行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

受けてはいけない依頼を受ける同業の存在

2009-02-28 16:13:51 | 資格・転職・就職

 ある真面目な方の友人と称して、最近頻繁に問い合わせの電話をかけてくる同業がいる。確かに、研究会などで顔見知りではあるのだが・・・。さりとて、特に親しく話した事など一度もない。昨年、私が講師を務めた講義にご参加頂いた、いわゆる顔を知っている程度の同業なのである。

 ですから、私の事務所に一度たりとて事前に挨拶に来た人物でも無い。つまり、どんな人物かも良く知らないのである。それなのに「XXです。、ちょっと、伺いたいことがありますので、今いいでしょうか。」と、何度も電話をかけてくる。はっきり言って、非常識な奴だと思っていたのだが・・・。しかし、その友人という方が、実に礼儀正しい方だったので、少々我慢して応対していたのであるが・・・。

 ところが、昨日また突然電話があった。「XXです。今ちょっとよろしいでしょうか?」

 「何ですか?一体!」と、やや冷ややかに言ったつもりでしたが、厚顔無恥というか、私が迷惑がっているのをちっとも気が付かないというか、わざと気が付かないフリをしているか、どんどん話し出すではないですか。まったくデリカシーの無い奴なのである。

 「仮放免についてなんですが・・・」と、その同業。

 「仮放免申請はご存じの通り、一見簡単な手続きですが、入管にそれなりの理由で収容されている外国人ですから・・・。ちゃんと詳しい事情は把握しているのですか?」と質問すると、

 「実は、もう出しちゃいました。」

 「えっ! どんな内容かは知りませんが、申請して簡単に降りるような許可では無いんですよ! 一体どんな内容なんですか?」と、私の語気が荒くなっていったのでした。それは、余りにも、その同業が安易に思えたからです。

 一般的には、入管が外国人に対して行う収容とは、警察が行う逮捕勾留に近いものがあります。しかし、裁判所の許可や、検察官の指揮を受ける逮捕勾留とは違い、入管独自の判断で行われます。その基準として、強制退去処分を下そうとする外国人であることが基本前提になっています。つまり、収容しないと、逃亡のおそれがあり、強制退去処分が執行できないおそれがある場合などです。

 つまり、それなりの違反の事実がある外国人でなければ一般的には収容されることはありません。ですから、入管は昔と違ってそう簡単には外国人を収容しないし、出来ないのです。

 その収容者に対して、逃亡のおそれもなく収容している意味も少ないから放免して欲しいと、刑法上の仮釈放のような申請をするのが仮放免申請なのです。ですから、違反事実があっても在留が許可されるような事情や見通しがある場合とか、或いは、病気治療中であるとか、或いは、配偶者が入院中であるとか、小さな子供がいるとか等々、何らかの合理的な理由や人道的な理由があって、はじめて仮放免が許可されるのです。

 ところが・・・。この同業、そんな事は無関係に受託しているのです。仮放免申請は一見至って単純で、申請だけなら馬鹿でもできるような簡単な申請です。しかし、それは最低限要求されている添付書類の話で、実際は入管当局が把握していないような新事実を含む立証証拠を添付して申請します。ところが、この案件では、外国人本人とその配偶者も含めて、かなり悪質なケースなのです。

 「XXさん。何でこんな依頼を受けたの?私は何も教えられないよ! 教えたら、間接的に荷担した事になっちゃうでしょう? その外国人と配偶者がやったことは結果としては犯罪ですよ! 仮にどんな事情があったにせよ、そんな案件を安易に受けちゃ駄目じゃないですか!そんなに簡単に受けちゃっていいんですか? XXさんも荷担していると、当局に思われますよ!」と、私は殆ど叱るように話しました。

 「やっぱり。まずかったですかねぇ・・・。やっぱり、断ろう・・・」と、その同業。

 「あたり前でしょう。XXさん! あなたのモラルが問われるのですよ! こんな依頼を繰り返し受託したら、新聞に出るようになっちゃいますよ! しっかりして下さいよ!XXさん」と、私。

