一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ウインターズ・ボーン』

2012-05-31 | キネマ

goo映画からあらすじ

ミズーリ州南部の山間に住む17歳の少女リーは、一家の大黒柱として、心を病んだ母親と幼い弟と妹の世話をし、なんとか暮らしを切り盛りしていた。ある日、彼女は地元の保安官から衝撃的な事実を知らされる。長い懲役刑を宣告されていた父親が、自宅の土地を保釈金の担保にして失踪したというのだ。もしこのまま裁判に出廷しなければ、家が没収されてしまう。リーはやむなく父親探しを始めるが、親族たちは一向に協力してくれず…。

登場人物に笑顔のない映画です。
登場人物の不機嫌さが、親族・友人のつながりと犯罪者の掟と銭金がギリギリのところでせめぎあっているアメリカの田舎町のリアリティを感じさせます。

最近よく言われる「自助・共助・公助」という言葉を思い出しました。
この映画は相克する共助の関係と少女の自助、そして公助の不在を描いています。
そして公助が期待できないところでは公への尊敬とか公共心は生まれないことも描かれています。


最近母親の生活保護が問題になったお笑い芸人が話題になっています。
ひょとすると、お笑い芸人の親や親族にとっての生活保護は、芸人本人が売れない時代に彼に見切りをつけ彼を除外して作った共助の枠組みだったのではないでしょうか。
そして彼らにとっては生活保護制度も「共助」の外部で自分が「公助」の枠組みに入っているという意識がなかったし(生活保護の支給要件と親族の扶養義務の関係については詳しくありませんが・・・)、息子が売れっ子になったときも双方にとってそれは「共助」の外の出来事という意識があり(本作における主人公の父親というのもそれに似た立ち位置だったりします)、彼らはその「共助」の枠組みを維持し続けていただけなのかもしれないなと。




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