一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『迅雷』

2019-03-01 | 乱読日記

『K氏の大阪弁ブンガク論』でセリフの壮絶さを絶賛されていたが、確かにその通り。

「わしはあれを見て、これや、と手を打った。裏の世界でシノギしてるやつから金をとったら、被害届なんか出えへんがな」思わせぶりな笑みを浮かべて、稲垣はつづける。
「――で、わしは極道を誘拐することにした」
「よう考えてみい、極道は金持ってて懐がルーズや。不健康な生活しとるから体力はないし、バッジ見せたら怖いもんはないと思とるから挑発に乗りやすい。おまけにあちこちで恨みを買うてるから、身柄(ガラ)をさらわれても相手のめぼしがつかん。身代金をとるには最高の獲物やで」

という話。

とはいうものの、筋書き通りに話は進まず、主人公たち犯人グループと誘拐された極道達の立ち回りが続くのだが、設定柄、主人公と誘拐・拘束されている極道たその部下とは会話・電話でのやりとりだけになるので、確かに台詞回しがポイントになる。

ストーリー自体もディテールが凝っていてとても面白い。
土地勘がないところで展開される物語なので登場人物が行き来する地名をGoogleMapを横に置きながら読んだらリアリティが出てより楽しめた。

 

コメント
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