 電話を切ってから、この同業について検索してみたら、結構依頼を受けているようである。実は、当たり前なのである。この様な、我々が絶対に受託しないような案件を受ける同業というのは、たちの悪い外国人の間で直ぐに評判になるからである。「あのXXのところ行けば、何とかしてくれる!」と、あっという間に仲間達に伝わるからである。こうやって、(悪い)類は友を呼び、だんだんと違法行為という感覚が無くなって行くのである。同業で逮捕されている連中の落ちて行く典型的なプロセスなのである。

 本人は、電話口では多少は反省したかのように聞こえたのだが・・・。さて、どうなることやら、なにせこの同業のことを、私は何も知らないのだから・・・。

 「非常識な奴には、やはり常識は通じないと思うよ!」、そう友人に言われてしまい、黯然としてしまった週末でした。

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行政書士開業講座(第8回最終回)

2009-02-21 11:38:13 | 資格・転職・就職

 前回に、今では、問い合わせのあった相談で、受託出来うる内容であれば95%以上は受託していると書きましたが、実際本当の話です。それは、私は自信を持って相談者にお答え出来ているからです。ですから、相談者にとっての関心事は、私の報酬額と私個人との相性だけだと思います。

 報酬に関して言えば、同業に比べて特に高いとは思いませんし、かといって安いともいえない標準的な報酬額だと思います。しかし、やはり5%程の相談者の方々には、私の話し方や或いは、私の態度がお気に召さない方々も多少はいらっしゃると思っています。

 お電話などでお問い合わせ頂いた後に、この方はもう連絡して来ないなぁという事は大体想像がついてしまいます。それは、この10年で数千件にも及ぶ相談に応じて来た経験から学んだ、いわゆる”経験による勘”というやつではないかと思います。従って、新人の方々が一朝一夕に習得できるものではないと想像します。

 でも、人によってはこのような事を体得されるスピードに個人差は確かにあります。直ぐに体得できてしまうタイプの人と、中々体得できないタイプの人がいるかとは思いますが、私はどちらかと言えば後者のタイプですから、決して器用なタイプの人間ではないと思います。それでも、経験とは凄いもので、気が付けば知らずと身に付いているのです。

 こういった紆余曲折の実体験を、諸般の事情によりあまり長年はしても居られないという方々もいると想像します。そんな方々の為に、私とパートナー達の関係の一部を公開致しましょう。

 パートナーの方々は、いわゆる新人の方々で、私の事務所に教えを乞いに訪れた方々のほんの一部の方々です。このパートナーになった方々に共通していたのが、ご自分に来た相談に対して、共同でやって欲しいとご提案されたことでした。

 こういったご提案をされますと、まず何とかして受託に持って行って差し上げたいと思うものです。そして、共同で受託できれば、私もプロですから、その依頼案件は絶対に失敗させる訳には行きません。そして、彼等に私の持っているノウハウを全面的に開示し、それを覚えて貰わないとことには共同作業はスムーズに進みませんし、何よりも依頼人の不利益になってしまいます。更には、彼等新人には、私以上にフットワーク良く動いて頂くことによって、極力依頼人に接して頂き、少しでもプレゼンスを増やす機会があるようにすることは不可欠です。また、当然のことですが、積極的に私のノウハウを吸収して貰わなければ、新人さんご自身の為にもなりませんから、そのステップステップでの重要なポイントに於いて逐次解説して行かねばなりません。

 そして、何よりも大切な事は、依頼人の為に頑張ろうとする意識が共有できるかどうかです。つまり、お互いの信頼感と、この仕事に於ける共通の価値観が一致しないことには中々機能しないと思います。

 幸い、彼等が持ち込んできた相談の90%以上は受託できています。決して、簡単な案件ではなかったのですが、すべての案件で結果が付いて来ました。ですから、彼等にはそれなりの経験になり、それなりのノウハウ取得が出来たのではないかと思います。しかし、何よりも彼等の自信に繋がったのではないかと思っています。そして、それは今現在も進行中です。

 ところで、基本的なパターンですが、大手企業や場慣れした依頼主からの案件には私も同行し、あらゆる質問にも即答できるような対応をするようにしています。それは、今現在使っている同業に何らかの不満がある場合が多く、その部分で相当の実績を示さなければ、その企業との成約に結び付かないからです。ですから、どうしても、私が全面的に出る形になってしまう傾向があります。そのプロセスを見て、ご自分流のスタイルを作って頂く為の参考にして貰います。そして、先ほども書きましたが、新人さんは新人さんなりにそのフットワークの良さを使って、積極的に顔を売り込んで貰うようにしています。また、報酬の請求段階では必ず彼等を前面に押し出す事で、私への信頼を失わないように注意を払っています。これは、おそらく最も重要なポイントだと思います。

