り返し、試行錯誤の上でやっと今日の地位を築いた苦労話が必ずあった筈です。

 実は、ベテランの持つ失敗に関わる多くのノウハウが、依頼される案件が微妙であればあるほど大変重要なポイントとなって、実務の上で非常に役に立っている事が多いのです。これにより、些細な申請上のミスを防ぐことができ、また確実に審査結果を出せるノウハウでもあるからなのです。また、そこがベテランに依頼が集中し易い点でもあるのですが・・・。

 かつて、私が行政書士として登録した頃、こういった細かい点までを覚える事は、結果として自分自身で切り開いて行くしか方法はありませんでした。それは、決して良いことだと思わないのですが、自分自身のスタイルを形成し、或いは、自分自身が生き残って行く為の力を付けるという意味に於いては、それはそれで必要なプロセスであったかもしれません。しかし、これからの行政書士業界全体のことを考えるのであれば、実に非効率的で閉鎖的な方法であり、何よりも他士業との関わりや、今後の行政書士生き残りという課題から考えても、後進の者達へ、少しでもその経験を開示・伝承して業界全体としての底上げが必要であると思うのです。

 幸いにも、ここ数年は状況が変わって来ているようで、諸先輩行政書士の一部が、積極的に自分たちの持つノウハウを、単位会や支部レベルの研修会にて公開し始めているのです。ですから、これから開業登録される方々は、少なくとも定型業務関する基本知識の習得に関しては、さほど心配されることは無いと思います。

 とは言え、受託をするという事は、また別問題です。依頼人は、出来る限りその依頼をしようとする手続を、手慣れたベテランに頼もうとする傾向があります。それは、皆さんご自身が病気や虫歯になった時に、新米の医師や経験が少なそうな歯科医師に診て貰うよりも、出来るだけ、ベテランの医師や歯科医師に見て貰おうと思う気持ちが起こる事とまったく同じです。それも、症状がひどい病気の場合、或いは、その病巣が深刻であると思われる場合には、より一層その傾向が強くなります。

 風邪程度であれば、ご近所の町医者や近所の病院で済ませようと思うことでしょう。しかし、どうも癌ではないかとか、或いは、重度な病気ではないかと疑われる場合、新米の医師に診て貰おうなどと思う奇特な患者は少ない筈です。その病院の入院費が安いとか、近いだけで、病院やクリニックを選定する方々は極めて少ないからです。特に、重篤な病気の疑いがあればあるほど、より良い専門医師のいる病院やクリニックへ向かおうとするのは、人間のごく自然な心理だからです。

 そして、我々の扱っている行政手続もまったく同じなのです。ですから、新人の方々にとっては、その意味では決定的なハンディキャップがあります。それは、医師や弁護士、或いは行政書士でも全く同じ事なのです。

 しかし、どの士業でも、このハンディを乗り越えて、多くの新人は必ず頭角を現して来るのです。勿論、挫折する方々も居ます。その数が、行政書士業界では比較的に多いので、おそらく”行政書士では食えない”という噂が広まっているのだろうと私は思っています。

 ところで、ではどうしたら、こうした経験上のハンディを乗り越えて行けるのでしょうか?

 それには、基本的には二つの方法があります。一つは、新米であるが故に全身全霊を込めて、依頼人に対応する方法です。二つ目は、ベテランそれもその道に詳しい先輩の教えを乞う方法です。

 前者の場合には、リスクを求めない中堅・大手企業で、依頼に結びつける事は至って困難です。それは、企業のリスクマネージメントがしっかりしている為に、新人に依頼した場合のリスクや失敗した場合の責任の所在を考えると、提示される報酬額が法外でない限り、専門家に依頼しようとする力学が当然に働くからです。僅か、5万円、10万円安かろうとも、その新人に依頼するリスクが高いのであれば、依頼という選択に結び付かないからです。

 一方、依頼人が中小・零細企業の経営者、そして個人であるような場合には、費用を重視する方がかなりいます。また、人物の相性とか好みといった感情面での判断を、”感”と称して重要視される方も相当数います。

 尤も、誠実に依頼に対応してくれるかどうかという一点について言うのならば、こういった中小零細企業の経営者や個人のみならず、中堅・大手の担当者でも、この点を軽視しないという点ではまったく変わりはありません。

