一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

目の上のタンコブ

2005-06-05 | よしなしごと
竹島、尖閣諸島、ミサイル発射実験、漁船の不法操業と最近日本海を巡ってきな臭い話題が続いています。

それで思い出したのが網野善彦「日本社会の歴史」(上・中・下)岩波新書

この冒頭に「環日本海諸国図」という、日本海の周辺の地図を大陸側から眺めた形で南北を逆転した地図が載っています。

こんな感じです



本の内容自体は、
日本列島は約200万年前の第四洪積世(氷河期と間氷期が交互に訪れた頃、ホモ・サピエンス)の時代には千島列島と琉球列島が陸地として日本海という大きな湖を囲んでいた。
その後、気候が温暖化するにつれ、1万8000年から1万2000年前(後期旧石器時代)にかけて、今の日本列島が形成されてきた。
約1万年前頃から縄文文化が発達する。縄文文化は日本独自の文化と言われるが、遺跡の出土品からは、旧石器時代から海上交通を通じての交流があったことがうかがえる。

と、その後、従来の陸路・領土を中心とした歴史にかわって、海上交通を通じての文化・通商の交流を軸にした「網野史観」が展開されるわけです。

僕自身、網野善彦氏の著書は好きなのですが、この地図を見て真っ先に思ったのは、歴史とは関係なく

大陸から見ると日本は邪魔だなぁ

ということでした。


ロシアがウラジオストクにバルチック艦隊を回航しようとしても
中国東北部から太平洋航路や東南アジアに輸出しようとしても
韓国の漁船が「遠洋漁業」をしようとしても
北朝鮮が長距離ミサイルを海に着弾させようとしても(!)

日本の近く(領海や経済水域)を通らないといけないことがわかります
※画像ではよくわかりませんが、琉球諸島まで含めるとほぼ完全にブロックしています(それに南端には台湾があります)


つまり、彼らから見ると、日本は何をするにも関係してくる(関係せざるを得ない)、とても目障りな存在なわけです。
※「地政学的に重要な位置」といえば簡単なのでしょうが、「地政学」という言葉の定義や意味合いが一定していないように思えるので、ここでは使いません

一方、日本から見ると、人の領海を侵犯したり、領土でケンカ売ってきたり、外交活動にいちいち文句を言ってきたり、経済水域で不法操業したり、ミサイル実験や核実験をしたり、偏西風の風上で大気汚染を撒き散らしたり、老朽化した原子力潜水艦を放置したりと、何でいちいちつっかかって来るんだよ、といいたくなる部分もあります。


上の地図の事を思い出して、最近の揉め事の背景には、過去の歴史だけではなく、地理的な(近さ以上の)密接さから、(特に中国・朝鮮半島側が)相手を「目の上のタンコブ」と思っている、という事情もあるんだなぁ、と、改めて考えました。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
古地図 (kobanto)
2005-06-05 08:42:20
 古地図関連でTBさせていただきました。



 逆側から見るって、面白いですよね。

 本当に日本列島は障害物に見えます。「あれさえなければ・・」っていう存在ですね。オーシャンビューの別荘の目の前に建ってしまったマンションみたいです。



 私も網野善彦ファンです。その岩波新書、読みたくなりました。最近なんだか詩歌をパラパラと読むばかりで、まとまったセンテンスを全然読んでいませんので、31文字以上つながった文を読みたいです。

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re:古地図 (go2c→kobantoさん)
2005-06-05 17:25:48
コメント&TBありがとうございます。



古地図は、測量技術とか航空写真のない中で昔の人の「世界」の実感がわかって面白いですね。
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その2です (kobanto)
2005-06-06 09:26:26
もう一つ、面白いのがありましたので、TBさせていただきました。(さすがにもう無いで~す)
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re:その2 (go2c→kobantoさん)
2005-06-07 00:18:59
TB拝見しました。

いろいろお持ちですな~



古地図ってその当時の人の関心の遠近感が反映されていて面白いですね
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