 一方で企業案件以外では、彼等に出来る限り全面に出て貰うようにしています。そうする事によって、彼等自身の大きな経験となりますし、仮に多少のミスがあったとしても、常に後から私がバックアップすることで、必ずリカバリーできるシステムとなっているからです。例えば、依頼人と会う直前まで、携帯電話などで打ち合わせをし、事前のアドバイスなどによりフォローをします。そして、面談中であっても、不明な点で即答の必要があるような場合には、携帯電話での問い合わせにも応じています。勿論、共同作業ですから、必要書面の確認やその作成段階から、そして最終点検及び申請に至るまでのプロセスでも念入りに打ち合わせします。

 今のところ結果としては、依頼人にとっても、新人であるパートナーさん達にとっても、そして、勿論私にとっても三方がすべて良い結果となっていると思います。そして彼等の評判、実績に繋がって来れば、いづれは独り立ちして貰うことになります。

 但し、このシステムが成立するには次のような条件が必要となります。

1.お互いの信頼関係が強固であること、

2.私がノウハウを全面的に開示すること、

3.彼等がどん欲に私の持つ知識や経験を吸収すること、

4.依頼人に対して積極的なフットワークの良さで対応すること、

5.お互いの相性が良いこと

 以上の5点だと思います。特に、相性の善し悪しは大事です。信頼関係はあっても、どうもこの人とは馬が合わないとか、リズムが違うと思った場合には、共同作業がギクシャクして来てしまうからです。

 一方、こういった環境には縁遠く、このような状況が決して望めないのであれば、基本的な姿勢である、依頼人に誠意を持って接し、紆余曲折があろうとも、全力で解決に向かって努力して、一つ一つの案件を処理して行く手法しかありません。その方法は、時間は掛かったとしても必ず成功に繋がる方法だと私は確信しています。それは、私自身が通過して来た道であり、かつて私自身がこの様にしてやって来たからです。唯一、そして最大の問題は、そこに到達できるまでの間、経済的な面で耐えて行ける、或いは、補完できるシステムをご自身が構築できているかどうかに掛かっています。この補完システム無くして独立開業した方で息切れされた方々が、「行政書士は食えない資格」だとぼやいているのだと思います。

 桃栗3年柿8年、ローマは1日にして成らず、と昔の人々は培った経験をこういった格言として後世の私たちに残してくれました。それをちょっとだけでも参考しても決して損はないと思います。どんな名医でも、金儲け主義に走り、技術の向上を怠り、患者さんに対して傲慢になれば、必ず凋落する運命にあります。それは、我々士業でもまったく同じだと思います。XXX万円稼ぐ方法、XXでがっちり稼ぐ方法なんであるはずがないのです。日々の研鑽、依頼に対する誠心誠意の対応、そして法令遵守。これを続けることが独立開業の成功の秘訣です。

  良き先輩とパートナーを組むのか、或いは、独立独歩路線で行くのかは、皆さんのご選択です。しかしながら、今申し上げた金儲けに走るなというポリシーだけは守って頂きたいと切に願う次第です。この仕事は決して金儲けをする為のものではないと私は思います。私の知る限り、金儲けの道具としてこの仕事を営んでいた方で、今現在でもこの仕事を同じように続けていられる方々はほとんど居ないと思うからです。それは、金儲けの基本と法令遵守とが必ずしも一致しないからです。場合によっては金儲けには、法令違反への誘惑が多々あるからです。

 本当はもっともっと、お話ししたい事がまだまだ沢山あるのですが、きりがありませんので、これを以てこの講座は修了させて頂きます。長々と約1ヶ月近くに渡ってお読み頂きまして誠にありがとうございました。そして、どうか今一度、何のために行政書士という職業になったのかを再度確認して頂き、依頼人の為に今後もご研鑽下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

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行政書士開業講座(第7回)