 従って、新人行政書士である皆さんが、誠心誠意を持って対応したとしても、中堅・大手企業が依頼人である場合、その依頼の重要度が高く、更には失敗が許されない手続であるのならば、新人行政書士という理由だけで、依頼に結び付かなかったという例は実際に多々あるのです。

 こうして、過去の人脈によって、折角紹介して貰った中堅・大手企業との接点を、実は台無しにしてしまっている新人行政書士の方々が多数いることは、案外と余り気付かれていないようです。

 では、具体的にどのようにして、新人であるご自分の依頼に結びつけられるのか!この方法について、更に詳しく次回でお話したいと思います。

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行政書士開業講座(第3回)

2009-01-31 01:11:39 | 資格・転職・就職

 ”好きこそものの上手なれ”なる格言がありますが、専門家になるには、その仕事が好きでなくてはなりません。儲かるから仕方なくやっているとか、取り敢えず簡単そうだからとか、いやだけど取り敢えずやってみようとか、ただ単に需要が多そうだからとかやってみよう、といった感覚でやる仕事の姿勢では、依頼人から決して良い仕事をしてくれたと言われることは無いと断言できます。多少なりとも、マニアックなまでに、その依頼案件にのめり込めるか、或いは、打ち込めるかどうかだと私は思います。

 例えば、漫画家で医師でもあった手塚治虫は、漫画の世界が大好きな青年でした。だから世界的な漫画家になれたのだと思います。作家で、やはり医師でもあった渡辺淳一も同じだと思います。

 つまり、安定性があるとか、年収XXX万稼げるとか、時間が自由になるとか、サラリーマン時代のような人間のしがらみから逃げられるとかいっった理由だけでは、専門家になるどころか、コンスタントな依頼を受けることさえも危うくなって行くと私は思います。

 それは、ごくごく簡単な話でして、好きでやっている訳ではないので、結果としてその分野の細部に渡るまでの目配りができない事や、それに付随・関係する分野にまでも好奇心を持つことが出来ないからです。つまり、些細な事を見落としたり、解決方法として、別な角度からのアプローチするといった方法を見出せない為に、結果として解決策が見つけ出せないままで終わってしまうからなのです。

 実は、私は結果的に解決に2年がかり、3年がかりというような時間が掛かるような案件を引き受ける事もあるのです。具体的にお話しすると長くなりますので、ここではご説明しません。しかし、実際に今現在でも、依頼人も私も意地のようになっていて、6年目の現在も解決に向けて努力している事案もあるのです。

