相手のユナイテッド・アーバンは自分の投資主のために値切り倒すのが仕事でしょうが、ずっと交渉した挙句にこれって、日コマの運用会社は何をしてたんでしょうか。
挙句の果てに日コマのときのように「運用会社の雇用維持が目的」とかってしれっと言うとしたら投資主は本気で怒るでしょう。
今回の合併についての論点はyurakuさんのブログをごらんいただければと思いますが
日コマの投資口価格が一番安かった時期を基準日に選ぶとは、あまりにも恣意的で投資主をなめてます。
それに配当(分配金)をベースにした評価額とか...そんなの(スポンサーがいないため)ファイナンスコストが高い日コマがやたら不利になるの超当たり前。なんとしてでも0.167を正当化できるような数字を恣意的に算定したといううんこくささがきついです。
については禿同。
日コマも物議をかもすのは覚悟でやったので、合併に必要な投資口の2/3の賛成がとか、反対投資主の買取請求対策については十分検討済みだと思いますが、けっこうもめる(世の中そんなに甘くないのでは)と思います。
まずは合併の効力発生要件の「投資口の2/3の賛成」のハードルを越えられるか。
2009.8月期の有価証券報告書をみると、上位10社で46%という株主構成ですが、支配株主といえるとような株主はいません。
また、個人株主比率がどれくらいかもわかりません。
日コマとしては、投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)93条で投資主総会に欠席し・かつ議決権を行使しない投資主は賛成したものとみなす、という制度があるので、組織的な反対運動でも起きないかぎりは大丈夫と踏んでいるのでしょうか。
ところで、会社法と違い、投信法では1口であっても投資主の帳簿閲覧権が認められています。(*1)
なので、投資主名簿を閲覧して合併への反対を働きかけることも可能かと思います。
そういう運動が話題になると、大口投資主である機関投資家(とか、もはや更正会社になったPMCも)おいそれと賛成しにくくなるのではないでしょうか。
また、合併が成立したとしても、投資主総会前に反対の意見を表明し、買い取り請求をする投資主も相当数出てくるんじゃないかと思います。
この買取請求は、会社提示の買取価格に同意できない場合は裁判所で争うことができます。
上のyurakuさんのブログでも疑義が呈されているように、価格算定時期の妥当性とか、交渉を引っ張ったのは株価がジリ貧になっていくのを待ってたからじゃないかなど、つっこみどころは満載です。
公表直前の4/13期限の社債償還のために不動産市場安定化ファンドから高利の金を借りたのも、(参照)企業価値を減らす工夫だったんじゃないか(逆に合併契約がもっと早期に公表されていれば一般金融機関からもう少し有利なつなぎ資金の調達ができたのでは?)とも思います。
ユナイテッド・アーバン側に粘られたとしても、社債償還ができたとしたら他の合併先を探すとか、資産を切り売りしていく、という選択肢も検討すべきだったかもしれません。
このへんが裁判(非訟事件)で争われると、レックス・ホールディングスのMBOについての最高裁決定についで話題になりそうです。
実は私も、(ニューシティレジデンス民事再生申し立ての時に買っておけば清算手続きなども見られるて面白かったのに、という教訓をもとに、)昨年の監査意見不表明--すわ倒産か、いやJ-Reitはつぶれないだろう、いやいやニューシティのこともあるしわからんぞ--という頃に1口買っているれっきとした投資主であります。
経済的には損をしたというよりは儲けが減ったという程度の立場なのですが、考えれば考えるほど、反対意見表明・買い取り請求をしてみたいという気持ちがむくむくとわいてきていますw
(*1) 会社法では
第四百三十三条 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
(中略)
2 前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
五 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
とあり、3%以上の株主でなければ帳簿閲覧権は認められていません。
一方、投信法では
第一二八条の二 投資主は、投資法人の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2 会社法第四百三十三条第二項 (第三号を除く。)の規定は前項の請求について、同条第三項 及び第四項 の規定は親法人の投資主について、それぞれ準用する。
と、準用されているのは会社法433条2項(3号を除く)だけなので、保有投資口数のハードルはないようです。