2009-02-17 14:25:13 | 資格・転職・就職

 ここ数年の傾向ですが、インターネットによる検索が普及した為なのでしょうか、メールや電話で問い合わせてくるクライアントさんは、ある程度下調べをして、その事情に極めて詳しい方々が多いようです。そして、そのような依頼人の方々の事案に限って、ネット上に答えが見つからない場合が多いのです。考えて見れば当たり前の話ではあります。ネットで答えが見つかれば、敢えてお金を払ってプロに頼む必要など無い訳なのですから。

 従って、皆さんの事務所に問い合わせが来た場合、その8割の問い合わせは、ネット等で調べてもよく分からなかったから、我々プロに聞いて見ようと思った事案なのです。更には、その調べても良く分からなかったという事案は、概ね約40%の情報しか入手できていません。それは、概ね依頼人はワードによる検索しかしておらずに、当該官公庁などのサイトから必要な情報や答えを見つけられなかったケースだからです。つまり、全体の必要情報のうち、概ね60%の情報は、素人がネット上検索などして調べたとしても正確な答えが見つからないような事案なのです。しかし、慣れた者が検索すればこの60%の取得できなかった情報のうちの約6~7割である約40%に相当する情報を官公庁のサイトから入手することができます。つまり、ネット検索だけでも、必要情報の80%程は入手できるのです。

 従って、依頼人と新人の差は、この40%の官公庁情報取得が即刻入手できるかどうかだけの話なのです。そして、新人の方々とベテランとの違いは、更に残りの非公開情報である20%に関わる非公開情報に関する知識と経験が豊富なのか、或いは無いかだけの話なのです。

 一般的には、この残り20%の非公開情報に関する知識が、いわゆる業務経験といわれる部分になります。ところが、この20%の非公開業務情報うちの約5~8割は、ある方法で調べることが可能です。そう、当該官公庁の担当官に直接聞きに行くことなのです。場合によっては、電話で済む場合もあります。つまり、新人とベテランとの差は、官庁に上手に聞き出すことができれば、ベテランとの差は、僅かに4%から最大でも10%程度だけの情報の差だけになってしまうのです。しかも、これは直ぐにでも出来るようになります。

 そうすると、実際に不明で難解な事案は、実は全体の僅かに4~10%しか無いことになります。な~んだ、大した事は無いじゃないか!と思われたら、あなたはもう失格です。実は、この4~10%の壁は、とても厚く、とても険しい壁なのです。1年や2年では、到底破ることなどできません。少なくとも3~5年は掛かります。それも、可成りの経験を積んだとしてもです。

 この僅か4~10%部分の8~9割が分かってしまえば、基本的にはクライアントからの問い合わせで、答えに窮する事は無くなります。残りの1~2%というのは、本当に希少な事案ですから、ある意味ではプロとしても大変面白い、或いは興味をそそられる事案となるのです。

 ここまで来れば、もう立派なプロです。ですから、皆さんはまずは、官公署に問い合わせなければならない部分を、少しずつ経験を積んで、1日でも早く減らせるようにすべきでしょう。

 ネットでの回答ですと、時間的な余裕があります。しかし、電話ですと基本的には即答です。それも、1から10まで知っていても、全部は話しませんよというスタンスで話す訳ですから、聞く方は圧倒されているはずです。つまり、依頼人側が、「この人は、とても良く知っていそうなので、事務所に訪ねて、感じが良さそうだったら正式に依頼しよう」と思う方が多いと思います。

 しかし、いつも「役所に確認してから、改めてご連絡致します!」では、「こいつは慣れていないなぁ!この事案は絶対にミスは出来ないから、他のベテランの居る事務所に問い合わせて見よう!」と思われたら、そこでゲームオーバーです。

 つまり、まずは官公署にいちいち問い合わせなくとも、依頼人に即答できるようになるか、なれないかが、仕事量がぐ~んと増えるかどうかのボーダーラインなのです。国会での大臣の答弁は、優秀な官僚達が想定模範回答集を事前に作っている事は有名な話です。新人である皆さんも、ある意味では新任の大臣のようなものです。その答え一つで、依頼人からの評価が決まってしまうからです。ですから、常にご自身で想定問題、模範回答集を作っておきましょう!