 ですから、皆さんが行政書士の仕事として、これだったら打ち込めそうだと思われるような業務を探すことが、先ずは重要な第一歩なのです。

 ところで、行政書士の代表的な定型業務と言われている業務には、以下のようなものがあります。

 1.建設業許可経営事項審査建設工事競争入札参加資格審査、宅地建物取引業登録、電気工事業登録等の建設・宅建関係

 2.遺産分割協議書作成、財産・相続資料の調査・収集、相続・遺言書起案・作成

 3.介護保険指定事業所、高齢者財産管理・福祉申請関係、任意後見契約公正証書の起案作成等の高齢者・福祉関係

 4.貨物運送業許可、倉庫業許可、自動車登録、車庫証明、封印申請、自賠責保険請求などの運輸・交通関係

 5.外国人在留資格、国籍手続、国際婚姻・国際養子縁組などの国際業務関係

 6.旅券申請代行、領事館査証の申請代行、渉外民事証明書認証手続などのその他の国際身分・民事手続

 7.株式会社、合同会社、外国会社の日本営業所、社団法人・財団法人・NPO法人などの設立・設置手続関係

 8.定款作成代理、組織変更・役員変更・合併・定款変更などの会社議事録作成関係

 9.農地転用届、産業廃棄物最終処分場許可、協同組合設立などの地方型業務

10.バー営業許可、深夜飲食店許可、パチンコ店営業許可、風俗店営業許可申請などの風営関係

11.総勘定元帳作成や給与計算代行などの会計記帳

12.貸金業登録、旅行業登録、警備業認定、酒類販売免許、飲食・美容院・理容店・クリーニング店等営業許可等々の許認可関係

13.医療法人設立、医薬部外品製造、化粧品製造販売、化粧品輸入届、医療器具承認等の医療・薬品関係

14.文化庁著作権登録、コンピュータープログラム登録などの著作権関係

15.各種補助金・助成金申請代行、私募債発行手続、事業計画書作成などの事業資金コサルティング付随関係

16.離婚協議書作成やカウンセリングなどのカウンセリング付随業務

17.告訴状、告発状、示談書、強制執行認諾条項付消費賃貸(債務弁済)契約公正証書、覚書・契約書、内容証明書等々の作成などの市民法務関係

 以上書いた業務は、いわゆる定型業務ですから、これ以外の非定型業務も相当数あります。そして、2.3.5.14.15.16.17.などはここ20年以内に急増した業務です。ですから、規制緩和の結果、業務が減るどころか、不思議と逆に業務は増えているのが現状です。

 これらの業務は飽くまでも、関わる行政書士人数の多い・少ないは別として、それなりの人数の行政書士が業務として取り扱っている業務です。従って、余り知られていない申請や手続なども多々あります。

 例えば、私の場合ですが、IATA加盟手続とか海外在住日本人の報告的出生・婚姻・認知・死亡等の届出の代行とか、外国機関向けの外国文書による事実証明書の作成やら、日系人のルーツ調査といったような、あまり他の行政書士が行っていないような業務も取り扱っています。それは、私だけに限らず、多くの中堅・ベテラン行政書士の方々も同じようにレアーケースな申請手続をそれなりに経験されていらっしゃると思われます。

 こういった業務をすべて書き出すと、おそらく数千の申請や手続業務が出てくるものと想像出来ます。ですので、上記定型業務だけを見て一喜一憂したり、或いは、好き嫌いと決めつけたりする必要はまったく無いと私は思います。それこそ、何かの拍子に、新たなる発見や出会いがあるかも知れません。

 こういった行政書士業務の中で、ご自分が好んでのめり込めそうな業務が見つかれば、その業務の専門家になるように、それからでもご努力・ご精進されたら良いのです。

 勿論、かつて職場での経験や人生経験を活用できれば、それに越したことはありません。しかし、嫌いな仕事を続けていても、所詮は探求心や向上心が必ず乏しくなりがちですから、専門家になる事は極めて難しいと考えます。

 本当に好きな業務であれば、面倒とか、手間ばかり掛かって儲からないといった、マイナスに取り組み姿勢が働くことがありませんので、とことん追求・探求することにより、依頼人が納得して頂けるような素晴らしい仕事を結果としてすることになるからなのです。

 以上が、専門家になる為の極意です。なぁ~んだ!と思われた方々がきっと多いと思うのですが、これは本当です。儲けや効率だけで行っている、やっつけ仕事で報酬を簡単に取れるほど世の中甘くはないのです。ある意味では、相当なマニアック的な仕事をしない限り、あっという間に模倣されるどころか、依頼人からも見放されてしまうのです。

 よく、経済性、利便性のみでクライアントを確保しようとする新人の方々がいるのですが、少なくとも短期的には成功しても、長期的にはそれで成功した実例は未だにありません。時と共に専門性を採り入れて、方向転換して生き残った方々は居ても、薄利多売のような依頼の呼び込みで、長続きした事例は皆無なのです。

 では、次回は専門家として成功する為の秘訣というか、ヒントについて書いて見ようと思います。

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行政書士独立開業講座(第2回)

2009-01-28 00:43:17 | 資格・転職・就職

 平成20年に行われた行政書士試験の合格発表がありました。合格率は全国平均で6.47%、合格者数は4,133人だったようです。10年前平成10年に私が受験した時がそれぞれ5.85%、1,956人で合格率がほぼ同じですから、10年前と比べて受験者数、合格者数が約2倍という結果のようです。

 合格できた方、先ずはおめでとう御座います。そして、独立開業をお考えの方、この前の第1回目に遡ってご覧頂ければ幸いです。また、あと一歩及ばなかった方、どうか諦めずに頑張って下さい。そして、合格するその日の為の準備としてお読み下さい。

 さて、行政書士としての専門性を見つける話の前に、これから行政書士として独立開業しようとお考えの方々に、最初にどうしても申し上げたい事が3点ほどありますので、それを先に書きたいと思います。

