書名からは「売らんかな」の匂いがしますが、内容的には良書だと思います。
今回の相続税改正(基礎控除額の引き下げ)について「あなたも相続税が課税される」と あおるのではなく、相続制度と相続税全体をもれなく、かつわかりやすく解説したうえで、 著者の税理士としての経験から、トラブルになりやすい具体例をあげています。
相続税の改正により関心を持ったのであれば、これを契機に財産面での人生設計を ちゃんとしてみませんか、というのが著者の問いかけです。
よくよく考えてみてください。財産を遺す立場でいえば、相続税を心配する必要があるのは 人生で一度きりです。それよりも、消費税の増税や住宅ローンの金利変動のほうが、よほど影響が大きいはずです・・・(中略)。
それに比べれば、税制改正による実質増税といっても、相続税などせいぜい200万円程度の上乗せです。 生前贈与の仕組みを使えば、ゆうに解決できるレベルですね。いろいろな情報が飛び交っていますが、煽られて振り回されることのないよう、 相続の本質を見据える必要があります。
(中略)・・・結局のところ、大事なのは、自分の財産をどうしたいのかという個々人のビジョンなのです。