 商人は、常に良い商品を仕入れなければ、その商いを続ける事は絶対にできません。我々行政書士は、当該手続きに関わる更新された最新の専門的な知識を常に堅持する事なのです。これは、私のような10年選手や、20年30年選手でも全く同じなのです。それが出来なくなったら、どんなベテランでも、もう第一線のプロとは言えないと断言できます。

 ですから、その為には、私は相当数の最新の専門書を、常に購入して勉強し、更には、常に関連する官公庁のHPなどで公開されている最新の法令の変更に目を光らせ、そして、講習会などに参加して、官公庁の担当官や同業者のちょっとしたヒントを何とか得ようと日夜努力しています。そうしないと、私自身が後進の方々や先人の方々に遅れをとってしまうからです。これは、決して終わることはありません。エンドレスです。これで十分という事は決してありません。それは、法令は必ず改正され続け、官公庁の告示・通達も出され続けるからです。

 ところで、私の事務所に問い合わせがある相談のうち、手続きとして受託できうる案件であれば、その95%以上は、そのまま依頼に結び付いています。ところが、10年前、9年前は、問い合わせて頂いたクライアントの方々の半数以上の方々は、そのままご依頼して頂く事には至りませんでした。それは、未熟であった当時では当然の事なのでした。

 しかし、新人である皆さんは、おそらく喉から出が出るほど依頼を増やしたいと思っていらっしゃる事だと思います。そこで、その秘訣といいますか、糸口については、次回最終回にてお話したいと思います。

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行政書士開業講座(第6回)

2009-02-12 01:39:48 | 資格・転職・就職

 ほんの数年前までは、行政書士の宣伝広告の主流は電話帳(タウンページ)や冊子(タウン冊子やフリーペーパー、或いは外国語新聞や業界誌)での広告が主流でした。しかし、今現在はどちらかといえば、インターネット上のホームページが主流となって来ているようです。

 かといって、パソコンを扱えない年配の方々相手の遺言・相続手続や老人福祉関係手続を業務したいとお考えであれば、従来通りのタウンページのような広告の方が今現在でも圧倒的に効果は高いと思われます。但し、タウンページのような媒体では、広告できる業務内容が限られていますし、広告費も決して安くはありません。

 こういった紙媒体広告の場合、その効果が現れるのは、一般的には掲載されてからには数ヶ月後と言われています。HPも同様で、やはり掲載後数ヶ月後にその効果が現れると言われていますが、昨今のブログという検索ランクが反映し易いツールの登場により、場合によっては、以前よりかなり早い時期に効果が現れるようになった模様です。

 ところで、実は私自身がホームページを開設したのが、2006年の5月でしたので、ホームページをご覧頂いてご依頼して下さったクライアントさんの数は、全体としてはまだ僅かしかおりません。ですので、私自身の経験よりも、他の同業者の方々、それも開業して間もない新人の方々のケースで、見たり聞いたしたケースを交えてお話しした方が良いかと思います。

 確かに、ホームページ広告はそれなりの効果があります。私自身のホームページや知人の司法書士さんや友人の税理士さんのホームページなど、それなりのベテラン士業のあいだでも、最近は顧客獲得の重要なツールになっています。

 特に、新人の開業して間もない方々の中で、ブログとリンクされている方々は、かなりの効果を上げているようです。ところで、ブログ&ホームページから集客を出来ている新人の方々には、ある共通点があります。それは;

 1.ブログの内容が面白く、かつ頻繁に更新し、作者ご自身の姿勢や性格などがその記事から伺えるような内容である事

 2.ホームページの内容が分かり易く、手続き内容を勉強し、かつ研究した様子が見られる事

 3.ホームページが見やすく構成されている事

 4.最初のメール相談を無料にしている事

 5.仮にホームページを見て電話やメールで問い合わせや相談をした場合、或いは、実際に依頼をした場合、誠意を持って対応してくれそうなイメージがある事

 一般的には、ブログ記事に対する検索エンジンの反応は早いようです。それはヤフーやグーグルでは確かにその傾向があります。特に、グーグルの検索エンジンは、おそらくブログに対する反応が一番早いようです。

 しかし、ブログの内容が面白くもなく、そして何よりもその作者の顔といいますか、姿勢や性格などが見え難いような内容のブログの場合には、その効果はかなり限定的になっているようです。

 ある方は、ありとあらゆるテーマでブログを書き綴る事によって、裾野を広げてクライアントと接触する機会をどんどんと広げています。また、ある方は、仕事に関わる関連テーマに絞って、業務に関わるテーマの悩みを持っている人達と、インターネット検索によるブログ記事を通じて接触することで、依頼人の輪を広げているようです。