 先ず第1点目ですが、他士業の法律が禁止している業務を、決して業務として侵犯しないことです。裁判所手続の代理及び裁判所に提出する答弁書などの書類作成、金銭貸借や債権回収、慰謝料・損害賠償等に関わる交渉の代理、特許・意匠登録・実用新案の申請の代理、登記・供託の申請の代理、所得税・消費税の申告の代理、社会保険・労働保険の申請の代理等々です。

 これらの業務を行うと、弁護士法、弁理士法、司法書士法、税理士法、社会保険労務士法にそれぞれ違反し、最悪の場合には逮捕・起訴されて、行政書士として失職します。

 しかしながら、行政書士は、上記の他士業法が定めた独占業務以外は扱えるのです。更に驚くことに、上記の他士業法他が定めた独占業務とその非独占業務以外すべての行政手続が行政書士の独占業務となるのですから驚きです。

 このように、実に恵まれた環境にあるにも関わらず、年間数人かの同業は、弁護士法違反などで逮捕・起訴される者が後を絶たないようです。誠に残念な事です。

 ここ数年、社労士さん、司法書士さんなどでも、行政書士試験に果敢に挑戦して合格されて登録される方々が急増しています。また、税理士さんの行政書士会への登録入会も昨今急増しています。それは、我々行政書士の職域がとてつもなく広い事を、他士業である社労士さん、司法書士さん、税理士さん達は良~くご存じだからです。

 ですから、何もお隣の芝生の色を気にしたり、羨ましがる必要などまったくありません。先ずは、自分たちの膝元にある業務が何なのか、何ができるのかを知ることが最も大切なのです。それさえも知らずに、ダブル・トリプル資格を持っていても猫に小判、豚に真珠となること間違いなしです。まして、無資格で他士業の独占業務に侵犯する違法行為などは言語道断です。

 第2点目ですが、虚偽の申請を決してしないことです。”すこしだから良いだろう”、とか”今回だけはやむを得ない事情なので目をつぶる”とかいう考えから、2度3度と罪を犯して行くのです。かつて、東京都行政書士会の某支部長を務め、東京都行政書士会の会長選にまでに立候補した御仁もおそらくそうであったのであろうと想像されます。しかし、虚偽申請は、有印私文書偽造などで立件・起訴される立派な犯罪です。たかが1回だとか、ちょっとだけなどと思ったら、もう士業としては完全な失格者です。

 依頼人である、一部の中小企業の経営者中には「まともにやって申請ができねぇんだからよ!おめぇらみてぇな代書屋に金払って頼むんだよ。法律がどうのこうの言うんだったら馬鹿でも言えるんだよなぁ。だからよ、そこを何とかするのがプロって言うもんじゃねぇのか?」なんて、とんでも無い事を平気で言う輩がいます。

 そんな時には、「あははは・・・、面白い事をおっしゃいますね。確かに1億円程頂戴できれば、やるだけの価値はあるかもしれませんねぇ。まさか数百万円程度のハシタ金でやってくれなんておっしゃる訳じゃないんでしょうねえ?数千万円貰ったって、退会処分になったら割は合いませんよね!社長。」なんて、途方も無い金額を言ってやりましょう。どうせ、払える筈も無い訳だし、そんな仕事を受けるつもりも無いのですから、からかってやりましょう。実際に昔あった話ですが、偽装結婚の相手を紹介してくれたら200万円払う用意がある、なんて電話で言って来た外国人がいましたが、2億円貰ってもやらないよ馬~鹿!と言い返した事が本当にありました。

 最後の第3点目として、士業の資格を金儲けの道具として考えて欲しくないという事です。金儲けをするのであれば、士業としてではなく、会社を経営するなりして、そこで営利追求すべきだと私は思います。行政書士法をはじめとする各士業の法律では、私達士業者に対して特別な職務権限が与えられています。それは、決して私たちの利益や権益保護の為では無く、私達を利用する依頼者である利用者の利益保護の為の職務権限である筈です。

 ですから、私達士業者は、依頼者の為にその与えられた特別な職務権限を、自分自身の金儲けのためではなく、依頼者の為に使うべきなのです。ところが、意外にそこを勘違いしている方々が多いと思うのです。この与えられた権限を金儲けだけに使おうと画策する人々が残念ながら未だに多数いるような気がしてなりません。XXの資格で000万円稼ぐ方法!とかの文字が躍っているのを見る度に、こういった勘違いしている人々が、この業界で何年も生き延びてゆけるような士業界であってはいけないと、いつも思うのです。

