一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『捨てられる銀行2 非産運用』

2017-06-19 | 乱読日記
タイトル通り、前著『捨てられる銀行』に続き、森金融庁長官(3年目続投になりましたね)の目指す金融改革を解説した提灯本。

今回は金融庁が使うようになった「フィデューシャリー・デューティ」(日本語だと「顧客本位の業務運営に関する原則」)の概念を軸に、資産運用改革についてまとめている。


確かに新興国通貨建てや元本取り崩し毎月分配型など自分は怖くて買えないのだが、実際にはけっこう売れている。
このへん、銀行窓販の力もあるのかもしれないが、自分で貯金を取り崩すより「分配金」という名目でもらった方が高齢者にとっては心理的な抵抗が少ないというあたりにフィットしている部分もあるのかもしれない。

そして1,800兆円と言われる個人金融資産の大半が未だに現預金だとすると、まだまだ焼畑農業を広げても全然大丈夫なんだろうけど、それでは健全な「貯蓄から投資へ」という流れにつながらないよね、と金融庁も言い出しているという話。


この影響で毎月分配型投信は販売を自粛?したために残高が急減しているわけだが、これを買い支えるのが日銀、というのも市場の価格形成としてはどうかと思うのだが、そのへんは金融庁の所管ではない、ということなんだろうか。



PS
英国における信託の歴史の説明に紙数を割いていて、『フィデュシャリー「信認」の時代―信託と契約』(今は絶版になっていて中古ではいい値段がついているようです)などからも引用されていたのが懐かしかった。

丸の内の三菱UFJ信託銀行本店の脇にある信託博物館、いつも横目で通り過ぎていたんだが、一度覗いてみようと思う。


コメント
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