一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『20歳のときに知っておきたかったこと』

2011-11-30 | 乱読日記

昨年あたり話題になった本

副題に「スタンフォード大学集中講義」とあるように『これからの「正義」の話をしよう』の「ハーバード白熱教室」の二匹目のドジョウっぽい感じの売り込み方がひっかかるのと(こちらが先かもしれないけど)、著者の経歴も

現在、スタンフォード大学工学部に所属するアントレプレナー・センター、スタンフォード・テクノロジー・ベンチャー・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター。さらに、スタンフォード大学の経営工学・エンジニアリング課程やハッソ・プラットナー・デザイン研究所でアントレプレナーシップとイノベーションの講座を担当。全米の起業家育成コースのなかでも高い評価を得ている。幅広い分野の企業幹部を対象に、頻繁に講演とワークショップを行なっている

といかにも「起業バンザイ」「人生アグレッシブに生きねばならぬ」本だといやだなと放置していた。


僕は「起業家」という言葉に抵抗感がある。

単に「自分で商売してる」といえばいいのに、「起業家」というとそれ自体が特別の価値を持つと発言する人間自体が思っている感じがそもそも鼻につく。

そして、世の中の「起業」について語られている中の多くがビジネスプランの説得力ある企画書へのまとめ方という、資金調達の仕方に焦点を当てているのもちょっとおかしいと思う。

もちろんそれも必要な知識だし、多額の初期投資が必要な事業もあるだろうが、最初から巨額の資金調達(またはその先のIPO)が自己目的になるのはどうなんだろう、それって最初からエージェンシー問題丸出しだし、そういう起業が世の中を活性化するとは思えないのだ。


などと読む前から偏見山盛りだったのだが(だったら買うなよ、と言われそうだが)、読んでみるととても真っ当な本だった。

たしかに最初の2章は「起業家コース」っぽかったが、そこからあとは偏見を持っている僕も鼻につくところもなかった。

本書が伝えようとする「制約にとらわれるな、自分で枠をはめるな、賢明な行動でなく正しい行動をしろ」というようなアドバイスは、 20歳のときに限らず今でも役立つと思いながら読んでいたら、最後のほうに書いてあった。

わたしが伝えたかったのは、常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で針路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可を、あなた自身に与えてください、ということなのですから。 
じつはこれこそ、わたしが20歳のとき、あるいは30、40のときに知っていたかったことであり、50歳の今も、たえず思い出さなくてはいけないことなのです。

逆に中年になって自分の仕事のスタイルが固まってしまった僕のような人間のほうが刺激になるかもしれない本。



 


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1 コメント

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ukさんへ (go2c)
2011-12-01 22:08:57
意表をつくつっこみにつき、コメントは非公開にさせていただきましたのでご容赦をw
ちょっとづつボロが出つつある拙ブログですが、今後ともご愛顧をよろしくお願い申しあげます。
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