 正直に申し上げれば、この行政書士の仕事による私の収入は、未だにサラリーマン時代より少ないのが現状です。しかし、こんな素敵な仕事はありません。なぜかって?それは、必ず「先生、この度は本当にありがとございました」と心からお礼を言われて報酬を頂戴できる仕事だからです。それは、サラリーマン時代では決して味わうことの出来なかった感動なのです。なかには、涙ながらにお礼を言われ、未だに年賀状やお歳暮を頂戴する方々も多々いるのです。ですから、こんな素敵な仕事に就けて、私は本当に幸せだと思っています。もしあなたが、お金儲けだけをお考えであるのならば、この行政書士の仕事、いや士業の仕事には不向きであると私は思うのです。また、そうあって欲しいと思います。

 少なくとも、私はサラリーマン時代に比べれば、この仕事に就いてからは、もしかして地獄へではなく、天国へ行かせて貰えるのではなかろうか、などと本気で思っているのです。

 まあ、冗談は兎も角として、次回からは独立開業には欠かせない、行政書士としての専門性に関わる具体的なお話をして行きたいと思います。

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行政書士独立開業講座(第1回)

2009-01-24 10:30:28 | 資格・転職・就職

 来週26日には行政書士試験の合格発表だそうです。ちょうど10年前平成11年の1月(確か、1月11日?だっと思いますが・・・)、私も不安と希望の両方が交錯して、どきどきしながら合格発表日を心待ちにしていました。

 当時、私は合格した場合の自分の人生設計を既に立てていました。つまり、どのような業務を中心に行うとか、その為の広告戦略はどうするとか、資金的にはどうするとか、どこに事務所を構えるとか、当面は収入の見込みは少ないので兼業でやって行くとか等々です。

 私はもともとサラリーマン時代に、新規事業の立ち上げを担当していたことから、事業概要計画書には、当然のように様々な事業環境や生活環境を想定して、想定数値を出していました。それでも、今振り返って見ればその計画どおりにはなっておらず、薄氷を踏むような状態も多々あったと記憶しています。幸いにも、3年目くらいから兼業無しで、何とか軌道に乗せる目途が出来たことは幸いでしたが・・・。それでも、今思えばこの仕事で本当に食べて行けるのかと不安は常にありました。

 ある、有名な女性社労士さんのブログを見ていたら、ご友人の税理士さんがラーメン屋さんでアルバイトをし、司法書士さんが宅配のバイトをし、社労士であるご自身も資格学校の講師をしながらの兼業だったそうです。

 勿論、そういう私も開業から2年間ほどは通訳の仕事と兼業でした。また、同業の方でアルバイトに交通量の調査員をしたり、ガードマンをやったり、或いは、スーパーでバイトをしていた方も知ってします。

 ですから、試験に合格したからといって直ぐに仕事の依頼が来る筈もないのです。それは、医者や歯科医師であろうと、弁護士、司法書士、税理士、社労士であろうと皆同じなのです。

 あの、今は関西の某知事である弁護士のXXさんも、開業当時は名刺1,000枚を配って歩いたという話を聞いた事があります。

 ですから、行政書士試験に合格したということは、しっかりとご自分の専門業務、或いは営業できる業務を明確にしなければ、とても独立開業しても続かないということです。

 行政書士資格をはじめとする士業の国家資格に合格する方の一部には、資格を持っているだけで、具体的な専門性、或いはご自分を売りを示せないで終わってしまう方々が多いように思います。ですから、XXの資格は食えない、とかOOの資格があれば大丈夫などどというデマ情報が横行するのです。

 私の知っていた方なのですが、中小企業診断士、社労士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅建と資格を山ほど沢山持っていた方がいたのですが、食べるのに大変苦労されていたようでした。苦労して、勉強され取得された資格が床の間の飾になっていては、実に勿体のない話です。

 我々行政書士の仕事とは、その行政庁に申請する書類作成の専門性によって報酬を頂く仕事です。ですから、基本的には依頼人は、

①その申請業務が難しく、かつ確実・迅速に取得する必要がある場合には、それに精通しているで専門家に高くともお願いしようと思う実力・実績を重視するか、或いは、

②その申請が比較的簡易なもので、業務の傍ら出来ない事はないが、業務時間を割いてまでわざわざやる程のこともないので、高くなければ行政書士に任せてみようと思う利便性・経済性を重視するか、はたまた、

