もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

刑務所はタコ部屋で良いのか考

2019年04月18日 | 社会・政治問題

 大阪刑務所(堺市)で受刑者が自費で購入できる日用品が、市価よりも割高であることを知った。

 報道では、大阪刑務所の受刑者がこの問題に関して弁護士会に救済を申し立てて、弁護士会が刑務所長に改善を申し入れたとしているが、割高として記事で例示されているのは、ティッシュ(1箱800枚)/594円、ブリーフ/702円である。自分の周囲にに照らしても、ヤャ上等な保湿ティッシュで3箱/500円、ブリーフは2枚/1000円くらいであり、薄利多売の量販店とは一律に考えられないとは思うが、割高感は否めない。受刑者に対しては必要な日用品は十分とは言えないだろうが官費で支給していることから、自費購入の日用品は一種の贅沢品であるのかもしれないが、受刑者が所内の刑務作業で得られる報奨金が月額4500円程度であることから見れば、割高感はさらに高まる。何やら刑務所関係者が関係しているのでは?と思いながら記事を読み進むと、日用品の値上がりは委託販売業者を刑務官OB等でつくる財団法人から大手商社系の会社に変更した後に始まっており、予想とは逆の結果であった。自分は刑罰・懲戒という観点から、受刑者が外泊できたりテレビ完備の個室で暮らせる北欧の刑務所のような環境に受刑者を置くべきではないと思っているが、受刑者に高額の日用品を売りつけることには疑問である。たとえ少額であっても刑務報奨金は出所後の当面の生活を支える貴重な原資で、可能な限り受刑者に残すべきであり、それをピンハネするかのような商行為は違法ではないにしろ商道徳上許されるべきではないと思う。一昔前は、労働者を囲い込んで高額の食費や住居費を給与から天引きする職場を「タコ部屋」と呼んでいたが、今回の図式は「官営のタコ部屋」と称してもよいのではないだろうか。法務省矯正局が「可能な限り安くしており、勧告は受けたが価格の見直しは予定していない」とコメントしたことも納得できない。財団法人が安く提供できていた背景には、価格を抑える努力もさることながら、受刑者に対する少なからぬ愛情・同情が込められていたものと思う。契約業者変更がどのような理由であるのかは報じられていないが、少なくともこれまでは「報奨金のピンハネ思想」は無かったのではないだろうかと推測するものである。同様な救済申し立ては、川越少年刑務所や横浜刑務所からも出されており、「愛情不要。儲けんかな」の根は深いのではとも思われる。 

 受刑者の矯正と刑余者の社会復帰については、官民ともに責任を負うべきであるとはかねてから指摘されている。自分はこれまで刑余者と働いたこともなく、刑余者と関係を持ったこともないために応分の責任を果たしているとは思えないので大きなことは言えないが、法務省矯正局のコメントと割高日用品の販売には再考の余地があるものと考える。

 

 


北極圏ガス田開発の参画を学ぶ

2019年04月17日 | 社会・政治問題

 ロシアの「ヤマルLNG2」開発参画に関する官民の温度差が報じられた。

 記事は、LNGの安定供給と北方領土交渉の梃子としたい政府と採算を不安視する財界で、事業への参画意欲に温度差があるとされる内容である。石油に次いで重要なエネルギー源であるLNGについて勉強した。LNGは、石油や石炭に比べて燃焼時の温暖化ガス排出量が少ないことに加えて、精製や加工経費が少ないこと、確認されている埋蔵量が原油を超えることから、日本ではは火力発電や家庭用の燃料として使用され、輸入量は世界1である。輸入先(2016年資料)は、1/オーストラリア(26.9%),2/マレーシア(18.6%),3/カタール(14.5%),4/ロシア(8.88%),5/インドネシア(8.0%)となっているが、マレーシアは世界2位のLNG輸入国である中国の一帯一路構想の影響下にあり、カタールは周辺国との軋轢を抱えており、インドネシアは明日にでも急進的イスラム大統領誕生が予想され、安定的供給源はオーストラリアくらいしか考えられない。政府がLNGの輸入先を多元化するとともに生産ガス田に影響力を持つことでLNGの安定供給に努めたいとする背景は理解できた。財界が採算を疑問視しているのは、ヤマルガス田が北緯70度の北極圏に位置することである。フランス資本との協力で既に2017年に操業を開始したヤマルガス田のLNGは、ヤマル基地(積出港)から西側航路で欧州向けに輸出されているがアジア向けには輸出されていない。ロシア企業はアジア向けに「ヤマルLNG2」を建設して販路を日本、中国、韓国に拡張しようとの計画で、関係国に打診・協力企業を募っているものであるが、日本にヤマル2のLNGを輸送するためには積出港からいったん北緯80度付近まで北上してベーリング海峡を目指す東航路となるために冬季は結氷のために航行できず、航行可能な時期にあっても砕氷能力とまではいかないものの流氷から船体を保護できる機能を持ったLNG運搬船が必要になる。このような背景から財界は採算性を疑問視しているもので、これまた当然の主張であると思う。

