一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『帰ってきたヒトラー』

2017-02-10 | キネマ
終戦間際のヒトラーが現代にタイムスリップしたら、というきわどい設定なのだが、コメディにも「悪の化身」として描く道にも逃げず、いい着地をしている。

原作の小説(ドイツでベストセラーになったらしい)の出来のいいこともあるのだろうが、映画で描くことでのプラスアルファの魅力も持っている。

ドキュメンタリータッチを交えてヒトラーが「そっくりさん」として人気を博す中でだんだんと政治的存在としても受け容れられていく様子がリアルに描かれている。
たぶん、当時の国民もこうやって普通に新しい政治勢力である「国家社会主義ドイツ労働者党」を支持するようになったんだろうな、と思わせる。

また、過去のヒトラーを描いた映画の引用や、例の「総統閣下お怒り」のシーンのパロディも入れていたりと、ニヤリとさせられるところも多い。

おすすめ










原作の小説はこちら


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『神様メール』

2017-02-09 | キネマ
荒唐無稽な設定をうまく着地させている。

聖書の知識があればもっと楽しめたと思う。

神様はベルギーのブリュッセルに住み、部屋のパソコンで世界を管理していて、家の中では独善的にふるまう嫌な奴。
ずっと家の中で暮らしていた10歳の娘エアはそんな父親に腹を立て、ある日父親の部屋に忍び込んでパソコンで世界中の人に寿命を知らせるメールを送信してしまう…という話


神様の嫌な奴加減の描き方、先に家出をした「兄」の存在(観てのお楽しみ)、寿命を知った人々の振る舞い、という舞台装置に、初めて下界(というか設定だと家の外)に出た娘の純真さが加わって、リアルながらもファンタジックな幸福感に満ちた映画になっている。






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『ハロルドが笑う その日まで』

2017-02-08 | キネマ
人生うまくいかない、という登場人物が次々と現れるロードムービーなのだが、怒りの表現も、雪景色の中では静かに表現される。

ハロルドはノルウェーの街でクオリティの高い家具にこだわり40年以上にわたって家具店を繁盛させてきた。
ところが店の目の前にIKEAの北欧最大店舗がオープンし、ハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう。
怒りを募らせたハロルドは、IKEAの創業者カンプラードへの復讐を決意する…という話。


北欧映画は静かな印象がある。その印象どおり。
「うまくいってる」側のカンプラードの描き方も同様。

静かな分、いろいろ考えることになるので、今の自分の精神状態に気付かせる鏡の役割を果たしてくれる映画かもしれない。






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『ヘイトフル・エイト』

2017-02-07 | キネマ
クセのある役者を集めて密室の謎解き、タランティーノ風。

謎解きというよりは後出しがあったりするのでストーリー展開を楽しむ映画。

最初はおとなしく普通のドンパチで始まるが、途中からお得意のスプラッタになる。

例によって好き嫌いの分かれる作風。






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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

2017-02-06 | キネマ
年末年始に映画やらDVDやらもいろいろ観たので備忘。

まずは1月半くらい前に観た『ローグワン』

Star Warsはコンテンツとしては3Dや4Dxにおあつらえだよなぁ、とつくづく思う。

また、今回はサイドストーリーなので、シリーズの主要な登場人物がダース・ベイダー以外出てこないため、人間関係の描写が少なく、アクションシーンが中心でこれはこれでけっこう楽しめた。

過去の話なので、今後のシリーズに登場しない前提でキャスティングも遊べたのではないか。

何の予備知識もなく観てたら、いきなりフォレスト・ウィテカー(痩せた?)まで出てきてた。


映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』日本版予告編3
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『この世界の片隅に』(映画)

