行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

アメリカ入国査証の解説と実務

2013-03-21 07:48:34 | イミケン

 私も会員として、参加させて頂いている

 イミグレーションロー実務研究会の第11回目

 セミナーが、今週18日の月曜日夜に行われた。

 http://www.immigration-law.jp/seminar/2013-3-18/

 テーマは、「アメリカ入国査証の解説と実務」

  ~アメリカへ進出する日本企業のための査証~

  (全5回のうち第4回)

◆講  師: 船曳 信行 先生
         船曳ビザ事務所 代表
         元・駐日アメリカ大使館査証課

 日本の入管法、在留資格システムのお手本にされた

 アメリカの在留・査証制度を知ることは、日本の入管法による

 今後の在留制度の方向性を知る上で、知っておくべき内容だ。

 そこで、第3回までのセミナーで教えて頂いた知識の復習です。

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 一般的には、本邦入管法の在留資格認定証明書に相当する

 ペティションを米国移民局に事前に取得(米国移民弁護士

 を通じての申請無しでは、事実上なかなか許可されないとことです。)

 するのが基本だが、そのペティション無しに、

 特例的に在外公館である在日アメリカ大使館に直接申請できる

 就労査証のE査証という、日本には無い制度がある。

 しかし、E査証申請については、以下の要件がある;

 ①   申請人が米国との条約締結国である日本国籍保有者であること。

  つまり、在日韓国籍社員や中国、台湾などの国籍保有者は対象外となる。

    但し、配偶者は外国籍者であっても構わない。

 ②  会社の国籍が日本でなければならない。つまり、株主の50%以上が、

  外国人の場合、E査証申請の対象にはならない。つまり、

  在日ヨーロッパ系の外資系企業も対象外となる。

   なお、株主の中で、日本国籍者であっても米国永住権保有者は、

  米国人とみなされるので、中小企業経営者の子弟で米国留学経営者の方や

  ゴルフ会員になるためにうっかり米国永住権を取得してしまった

  中小企業の株主兼幹部社員がいるような会社も、

  E査証の対象外となるので注意が必要だ。

 ③ 設立するアメリカ子会社に相当額の投資が行われること。

  ④ 米国子会社へとの取引製品の50%以上が日本製品か

  米国製品であること。

 ⑤ 査証申請者は、役員、管理職、或いは、事業運営に必須の専門家又は

  技能者であること。(経験7年以上、年収7万ドル以上。MBA保有者や

  ビジネス系学部卒業者や資格(日商簿記)保有者であれば更に可。)

 これらの基本条件を下にして、8つの模擬事例についてご説明頂いた。

 例えば、H-3査証(研修生)を取得して派遣されている文学部卒の

 26歳の女性スタッフが、今後新分野での開拓を期待されて米国移民局

 (日本の入管に相当)へ米国移民弁護士を通じて変更申請をして、

 同移民局からE-1への在留資格変更許可を得たが、突然日本の本社

 での打ち合わせの為に帰国し、再度米国に赴任しようとしたが、

 在日アメリカ大使館でE-1査証が必要であると気付いたという事例

 などでは、日本では在留資格変更が入管から許可された場合、

 在外公館での査証申請は不要であるのに対して、

 米国の制度では、改めて在日アメリカ大使館で査証を

 取得しなければならないので特に注意が必要である。

 つまり、米国移民局と米国国務省と、それぞれに均等に権限を与えている

 今の米国の制度には特に注意が必要だ。

 なお、米国移民法も、査証は飽くまでも米国入国を申請できる

 資格証に過ぎず、最終的な在留許可は、米国入国審査官が、

 入国時の口頭審査の結果として交付するEntry Departure Recordが

   必要となる。つまり、このEntry Departure Recordの一部である

 Form I-94無くして事実上の上陸許可証とはならないのである。

 また、日本の上陸許可証と在留カードに相当するこのForm I-94には、

 在留資格であるE-1,E-2とかL-1A,H-1Bといった

 非移民系の在留資格が書かれているのである。

 また、このI-94は日本の在留カードと機能と同じような機能を持っており、

 常時携帯の義務もあるようだ。

 このような高度な事例8つについて、一つ一つ丁寧にご説明頂いた。

 一方、これに先立ち、通常は査証免除(90日)で必要のない

 短期ビジネス査証:B-1査証の申請が必要なケースについても、

 前回に引き続いてご説明頂いた。

  今回、私が気付いたことは、日本の外務省が査証の必要性

 についてどこまで法務省に対抗して要求してくるのか?

  そして、1年以上の米国不在者の永住者に対しては厳しい米国の制度を、

 日本政府はどこまで参考にするのであろうか?

 そして、特に日本での永住権取得後、

 日本に殆ど居住していない永住者既得の外国人に対して、

 日本政府は今後どのような施策を展開して行くのだろうか?

 という疑問点を強く感じることができた

 大変有意義なセミナーであった。

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コメント (4)
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