 一方、私のように、業務ネタから経済ネタ、はたまた行政書士業務と幅広い内容で書いていても、意見や主張の強い書き方をしているブログは、ある意味では悪い例といえるかもしれません。それは、私のような書き方では、場合によってはクライアントさんの腰が引けてしまうことがあるからです。

 ブログを飽くまでも皆さんのホームページを見て貰うための呼び込みツールと考えれば、最も大事なのがホームページです。これは、ある意味ではその方がプロとして提供できるうる業務メニューですから、その内容が稚拙で貧弱であれば、却ってプロとしての信用や威信を傷つけてしまう結果になってしまうこともあり得ます。一方、書き過ぎてしまえば、逆に読みづらくなって、依頼人から遠ざける結果となることもあります。そして、実際に面談したときに、ホームページの内容の割には、経験の未熟さが目立ってしまうというリスクもあります。ですからホームページ作成には細心の注意を払う必要があるのです。

 また、法令や手続内容が大幅に変更しているのにも関わらず、更新もせずにそのままに放置しているホームページ(例えば、今はもう無い有限会社の設立が書かれっぱなしになっているHPや、法令が変わってしまって、今現在と全く異なっている内容のHP)は、その方の専門家としての資質そのものを疑われてしまい、却って逆効果になっている場合もあります。

 ホームページを見ていて気が付く事なのですが、やたら専門用語を並び立てているようなホームページを見かけることが時としてあります。つまり、一般の法律知識に疎い方々がこのような内容で理解できるのだろうか?と私は思うのです。また、本当にこの内容を分かって書いているのだろうかといった、内容そのものに疑問があるようなホームページも時として見かけることがあります。

 ところが、それなりに依頼を受けていそうな方々(ベテランも含む)のホームページでは、概ね平易な文章で書かれてあることが多く、あまり専門用語を長々と羅列はしていません。仮に、専門用語が使われていても、平易な文章での解説が付け加えられているケースが多いようです。

 一般的には、ホームページを読まれる方々には、概ね以下の三通りのグループがいます。一つは、知人或いは他社さんから紹介を受けたので、これから訪ねる事務所の概要を事前に知っておきたい方々や、訪問後のパフレット的なつもりでHPを見る方々。もう一つは、住所又は勤務先の近くで、比較的安く手続きを代行してくれそうな専門家を捜している方々。そして最後は、そのホームページから、ご自身の抱えた問題を解決して貰えそうな専門家のうちで、親身になって対応してくれそうな専門家を探している方々に分類されます。

 最初のパンフレット型ですが、実績がない新人の方々にとっては中々難しい問題点です。かといって嘘は書けませんから、自信のない方はご自身個人の売りといいますか、良いと思う点を手短に書くしかありません。何も書かないと、逆に邪推されるおそれもありますから中々難しい問題です。

 新人の方々で、成功しつつある方々のホームページは、分かり易い内容と見やすい内容構成であり、それが最も重要だと書きました。それは、ごちゃごちゃと細かい字で専門用語ばかり並べて書いていても、中小企業経営者や個人依頼者にとっては、それを読み切った上で、相談に行ってみようという行動に移らせる動機に中々至らない傾向があるからなのです。尤も、大手企業関係者や他士業関係者のうち、どちらかと言えば理屈っぽい方や理論派の担当者であれば、こういった専門用語ばかりを並べたホームページを逆に好む方々もいるようです。但し、新人の方々の場合、実際に面談したときに、化けの皮を剥がされるおそれもありますので、十分な注意が必要です。

 たまたまご近所にある、始めてお問い合わせを頂いたクライアント企業さんに実際に言われて気が付いた話なのですが、「私のところのような小さな会社でも、ご相談に乗って頂けますでしょうか?」などと言われた時は、ちょっとショックでした。「これでは私の趣旨に反するし、丸の内や大手町のファームじゃあるまいし、こりゃぁたいへんだぁ!」とばかりに、急遽ホームページの内容を吟味変更して、内容の一部を書き換えた程でした。

 さて、皆さんのホームページができあがって、実際にメールが送られて来たり、或いは、電話が掛かって来た場合ですが、これからが本当の意味での本番です。ここからの対応一つで依頼になるのか、或いは、単なる問い合わせで終わってしまうのかが決まってしまうからです。このメール及び電話での対応については、次回でお話ししたいと思います。