2016-11-27 | キネマ
先に読んだ原作のコミックについで、映画も鑑賞。

原作のストーリーと抑えた日常描写の積み重ね、というスタイルを忠実になぞりながらも、アニメならではの演出でより胸に迫るものがあった。

コミックの原作で感動するとアニメはそれほどでもない、ということが多いが、これは映画、アニメとしての演出の+αを堪能できた。

能年玲奈改め「のん」も、本来のキャラなのか演技過剰にならず、主人公すずのイメージや妙にあっていた。


クレジットの最後にクラウドファンディングに応じた人の名前を(たぶん)全部載せていたが、こういうのはいいよね。

クレジットでいえば、映画では取り上げられなかったエピソード、たとえば遊郭のリンとの交流などを、クレジットの背景に使っていたのは原作を読んだものとしてはちょっとうれしかった。

映画『この世界の片隅に』予告編
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「後妻業の女」

2016-11-13 | キネマ
これも機内鑑賞

映画では誇張されているが、晩年における再婚と相続争いにかかわるもめごと--老人の財産が本人の死ぬ前から「相続財産」とみられていること、晩年の世話の寄与度の評価の難しさとそこに本人が不在であること、故人または危篤状態の名義人預金は引き出せないので当座の資金に使えないこと、遺言書の優劣--を描き出しているという意味でもいい映画だと思う。


予告編では大竹しのぶのインパクトが大きいが、豊川悦司の怪演も光る。


原作を読もうと思って買わずじまいだったのを思い出した。


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『ゴーストバスターズ』

2016-11-10 | キネマ
これも機内鑑賞(なので画面が小さいバイアスがかかってます)

女性活躍の映画。

ただ、本作はリブート版として1984年の「1」をなぞっているのが、インパクトを減じているのと、「女性が男と同じ活躍をする」文脈になってしまっているのが残念。

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『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』

2016-11-08 | キネマ
これも機内鑑賞(映画の性格から小画面バイアスはより大)

実際の大統領選は...だけど、前作同様、米国大統領に地球を救ってもらう映画。

興行上の中国への配慮とか前作との継続性からの二世・身内で固めたストーリーとか突っ込みどころ満載なのも前作同様。


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『君の名は。』

2016-11-07 | キネマ
オッサンが映画館に行くのは気が引けたので、機内上映を幸いと鑑賞。

ハイゼット・デッキバンと綿半野原ビルがツボにはまって、何でも許せてしまった。


折かさなったストーリーを確認したり、わかっていながらラストの感動を味わうためにリピーターが出たり、細密な風景描写が聖地巡礼を生むのもわかる(オッサンはしないけど)。

新海誠のアニメは観たことないのだが、風景描写に加えて光線の描き方がうまいと思った。


中でも舞台になった飛騨高山はこんな盛り上がりを見せているらしい
「君の名は。」聖地凱旋フィーバー 映画館ない飛騨市で初上映会

飛騨高山で聖地といえば崇教真光世界総本山なんだが、それとは関係ないんだろう。



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『ルーム』

2016-10-27 | キネマ
予告編がとてもよくできていて、本編どうするんだろうと思ったが、そんな心配は無用だった。

ネタバレはしたくないのであまり書かないが、予告編を見て「そのあとが大変じゃないか」と思ったのだが、実は予告編で描かれているのは前段で映画の主題も「そのあと」にある。
しかもそこでは現実の残酷さと人間の弱さと強さが見事に描かれている。

かなりおすすめ。

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『マネー・モンスター』

2016-10-23 | キネマ
「ウォール街の闇を暴く」という社会派映画ではなく「悪い奴and/orバカの男」に対して女性が活躍するエンタメ映画。


登場する男性の目論見がことごとく裏目に出るところが、いかにもありそうで笑える。



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『マネー・ショート』

2016-08-11 | キネマ

公開中に見過ごしたのでDVDで。

結果が見えているストーリーなので、そこに至るプロセスをどう描くかが勝負になるわけだが、3人を狂言回しにして、バブルを謳歌しまたバブルと気が付かない投資銀行、格付会社やファンドのアドバイザーそして一般庶民を効果的に登場させることで面白い映画に仕上がっている。

