最近、若手・中堅の学者で生き生きとした文章を書く人が増えている感じがする。
SNSでの発信で編集者のアンテナにひっかかることがふえたせいだろうか。
本書は、地球上の土・土壌についての分類と特徴、そして特に農作物を涵養するという観点での可能性について語っている。
地球の土壌は栄養分に富んだ肥沃な土地自体は少なく、また栄養分以外の条件(ph、塩分、降水量)などによって収穫量が大きく影響される。日本の黒土も栄養分は少ないが、森林からの豊富な放水量で成り立っている。
中盤までは土壌の種類の解説が続き(高校時代の酸化還元の知識などを動員しつつ)詠み進めるのに時間がかかるが、後半の土壌の可能性についての著者の語りは一気に引き込まれる。
化学肥料についてのくだりー著者は土壌の栄養分の偏りを補正するために化学肥料の使用を否定はしないが、一方で購入力に乏しい途上国が化学肥料だけに依存するリスクも指摘するーは説得力がある。
★4