 今回の勉強で、LNGの採掘~凝縮~運搬~精製の過程も知ることができた。さらには「ヤナル」という地名は現地語で「世界の果て」を意味することと、永久凍土(ツンドラ)に出現した巨大な穴(陥没?)の存在も知った。知ってもどうしようもない知識であるが、居酒屋談義の種くらいにはなるだろう。それにしても生存するためのエネルギーを得るために「世界の果て&地の果て」まで開発しなければならない現状は、人間社会の行きつく先と人類の将来を暗示していると思うのは悲観的な見方であろうか。

 

 


パリは燃えているか

2019年04月16日 | 芸能

 ノートルダム大聖堂の火災が報じられた。

 火災は現在も延焼中であり、石造建築物ながら内部が全焼することは避けられないほどの火勢と報じられている。30年以上も前と記憶しているが「パリは燃えているか」という映画が公開された。あらすじは、ドイツ軍のパリ占領軍指揮官に対してヒットラー総統が、「連合軍のパリ解放が迫った場合には、ドイツ軍撤退の前にパリ全市を焼き払え」と命令したにもかかわらず、歴史遺産保護・人道的戦闘・非戦闘員保護の観点から占領軍指揮官が命令に反してパリに火を放つことなく撤退するという内容であり、エンディングでは「パリは燃えているか」と叫ぶヒットラーの絶叫が卓上に放置された受話器から流れるというものであった。ノートルダム大聖堂の火災原因は不明ながら、修復作業現場付近から出火して内部に延焼したと実況されており、何らかの人為的ミスによる公算が大きいと思われる。先に述べた映画ほどではないにしろ、先人の偉業である歴史的建造物が現在まで遺産として受け継がれているのは、どのような理由からであれ為政者や権力者が保護を与えたことと、無名の多くの人々の努力が実った結果であると思う。敵対する僧兵一掃と宗教界の浄化のために比叡山を焼き尽くした信長、洪水防止と電力確保のためにアスワン(ハイ)ダムを建設して多くの遺跡(著名なものは移設)を湖底に沈めたナセル、偶像崇拝禁止というイスラム教義のためにバーミヤン石窟を破壊したIS等々、権力者によって破却された文化財も少なくないが、幾多の厄災をも乗り越えた文化財が、些細(かどうかは現時点でははっきりしないが)なミスで灰燼に帰すのは残念である。

 ここまで書いて、所蔵されている美術品等は搬出されたと報じられたが、ノートルダム大寺院の特色はステンドグラスであるといわれており、壁画とともに修復には長時間を要するものと思う。ここまで簡単に「遺産」という言葉を使用していた。通常は遺産相続という言葉で馴染んでいるように先人の残したものは全て遺産と表現しているが、歴史を加味した遺産とはどのように考えたらよいのだろうか。現在、1872年に建設された富岡製紙所(場)がユネスコの世界遺産に登録されていることから、100年以上経過した建造物は「歴史的意味を持つ文化遺産」との考えが国際的に認知されているのではないだろうか。であれば富岡製紙所に先立つ1869年に建立された靖国神社に対して悪意を企む韓国人放火犯に対しては、建造物損壊に加えて文化財損壊の罪状も加重すべきようにも考えられる。