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行政書士開業講座(第5回)

2009-02-07 10:36:06 | 資格・転職・就職

 前回、どこかの事務所で勤務しながら、実務を習得する事は難しいと書きました。しかし、実務研修会が昨今は沢山あるので、以前と比べ実務知識の習得は差程難しくないとも書きました。ところが、県によってはこういった県行政書士会等の研修会・講習会が極端に少ないところもあるかもしれないのです。いや、きっとあると思います。このような場合には、やはり東京を初めとする大都市圏の単位会の研修会・講習会に積極的に参加すべきでしょう。都・支部単位の研修会のみならず任意団体や専門グループなどの研修会などもありますから、とにかく参加してみることをお勧めします。

 皆さんにとって、その参加される研修会の雰囲気が良い団体やグループであればどんどんと融け込んで見ては如何でしょうか。一人で考え、一人でもがき悩むよりも新たな発見や情報の更新、或いは何らかの解決方法に巡り会えるかもしれません。

 私のような10年選手でも、こういった研修会や交流会には今でも参加しています。それは、官庁担当者からの最新情報やこぼれ話といった貴重な情報が入手できたり、更新された情報や最新の情報に関する同業との意見交換が出来るなど、専門家と名乗る以上は、それを維持するためには絶対に不可欠なルーチン作業だからです。ですから、こういった場で、最新情報を得て、参加者同士の最新の実務情報を出し合うなどして、実務知識の研鑽をして行けば、その業務知識の厚みは更に数段増すことになる筈です。また、この様な会合での同業達と顔見知りになっておけば、申請先の官公署での挨拶や立ち話から、諸先輩或いは同期の者、更には後輩などから大事な最新情報を得ることもあるのです。

 新人の方々は特にこの様な研修会や交流会の場では、えてしてテイク・アンド・テイクとなりがちな傾向があります。ですから、先ずは聞き上手、そして話し上手になるように心がけることが重要です。それは、結果として諸先輩方からのより多くの指導や実務上のサジェッション、或いは、最新の情報提供を受けることに繋がるからです。また、諸先輩からさりげなく話を聞き出せるようになれば、クライアントとの会話術や、或いは交渉術にも役立つヒアリングテクニックとしても通じるものがあると思います。

 聞き上手になりましょうということは、先輩諸氏からあわよくば貴重な情報を聞き出してやろうなとどいう策謀を巡らせたりしない事が肝要だと言うことです。素直に教えを乞う正攻法、これが私は良い方法だと思うのです。それは、ひとたび下心を持って自分に近付いて来たと曲解されてしまえば、もうその後は一切の重要な情報や本音、或いは重要な経験といった教えを乞う事ができなくなってしまうからです。尤も、こういった正攻法が通じない、たちの悪い諸先輩も居ないとは言えません。具体的には色々な方々がいますから例示はしませんが、それはご自分の感性でご判断して頂くしかないと思います。

 こうして、いつの間にやら専門家に変身されていらっしゃる先生方を、私は何人も知っています。

 それと、専門家になるには、他士業とのコンタクトは絶対に必要です。税理士、公証人、弁護士、司法書士、社労士等々の友人・知人は不可欠です。会社を設立したら、クライアントはほとんど必ず税理士を紹介して欲しいと言って来ます。遺言や定款を作るには馴染みの公証役場があった方が便利でしょう。遺産分割協議がまとまったら、土地家屋の登記を司法書士さんに依頼する必要があるでしょう。また、クライアントやそのご家族が刑事事件や民事訴訟事件に巻き込まれたら弁護士さんを素早くご紹介できればありがたいと思われるでしょうし、私のような外国人在留案件が絡むと接見段階から弁護士さんとの共同作業になるケースも多々あるのです。

 このような他士業の先生方との交流は、ワンストップサービスの窓口役という意味でも、とても重要な事だと思います。そして、私の場合ですと、こういった他士業の先生方からのご紹介による仕事は、実は可成りの数にのぼるのです。ですから、日頃から他士業の先生方との交流も親密にされることをお勧め致します。

 次回は、いよいよクライアントからの実際の問い合わせがあった時の事について書いてみようと思います。

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