一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

誤認射殺

2005-07-25 | よしなしごと
ロンドンの地下鉄で射殺された青年は、実は無関係だったと公表されました


とんでもない人違いだったわけですが、スコットランドヤード(ロンドン警視庁)のイアン・ブレア総監は
"This is a tragedy. The Metropolitan Police accepts full responsibility. To the family I can only express my deep regrets."
と責任を認めながらも自爆テロの容疑者に対する"shoot to kill" policyは継続する、と言っています。


テロの直後だけに、市民の安全と被疑者の人権(この場合は人権どころか人命ですが)のバランスについてはいろいろな議論があると思います。

少なくとも、今回の悲劇の原因がどこにあるのか("shoot to kill" policyが判断基準があいまいで危険なものなのか、捜査官の能力不足なのか、捜査員に非白人に対する先入観があって尾行対象を選別しているのではないか。はたまた厚着をして捜査官の制止を(それと知らずに)振り切ったら射殺されてもしょうがないのかetc.)というところは議論されるべきだと思います。

"Times on line"によると、今回の被害者は自宅のブロックがたまたまテロ関係者の潜伏先としてマークされていたため、ずっと尾行をされていたそうで、バスに乗る際には見逃して尾行を継続していて、地下鉄に乗ろうとした時に取り押さえようとして逃げたので自爆テロ犯と誤認して射殺してしまったそうです。

であれば、せめて最初に家を出た時点で服装が怪しければ尋問するとかの方法はなかったのでしょうか。
(もし他の容疑者を見つけ出すために「泳がせる」捜査手法だったとしたら、地下鉄に乗ろうとした時点で急にあせる必要はなかったわけです)


もっとも、BBCTimes on lineのサイトを見る限りは、あくまでも警察の捜査・逮捕方法の是非という議論をベースになされていて、アメリカの9.11直後ように「今は戦時だ」とか「非常事態における権利の制限」というベースでは語られていない(大衆紙などでは語られているのかもしれませんが)ところには救いを感じます。


恐怖や敵意が連鎖反応を起こすことはテロリストの思うツボでしょうから。


ただ早速、被害者は実はビザが切れていたなんぞと発表されるあたりは、そう、見識が高いとばかりも行ってられないのかもしれません。


日本で起きたらどうだったろう
自分が被害者の家族だったら
いきなり銃をつきつけられた被害者だったら
逆にそのときの捜査官や警察側の人間だったら

と、いろいろ考えさせられる事件です。
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2 コメント

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Unknown (kobanto)
2005-07-26 08:54:21
 題名は「漂流記」でしたが、あの射殺事件も取り上げた記事ですので、TBさせていただきました。

 コメントではついついキツイ事を書いてしまいました(人種差別とか)が、もちろん差別だけの問題だとは考えていませんし、人種や国籍で他人を差別するのは白人だけではないと思っています。ただ、あの警察関係者のコメントに見られるような、ヒポクラシーが「どーしてもイヤ!」なので、ついつい・・・。



 この事件、「不信の海を彷徨い始めた世界」を象徴しているようで・・・、滅入ります。
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不信の連鎖 (go2c→kobantoさん)
2005-07-26 21:05:57
そうですね、悪意や恐怖がミスを生み、それが不信の連鎖につながっていくというのが最悪だと思います。



警察発表は、ではどう言えばいいのか、というところは難しいですね。何を言っても非難されるわけですから、日頃の信頼が物を言うのだと思います。
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