中曽根康隆議員のインタビュー記事を読んで

2019年04月15日 | 与党

 ブログの機能確認のため、2018年1月25日にUPした記事を再度投稿します。

 自民党の中曽根康隆衆院議員のインタビュー記事を読んだ。

 議員は祖父康弘元総理・父弘文元大臣と続く政界のサラブレッドで、小泉進次郎議員とともに将来の総理・総裁候補とも目されており、記事は憲法改正ついて祖父康弘氏の意志と熱意を受け継ぐとの主旨である。一般に2世・3世議員は世襲議員と称されて既存権益との癒着が懸念されるとともに、政治家としての能力も父祖の威を借りたものとして高く評価されないものであるが、両議員については期待を込めてその動向に注目したい存在である。記事で紹介されている祖父康弘氏の「政治家は歴史の法廷の被告席に座る」との言に改めて新鮮さを感じた。折りしも国会では代表質問が行われているが、野党第1党の枝野立民党首が相も変わらず「安倍総理の下では憲法論議を行わない」と憲法論議を棚上げして、待機児童問題等の福祉をメインテーマに選んだ。福祉は重要なテーマであろうが、喫緊の最重要テーマではないと思う。野党第1党であればこそ、歴史の法廷に被告として座る勇気と気概を持って将来の国策に真正面から取り組んで貰いたい。国家なくして国民は存在し得ず、国家なくして国民福祉は成り立たないからである。それとも枝野氏を含む立民幹部議員諸氏は、国家なくしても自己の安寧を保てる方策を講じているのだろうかとも邪推したくなる代表質問である。。

 「面従腹背」を座右の銘とする悪名高き前川喜平氏が中曽根議員の伯父に当たるとは知らなかった。閨閥を重んじる政治界一門に繋がる者として「大企業主の子息で東大出身のキャリア官僚」との看板を信じて前川氏を選んだことは、父弘文氏も人を見る目がなかったという事であろうか。


初老男性の踏切遮断機切断に思う

2019年04月15日 | 社会・政治問題

 50歳代の男性が、自動踏切の遮断機(棒)を切断したことが放映・報道された。

 第一報では事実のみ報道されたので「なんとまァ無茶な」と思ったが、以後の詳報によると路線は人身事故の影響で止まっていたが遮断機は30分にわたって下りたままであったらしい。詳報では、踏切遮断機は自動制御されているので、駅員がコントロールできないと解説されていたが不審に思える。現在の自動踏切では、作動状況や踏切の状況は運行指令室等でモニタリングされているものと思うし、監視カメラや注意喚起のスピーカーまで装備されたものがあるとも聞いている。今回のように、全線にわたって電車の運行が止められた状況では遮断機の自動制御を無効にして道路の運行を可能にすることは、そう難しいことではないのではないだろうか。複数の鉄道会社の複数の路線が競合する一部の踏切は別にして、単一会社・路線の踏切では運航指令室からの遠隔手動制御を可能なシステムに改善することを考えてもよいのではないだろうか。この改善には、事故等によって一旦手動制御に変更した場合、運転再開後に踏切を自動制御に戻すことを忘れるという危険性は考えられるが、電車の運行シークエンスに踏切自動制御の項目を加えることで予防できると思うものである。このような改善には多額の経費と長い期間が必要であることも理解できるし、鉄道各社が苦しい経営状態の中、プラットホームドアやエスカレータ(エレベータ)設置に苦闘していることも承知しているが、開かずの踏切解消の一環として考慮して欲しいものである。人員・物資輸送の主役が航空機とトラックに代わった昭和50年代まで、鉄道は日本の血流の生命線と呼ばれて殿様商売であった。その延長線上に国労や動労の「国民を無視したストライキ」や「岐阜羽島駅を作った」「深谷駅に急行を止めた」族議員があった名残からか、斜に観れば道路運送よりも鉄道輸送の方が法的に優遇されているようにも思える。

 更なる労働人口の減少を考えれば現在ヒトが行っている仕事の多くを機械的な自動制御に委ねなければならない情勢であり、主題である踏切の改善を含めて機械の導入にはAIによる制御が最初に考慮されると思う。しかしながらAIに生命を与えるのは人間であり、人間の価値判断をAIが代行するという基本的な図式は永遠に残さなければならないと思う。ロボット3原則を無視して自律型致死性兵器システム(LAWS)を生み出したのは人間であることを思えば、「そこ退け・そこ退け・電車が通る」式の改善・進化であってはならないのは当然である。