ただ、合間に証券化やサブプライムローンの仕組みなどの解説を挟んでいるせいもあるのだろうが、全体的にストーリーのテンポが速いので、せかされる感じがする。

特に、いろんな種類の商品が出てくるので、住宅ローン債権の暴落に賭けた主人公たちが売りポジションを取るか買いポジションを取るかというのが商品によって違い、けっこう混乱する。
(そういう点ではDVDは途中で止めて家族に説明できるので便利)


バブルというのは、あとから見れば「何でおかしいと思わなかったのだろう?」と不思議に思えるものだが、熱狂の最中は気が付かない、または上昇している相場や成功しているビジネスを疑うのは難しい、ということを改めてわからせてくれる映画としては、見る価値はあると思う。



予告編は英語版の方が面白い、特にラストの部分が、大恐慌時のロックフェラーの逸話とかぶってよかったのに、日本語版ではカットされてしまっているので英語版をつけました。

The Big Short Official Trailer #1 (2015) - Brad Pitt, Christian Bale Drama Movie HD

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『シン・ゴジラ』

2016-08-07 | キネマ

観てきました。

同年代のオッサンには特に面白いと思うので、ぜひ観てください。

ネタバレなしで書くと抽象的な物言いになってしまうのだが、「虚」と「実」が大げさにおりまざった「特撮映画」の醍醐味を現在の技術で表現しているところが見事。

「虚」の部分はゴジラや特撮映画(をはじめとする昔の日本映画)へのオマージュが随所に感じられた。
実写とCGがうまく融合している一方で、あえて模型っぽく撮って特撮映画風にしているところなどもツボを刺激する。
エヴァンゲリオンは世代が違うし、この部分はそれぞれ詳しい人がいろいろ書いているのでそちらを参考されたし。
(総監督の庵野秀明といえば『アオイホノオ』に学生の頃の庵野が描かれているが、『アオイホノオ』の作者島本和彦(shimakazu)のシン・ゴジラ関係のTweetも面白い。)

「実」の部分のリアリティも、ツボにはまった。
冒頭のゴジラ登場のときに政府の緊急災害対策本部での議論やその後の各役所の対応などは真に迫っていた。
また、ゴジラが東京を蹂躙する中で、精密に再現された市街地がどのあたりかを確認したり、タワーマンションや高層ビルとの高さの比較は、ああ、こういうサイズなんだと妙に納得したりも面白い。



緊急災害対策要員の知り合いに話をしたら、実際の運用をかなり細かく取材しているのではないかという感想をもらしたので、ぜひ観るようにと勧めたが、常に携帯電話の通じるところにいないといけないので映画館はNGなんだとか。ご苦労様です。



『シン・ゴジラ』予告2

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『ブリッジ・オブ・スパイ』

2016-07-23 | キネマ

これはDVDで。

冷戦時代の米ソのスパイ交換に活躍した弁護士を実話に基づく話。

弁護士(トム・ハンクス)とソ連のスパイのやりとりがいい。

困難な状況の中で信念を貫く、筋を通す、ということの難しさと尊さが描かれている。
情報はすぐに共有され、さまざまな言い訳の理屈が立つ現在だとこういう映画は成り立たない、または作り話っぽくなってしまうのかもしれない。

弁護士の交渉のロジックについてもそうで、おそらく最初だから成り立ったが「相場」ができてしまったあとでは難しいように思う。

細かいところは突っ込みどころも多い(*ネタバレも含むので末尾参照)が、登場人物のキャラクターの立ち方(CIA、アメリカの裁判官、東ドイツ側の交渉役など)やせりふ回しも面白い(コーエン兄弟も脚本に参加している)。


映画『ブリッジ・オブ・スパイ』予告編


* ソ連のスパイは「アメリカの民主主義を示すことが大事」といって死刑を回避させて禁固30年の刑になった一方で、ソ連に捕まった米軍飛行士は禁固10年で全然示せてないとことか、高高度を飛行するU2偵察機は絶対落とされないとか言いながらいきなりソ連のミサイルに落とされてしまう(そのへんの兵器開発の急速な進歩を端折ってる)とか。

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