③経験は浅くとも誠実な人柄なので、その人物に任せて見ようと思う誠実性・人柄を重視するか、

以上いずれか三つのケースしかないのです。

 一般的には、士業の中でも、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、司法書士、土地家屋調査士といった方々が行う業務はその専門性が高く、一般人が本人のみで出来うるケースは極めて少ないので、彼等有資格者に依頼してくるケースが多いと思われます。一方、行政書士の場合、原則ご本人が申請できるような簡単な業務、例えば旅券の申請から、とても個人ではできないような事案、例えば外国人による新規事業の立ち上げに伴う会社設立手続、その許認可手続及びその外国人の在留資格(ビザ)取得手続きなどの一連の手続などに大別されますが、概ね前者の手続きが多いのです。

 それは、ここ数年HPの普及や電子政府化の方針に従って、多くの官公庁が、概ねの手続き方法やその内容、或いは指針などをインターネットなどで公開し、一般の方々でも容易にその申請方法を入手できるようになったからなのです。

 従って、我々行政書士がプロとして受託する手続き業務の殆どが、こういったHPに掲載されているような許可条件にちょっと不足して、申請できないと思われるケースとか、又は、申請出来るかどうかが良く分からないケースや申請できるかどうかが疑わしいケース、はたまた、実際に申請しても許可されなかったり、或いは、受理されなかったケース等の依頼人が殆どなのです。

 つまり、誰がやっても許可される、或いは、申請受理されるのような簡単な手続案件を依頼される事は極めて少ないのです。だからこそ、我々プロが精査し、別の角度からの立証方法を教示したり、或いは、当該行政庁との事前折衝を代行する訳なのです。HPで公開されているような条件のみで申請出来るような簡単な手続きであれば、それこそPCの使い方が分かる方ならば、誰でも出来る申請手続業務になってしまい、行政書士という国家資格者に独占させる意味がまったく無くなってしまうからです。

 以上のように、専門家としてクライアントに報酬を請求し、その報酬を堂々と貰えるプロとしてなりうるかどうかという事を先ず考えて見て欲しいと思います。そのイメージがまったく湧かない方、或いは、全く想像が出来ない方が、行政書士として独立開業する事は極めて困難だと言えるでしょう。

 既に、ご自分の経験や職歴などを生かして、行政書士として独立開業しようとお考えの方で、具体的に行うべき業務を既に絞り込んでいらっしゃる方は、暫くの間このブログをご覧になる必要はまったく無いと思います。

 それでは、どのようにしてご自分の専門性を見つけて行くのか、或いは、どのようにして専門家になって行くのかについて、次回以降にお話したいと思います。 

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お待ちしています!

2007-09-24 13:23:06 | 資格・転職・就職

 今年の行政書士試験は、11月11日と1の4並びです。そういえば、私の受験番号は1234番でした。そして、東京都行政書士会の登録番号が、4231号と並び方は違うものの同じ4つの番号です。不思議な話です。

 ちなみに、バラしちゃいますが、模擬試験を含めて本試験が1番良くできました。少なくとも3問ほど(実際は5問かもしれません・・・)、まぐれ当たりしただけの話ですが・・・。

 このブログをご愛読頂いている方々の中には、行政書士を目指している方々もいらっしゃるようで、何かお役に立つ経験は書けないかと思って考えましたが、もう9年も昔の話ですので、何も頭に浮かびません。強いてあげれば、当日は時間的に余裕をもって早めに試験会場に行きました。でも、本などは広げず、ただただボ~としていました。

 そういえば、資格予備校ダイエックスの元講師で、行政書士として同業でもある「酒井滋先生」が書かれている『弱点発見!行政書士問題集(¥1,890)』(https://bookweb.kinokuniya.co.jp/hb/wshosea.cgi?W-NIPS=9981725242&BN=OFF)なる本がありますのでお勧め致します。

 講師として教えて頂いたことはありませんが、同業として大変真面目で、誠実な方ですので、きっと良い本を書かれたに違いないと確信して推薦致します。お互いの事務所は、ごくごく近くです。

 それでは、試験を目指している方々! 最後の一踏ん張り、体調に気を付けながらラストスパートして下さい。 同業としてお待ちしています!

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