アメリカ下院議員(共和党)が、北京五輪の開催地変更の決議案を議会に提出した。
決議案では、北京五輪の開催地変更をIOCに求め、変更されなかった場合にはボイコットを促すとともに決議文を各国に配布(ボイコット同調の呼び掛け)する内容とされている。
決議案の背景は、中国のウイグル族ジュノサイド、香港の民主派弾圧、中国コロナの情報隠蔽とされているが、現在進行形であるミャンマーにおけるクーデターへの中国軍関与も念頭にあるように感じられる。また、トランプ政権国務長官のポンペオ氏も、北京五輪の開催地変更を訴えており、論拠にはヒットラーのナチスドイツが国威発揚に利用したベルリン五輪を例に挙げて「中国にプロパガン上の勝利を与えてはならない」としている。更にはカナダ、香港返還協定をコケにされたイギリスなども、北京五輪の開催地変更を求めており、1年後の北京五輪は東京五輪以上の曲折が予想される展開を見せ始めた。
近代オリンピックは、民族と政治を離れたスポーツの祭典とされているが、開催に巨額の費用かかかることやIOCの財政が五輪放映料で賄われていることから、政治と一線を画すことは不可能な現状にあるように思える。東西陣営が相互にボイコットしあったモスクワ・ロサンゼルス大会と同様に、東京大会は中国コロナで、北京大会は中国自身の手でと、2大会連続して世界VS中国という新冷戦の様相を示しているかの様である。
民主党が過半数を占めるアメリカ下院で決議案が可決される見込みは低く、冬季北京大会をボイコットする国は無いとは思うが、メダル獲得の可能性が有る派遣選手のうち人権擁護は自身の金メダルよりも価値があると考えて出場辞退する可能性は十分にあり、その場合中国は無傷で勝利を手にすることは出来ないように思える。
中国コロナの最終兵器であるワクチン接種は漸く始まったが、EUの輸出規制等により政府計画通りには調達が進まないだろうし、もし調達できたとしても開会式までに高齢者に対する接種が終わるかどうかであることから、自分は密かにではあるが東京大会開催は無理であろうと思っている。
戦国時代における戦闘では、撤退時の戦闘が最も難しく、兵の損耗も殿軍に集中するとされている。森氏に代わる新組織委員長に橋本聖子五輪担当大臣が内定したが、極めて困難な撤退戦を指揮しなければならないこととなり同情を禁じ得ない。
メディアや世論は、森氏が川渕三郎氏に後事を託したことを「密室だ」「老齢だ」と批判したが、森氏や川渕氏には東京五輪撤退戦の殿軍指揮を誰に、どのような人物に託すかという判断に立った上での白羽の矢であったと推測している。森氏の後任は誰であっても敗戦の責任を問われることは必至で、それを被る覚悟は川渕氏の「最後の御奉公」とのコメントに込められていたと思う。伝え聞く限りでは橋本氏は森・川渕両氏に比べて、老獪さに及ばないのではと思っている。女性重視という不可解な世論の人身御供にさせられた橋本氏擁護を訴えて終演。